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15.リアが来る sideヴィルフリード
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「…リアが王都を出た。」
リアのアクセサリーにかけていた魔法が反応したのが分かり、思わず持っていた試験管を落としてしまった。
「は?リアってお前の妹のか?」
遊びに来ていた魔法学院時代の同級生でもある隣国の第5皇子セシル・ロイ・ド・ベルモンドが怪訝な顔をする。
「私の可愛い天使のリアだ。間違えるな。」
ただの妹ではない!そしてお前がリアって呼ぶな。会ったこともないだろう。
「めんどくせえな。で、お前の可愛い天使のリアちゃんが家を出たって?急にどうした、っていうか、なぜわかる?」
セシルがそう言うので、首に下げていたリアとおそろいのネックレスを取り出した。
「私のこのネックレスがそう反応したからだ。あの屋敷や学院からリアが10km離れたら、反応するように作っている。つまり、リアが耐えられなくなって王都から飛び出したということだ」
リアに贈ったものには全て私の魔法をかけてある。得意なものは土魔法と水魔法だが、使える種類の魔法はそれだけではない。付与魔法はその一つだ。
「家族で旅行かもしれないぞ?」
家族旅行だと?何を暢気なことを!
「はっ!そんなわけあるか!!リアを囲い、リアの能力を搾取しているあの家が?家族旅行?手紙を送っても返事もないんだぞ、あの腹黒い伯爵がリアと俺との関わりを絶っているとしか考えられない。何度も会いに行ったのに理由を付けて門前払いだ。引き渡しを要請しても法を盾に…くそっ!こっちは侯爵だぞ!!贈ったプレゼントだってあの継母に取られているはずだ。 贈った物から感じられる魔法の気配がリアの物じゃない…」
リアが不当に扱われていることへの怒り、そして自分の無力さへの苛立ちが混ざり合い、次第に荒々しくなる。
「色々突っ込みどころが満載だが…なんだ、今日はめちゃくちゃしゃべるな。口も悪いし…感情を表に出さないお前が、これほど感情的になるのは珍しい」
お前はいつも以上にずれているがな。冷たく一瞥を送る。
「こうしちゃいられない。セバス!セバス!急いで来てくれ!!」
セバスが部屋に駆け込んできた。
「どうなさいましたか?ヴィルフリード様」
「よく聞いてくれ、リアが王都を出た。私はすぐに迎えに行く。きっと私に会いに向かっているはずだ」
その言葉に、セバスは目を見開いた。
「お、お嬢様が?ついに…この時を待っておりました。私も、もちろん行きますぞ。アビーやドニにも声をかけないと…」
セバスの声には、喜びと決意が入り混じっていた。彼にとって、生まれた時から見てきたリアは、自分の孫のような存在だからだ。
「いや、待て。あまり人数が増えると動きづらい。アビーにはリアの部屋、衣装等の準備を。ドニには、リアの好物をいつ帰って来ても作れるように準備を、と伝えてくれ」
セバスもアビーもドニもリアが小さい頃から侯爵家に仕えていた使用人だ。リアの両親が死んで使用人たちもばらばらになる中、いつかリアと暮らせるようになったとき、喜ぶ顔が見たいと、特に親しくしていた者たちに声をかけ領地の邸で働いてもらっている。
「分かりました。伝えてきます。でも、私は行きますからね。ヴィルフリード様、置いていきましたら恨みますからね!」
セバスは真剣な表情で告げると、すぐに指示を実行するために動き出した。
「私は、足手まといにならなそうだし、面白そうだから一緒に行くぞ」
セシルが軽い調子で言葉を挟んだ。
「…隣国に帰っていいんだぞ。忙しいだろ」
「母が側妃の第5皇子なんて、忙しいわけないだろ。お前がそんなに夢中なリアちゃん。会ってみたいんだよな」
嘘つけ、魔法省の幹部がそんなに暇だなんて聞いたことない――そう思いながらも、同行することに特に反対はしなかった。
リアを迎えに行くことが最優先。今は余計なことを考えている時間はないんだ。
リアのアクセサリーにかけていた魔法が反応したのが分かり、思わず持っていた試験管を落としてしまった。
「は?リアってお前の妹のか?」
遊びに来ていた魔法学院時代の同級生でもある隣国の第5皇子セシル・ロイ・ド・ベルモンドが怪訝な顔をする。
「私の可愛い天使のリアだ。間違えるな。」
ただの妹ではない!そしてお前がリアって呼ぶな。会ったこともないだろう。
「めんどくせえな。で、お前の可愛い天使のリアちゃんが家を出たって?急にどうした、っていうか、なぜわかる?」
セシルがそう言うので、首に下げていたリアとおそろいのネックレスを取り出した。
「私のこのネックレスがそう反応したからだ。あの屋敷や学院からリアが10km離れたら、反応するように作っている。つまり、リアが耐えられなくなって王都から飛び出したということだ」
リアに贈ったものには全て私の魔法をかけてある。得意なものは土魔法と水魔法だが、使える種類の魔法はそれだけではない。付与魔法はその一つだ。
「家族で旅行かもしれないぞ?」
家族旅行だと?何を暢気なことを!
