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8.専属薬師スタート
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「と、いうことで、団長いいですよね?」
「お前は、本当にいつも急に…だが、今回は褒めてやろう。もちろんいいに決まっている。フローリア嬢、むさくるしい男が多いが、どうかよろしく頼む」
ゼノン・ヴァルター団長の言葉には、どこか温かさと親しみがこもっていた。
「あ、はい。期待にこたえられるように頑張ります!」
私は深々と礼をし、心からの感謝の意を示した。その姿に団長も満足そうに頷く。
「しかし、薬師用の設備がないな。エドモンド、取り合えず、医師のアルバンのところに連れて行って、色々確認してくれ」
団長は手際よく指示を出す。エドモンド様は即座にうなずき、その指示を引き受ける。
「承知いたしました」
二人で団長のもとを後にする。医師って、エドモンド様が言っていた方よね。心の中で、『内緒だからな』と言われたことを思い出しながら、緊張と期待の入り混じった気持ちで医師の元へ向かう。
「爺さん、喜べ。薬師を連れてきたぞ。フローリア・グリムハルト子爵令嬢だ」
エドモンド様の声が、少し誇らしげに響いた。
「爺さんじゃない!先生と呼べ。本当にお前は、貴族になっても変わらずだな」
医師のアルバン様は、エドモンド様の言葉に苦笑しながらも、温かい眼差しで応じた。
貴族という言葉にエドモンド様は、微妙な顔をする。
「ほう、グリムハルト子爵の令嬢か。こんな若い薬師をどこで見つけてきた?」
やはり若いと不安かしら?
「王宮の庭園だが?元宮廷薬師だそうだ」
「ああ、あれか。美容部門を作るための人員削減。そうか、お前さん削減対象になってしまったのか」
「…はい。」
内心、実力が不足していると思われていないかしら…。
「なに、ここの騎士団の連中はな、傷につばを付けても治るくらい頑丈なんだ。気張らず、のんびり薬を作ってくれればいい。時々わしの話し相手になってくれるだけでも、嬉しいがな」
アルバン様の優しい眼差しが、緊張を和らげる。
「爺さんよ、フローリアはお前の孫じゃないぞ。話し相手って…」
「孫は遠い領地にいるし、ここには口の悪い連中しか来ないし、癒しを求めてもいいだろうが!」
ふふ、二人のやり取りには、長い付き合いの中で育まれた親しさと信頼が感じられるわ。
「とにかく、薬づくりに必要な道具などは、使う本人が選んだ方がいい。そうだな、今必要な薬は、傷薬と痛み止め、もしできるのなら初級ポーションもあるといいが…」
「じゃあ、このまま街でフローリアと買い物をしてくる。フローリア、それでいいか?」
エドモンドは確認の意味を込めて、私に目を向けた。
「はい」
人混みは苦手だけど、早く必要なものを揃えて、お役に立ちたい。
***
エドモンド様と街を歩くと、さまざまな声が彼にかけられる。「今日は隣の子の護衛かい?」「こないだのけんかの仲裁ありがとよ」「リンゴもっていかないかい」と、彼が街の人々と親しい関係を築いていることがわかる。
「悪いな、落ち着かないだろ?第三は、街の連中と関わることが多いから、距離が近くてな」
「い、いえ。そうではなく…すみません。実は、たくさんの人が苦手で…」
「そうか、じゃあ商会を騎士団に呼べばよかったな。悪い」
「そんな、わざわざ。ちょっとずつ慣れなきゃいけないので…」
エドモンド様は、その後、私を気遣いながら、様子を見守ってくれた。人が近づきそうになるとその大きな体で隠そうとしてくれた。なんて優しいのかしら。
「さあ、着いたぞ」
「うわあ!」
店内に入った私は、興奮のあまり声を上げた。
最新式の冷却装置や秤、そしてずっと欲しかった老舗のすり鉢や薬研
「金額は気にせずに好きなものを買え。腐っても騎士団だからな、ちゃんと予算はあるぞ」
エドモンド様が、私に向かって微笑んで、言った。
「い、いいんですか?…きちんと結果を出します。ありがとうございます!!」
嬉しさと興奮に満ちたまま、買い物を終えた。薬の材料も良いものが手に入ったし、『あんた、見る目があるね』と薬草の目利きも店主に褒められて、モチベーションが一層高まった。
「エドモンド様、帰りましょう。これを使ってさっそく薬を作りたいです!!」
