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36.被害者は誰 sideフルール
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今頃は、婚約発表に向けて準備を進めているはずだったのに…綺麗なドレス、みんなからの祝福、美しい私とクロード。クロードと共に輝かしい未来を歩む予定だった。
…ラルティエ、私が、フルール・ラルティエですって?お母様の実家の男爵家の姓じゃない!
お母さまは、『あなたは伯爵家の娘になるのよ』と、そうおっしゃったわ!ずっと伯爵家の娘として、あの日から生きてきたのに。だから、学院だって、フルール・コルホネンと名乗っていたわ。伯爵家に住んでいるのは、みんな知っていたから、先生方だって何も言わなかったのに
…確かに、怪訝そうな顔をする先生もいたような気もするけど、お兄様は義妹ととして、紹介してくださっていたし…いえ、もしかしたら、周りは複雑な家庭の事情だと思い、あえて口をつぐんでいたのかもしれない。
とにかく、どう考えても悪いのはお母様とお父様…もう、コルホネン伯爵と呼ばなければいけないのかしら。義父じゃなかった…確かに義父らしいことは何もしてくれなかったけど…
私は、被害者、あまりにも理不尽だわ。
誰にも言われなければ、気付くはずがないじゃない。なのに、今更になってすべてを知り、この先どうすればいいのか分からなくなっている。私の人生がこんなにも簡単に崩れてしまうなんて…。
こうなったら早くクロードと婚約、いえ、結婚しないと…男爵令嬢の身分では、王女様と話すことだってままならない。仲良くしていた子たちだって、私を見下すに決まっているわ…そんなの耐えられない!そうよ、クロードと結婚さえすれば、すべてが元通りになるはず。コルホネン伯爵も今度こそ本当に、義父になる。
邸にあのまま残っていても、針の筵。そう思って、クロードについてきたけど、馬車の移動も辛くなってきたわ。クロードに話しかけても、黙って考えていることが多い…家族じゃないことが分かって傷ついた私に寄り添い、もっと慰めてくれてもいいのに…ああ、なんでこんなに思い通りにならないの!
…お母さまはいったい、今どうしているのかしら。なんとか、コルホネン伯爵を上手に言いくるめてほしいものだわ。私が、少しでも有利な立場に戻れるように、手を尽くしてほしい。親なんだから。
お姉さまの手掛かりは未だに何もつかめない。まだ生きているでしょうね、生きていないと困るわ!ああ、厄介な人!
そうだわ誕生日…そういえば確かにクロードは体調を崩すことが多かったけど、あれは単に、誕生日にはしゃぎ過ぎて疲れたからだと思っていたわ。クロードが体調を崩すのは毎年のことなのに、そう、誕生日も、もうすぐなのに…
まさか、あの女は、それを知っていて家を出たの?いくら婚約が無くなりそうだからってそんな復讐ある?…なんて恐ろしい女なの!
「フルール、次の街に着いたら、手分けして、エミリアの手掛かりを探そう」
クロードの声が現実に引き戻す。
クロードのことは私が守らなくちゃ。このままだと命に関わるなんてかわいそうだわ。それに、そんなことになったら私の未来もめちゃくちゃよ!
私たちは愛し合う二人で貴族同志。彼と私には、共に歩む未来が約束されているはずだった…。
あの女には両親がいない。交流のない義兄しかいない。だから揉めるはずがない。
そう思っていたのに…もう!あの女、エミリアのせいで、すべてが狂ったわ!
…ラルティエ、私が、フルール・ラルティエですって?お母様の実家の男爵家の姓じゃない!
お母さまは、『あなたは伯爵家の娘になるのよ』と、そうおっしゃったわ!ずっと伯爵家の娘として、あの日から生きてきたのに。だから、学院だって、フルール・コルホネンと名乗っていたわ。伯爵家に住んでいるのは、みんな知っていたから、先生方だって何も言わなかったのに
…確かに、怪訝そうな顔をする先生もいたような気もするけど、お兄様は義妹ととして、紹介してくださっていたし…いえ、もしかしたら、周りは複雑な家庭の事情だと思い、あえて口をつぐんでいたのかもしれない。
とにかく、どう考えても悪いのはお母様とお父様…もう、コルホネン伯爵と呼ばなければいけないのかしら。義父じゃなかった…確かに義父らしいことは何もしてくれなかったけど…
私は、被害者、あまりにも理不尽だわ。
誰にも言われなければ、気付くはずがないじゃない。なのに、今更になってすべてを知り、この先どうすればいいのか分からなくなっている。私の人生がこんなにも簡単に崩れてしまうなんて…。
こうなったら早くクロードと婚約、いえ、結婚しないと…男爵令嬢の身分では、王女様と話すことだってままならない。仲良くしていた子たちだって、私を見下すに決まっているわ…そんなの耐えられない!そうよ、クロードと結婚さえすれば、すべてが元通りになるはず。コルホネン伯爵も今度こそ本当に、義父になる。
邸にあのまま残っていても、針の筵。そう思って、クロードについてきたけど、馬車の移動も辛くなってきたわ。クロードに話しかけても、黙って考えていることが多い…家族じゃないことが分かって傷ついた私に寄り添い、もっと慰めてくれてもいいのに…ああ、なんでこんなに思い通りにならないの!
…お母さまはいったい、今どうしているのかしら。なんとか、コルホネン伯爵を上手に言いくるめてほしいものだわ。私が、少しでも有利な立場に戻れるように、手を尽くしてほしい。親なんだから。
お姉さまの手掛かりは未だに何もつかめない。まだ生きているでしょうね、生きていないと困るわ!ああ、厄介な人!
そうだわ誕生日…そういえば確かにクロードは体調を崩すことが多かったけど、あれは単に、誕生日にはしゃぎ過ぎて疲れたからだと思っていたわ。クロードが体調を崩すのは毎年のことなのに、そう、誕生日も、もうすぐなのに…
まさか、あの女は、それを知っていて家を出たの?いくら婚約が無くなりそうだからってそんな復讐ある?…なんて恐ろしい女なの!
「フルール、次の街に着いたら、手分けして、エミリアの手掛かりを探そう」
クロードの声が現実に引き戻す。
クロードのことは私が守らなくちゃ。このままだと命に関わるなんてかわいそうだわ。それに、そんなことになったら私の未来もめちゃくちゃよ!
私たちは愛し合う二人で貴族同志。彼と私には、共に歩む未来が約束されているはずだった…。
あの女には両親がいない。交流のない義兄しかいない。だから揉めるはずがない。
そう思っていたのに…もう!あの女、エミリアのせいで、すべてが狂ったわ!
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