「はっ!そんなわけあるか!!リアを囲い、リアの能力を搾取しているあの家が?家族旅行?手紙を送っても返事もないんだぞ、あの腹黒い伯爵がリアと俺との関わりを絶っているとしか考えられない。何度も会いに行ったのに理由を付けて門前払いだ。引き渡しを要請しても法を盾に…くそっ!こっちは侯爵だぞ!!贈ったプレゼントだってあの継母に取られているはずだ。 贈った物から感じられる魔法の気配がリアの物じゃない…」
リアが不当に扱われていることへの怒り、そして自分の無力さへの苛立ちが混ざり合い、次第に荒々しくなる。
「色々突っ込みどころが満載だが…なんだ、今日はめちゃくちゃしゃべるな。口も悪いし…感情を表に出さないお前が、これほど感情的になるのは珍しい」
お前はいつも以上にずれているがな。冷たく一瞥を送る。
「こうしちゃいられない。セバス!セバス!急いで来てくれ!!」
セバスが部屋に駆け込んできた。
「どうなさいましたか?ヴィルフリード様」
「よく聞いてくれ、リアが王都を出た。私はすぐに迎えに行く。きっと私に会いに向かっているはずだ」
その言葉に、セバスは目を見開いた。
「お、お嬢様が?ついに…この時を待っておりました。私も、もちろん行きますぞ。アビーやドニにも声をかけないと…」
セバスの声には、喜びと決意が入り混じっていた。彼にとって、生まれた時から見てきたリアは、自分の孫のような存在だからだ。
「いや、待て。あまり人数が増えると動きづらい。アビーにはリアの部屋、衣装等の準備を。ドニには、リアの好物をいつ帰って来ても作れるように準備を、と伝えてくれ」
セバスもアビーもドニもリアが小さい頃から侯爵家に仕えていた使用人だ。リアの両親が死んで使用人たちもばらばらになる中、いつかリアと暮らせるようになったとき、喜ぶ顔が見たいと、特に親しくしていた者たちに声をかけ領地の邸で働いてもらっている。
「分かりました。伝えてきます。でも、私は行きますからね。ヴィルフリード様、置いていきましたら恨みますからね!」
セバスは真剣な表情で告げると、すぐに指示を実行するために動き出した。
「私は、足手まといにならなそうだし、面白そうだから一緒に行くぞ」
セシルが軽い調子で言葉を挟んだ。
「…隣国に帰っていいんだぞ。忙しいだろ」
「母が側妃の第5皇子なんて、忙しいわけないだろ。お前がそんなに夢中なリアちゃん。会ってみたいんだよな」
嘘つけ、魔法省の幹部がそんなに暇だなんて聞いたことない――そう思いながらも、同行することに特に反対はしなかった。
リアを迎えに行くことが最優先。今は余計なことを考えている時間はないんだ。
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