「お、おう」
若干引き気味なエドモンド様と共に、帰り道を急いだ。
「お前は、本当にいつも急に…だが、今回は褒めてやろう。もちろんいいに決まっている。フローリア嬢、むさくるしい男が多いが、どうかよろしく頼む」
ゼノン・ヴァルター団長の言葉には、どこか温かさと親しみがこもっていた。
「あ、はい。期待にこたえられるように頑張ります!」
私は深々と礼をし、心からの感謝の意を示した。その姿に団長も満足そうに頷く。
「しかし、薬師用の設備がないな。エドモンド、取り合えず、医師のアルバンのところに連れて行って、色々確認してくれ」
団長は手際よく指示を出す。エドモンド様は即座にうなずき、その指示を引き受ける。
「承知いたしました」
二人で団長のもとを後にする。医師って、エドモンド様が言っていた方よね。心の中で、『内緒だからな』と言われたことを思い出しながら、緊張と期待の入り混じった気持ちで医師の元へ向かう。
「爺さん、喜べ。薬師を連れてきたぞ。フローリア・グリムハルト子爵令嬢だ」
エドモンド様の声が、少し誇らしげに響いた。
「爺さんじゃない!先生と呼べ。本当にお前は、貴族になっても変わらずだな」
医師のアルバン様は、エドモンド様の言葉に苦笑しながらも、温かい眼差しで応じた。
貴族という言葉にエドモンド様は、微妙な顔をする。
「ほう、グリムハルト子爵の令嬢か。こんな若い薬師をどこで見つけてきた?」
やはり若いと不安かしら?
「王宮の庭園だが?元宮廷薬師だそうだ」
「ああ、あれか。美容部門を作るための人員削減。そうか、お前さん削減対象になってしまったのか」
「…はい。」
内心、実力が不足していると思われていないかしら…。
「なに、ここの騎士団の連中はな、傷につばを付けても治るくらい頑丈なんだ。気張らず、のんびり薬を作ってくれればいい。時々わしの話し相手になってくれるだけでも、嬉しいがな」
アルバン様の優しい眼差しが、緊張を和らげる。
「爺さんよ、フローリアはお前の孫じゃないぞ。話し相手って…」
「孫は遠い領地にいるし、ここには口の悪い連中しか来ないし、癒しを求めてもいいだろうが!」
ふふ、二人のやり取りには、長い付き合いの中で育まれた親しさと信頼が感じられるわ。
「とにかく、薬づくりに必要な道具などは、使う本人が選んだ方がいい。そうだな、今必要な薬は、傷薬と痛み止め、もしできるのなら初級ポーションもあるといいが…」
「じゃあ、このまま街でフローリアと買い物をしてくる。フローリア、それでいいか?」
エドモンドは確認の意味を込めて、私に目を向けた。
「はい」
人混みは苦手だけど、早く必要なものを揃えて、お役に立ちたい。
***
エドモンド様と街を歩くと、さまざまな声が彼にかけられる。「今日は隣の子の護衛かい?」「こないだのけんかの仲裁ありがとよ」「リンゴもっていかないかい」と、彼が街の人々と親しい関係を築いていることがわかる。
「悪いな、落ち着かないだろ?第三は、街の連中と関わることが多いから、距離が近くてな」
「い、いえ。そうではなく…すみません。実は、たくさんの人が苦手で…」
「そうか、じゃあ商会を騎士団に呼べばよかったな。悪い」
「そんな、わざわざ。ちょっとずつ慣れなきゃいけないので…」
エドモンド様は、その後、私を気遣いながら、様子を見守ってくれた。人が近づきそうになるとその大きな体で隠そうとしてくれた。なんて優しいのかしら。
「さあ、着いたぞ」
「うわあ!」
店内に入った私は、興奮のあまり声を上げた。
最新式の冷却装置や秤、そしてずっと欲しかった老舗のすり鉢や薬研
「金額は気にせずに好きなものを買え。腐っても騎士団だからな、ちゃんと予算はあるぞ」
エドモンド様が、私に向かって微笑んで、言った。
「い、いいんですか?…きちんと結果を出します。ありがとうございます!!」
嬉しさと興奮に満ちたまま、買い物を終えた。薬の材料も良いものが手に入ったし、『あんた、見る目があるね』と薬草の目利きも店主に褒められて、モチベーションが一層高まった。
「エドモンド様、帰りましょう。これを使ってさっそく薬を作りたいです!!」
「お、おう」
若干引き気味なエドモンド様と共に、帰り道を急いだ。
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