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42.始まりは君のそばで③
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「シルヴィ聞いてくれ、アランから許可が下りたぞ」
ウキウキした叔父様が部屋に入るなりそう言った。
「何の許可ですの?」
「認めたんだよ、あのアランが。このチャンスを逃してはいけない。そうだ、急だがすぐ明日会えるよう手配しよう。」
「落ち着いてください。意味が全く分かりません。」
『ああ、そうだった。うれしすぎてつい』と叔父様が説明を始める。
「アランが、この男なら君にふさわしいと許可を出した者がいる。許可を出したのだぞ!申し分ない者に決まっている。あ、もちろん、シルヴィの意志が優先だが、とても美丈夫だ。きっとお前も気に入る。この男だ、どうだ?」
アランが選んだという釣書を受け取る。
「この方が、ふふ、なるほど。」
「ん?どうしたシルヴィ?」
「いいえ、では、アランの気が変わらないうちに、お会いすることにしましょう。」
********************
ーネメック子爵令息ー
「やったやったぞ。明日お会いできるそうだ。」
執事から手紙を受け取った父が喜色に満ちた顔で話し出す。
「何のことです。父上。」
「あの、令嬢がお前に会うと言っているのだ。ああ、何としても気に入られ、婚約まで運ぶのだぞ。」
見合いか?
「あの令嬢とは?」
「ミュラー侯爵に養子に入られたシルヴィ様だ。養子とはいえ叔父と姪の関係。血筋もしっかっりしており元公爵令嬢だ。」
「まさか!私とですか。いや、それよりも父上は知らないのですか?その令嬢を嫁にもらうと、狂乱の死神も付いてくることを!!」
噂になっているミュラー家の令嬢。個人の商会を持ち、その商会は今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ。聖女の力を有し、品があり容姿端麗、皇女とも仲がいいと聞く。婚約者にと名乗りを上げたものは、10や20ではない。しかし、もう一つの噂によって辞退したものは多い。”狂乱の死神”。数年前に突如として現れた威圧感のある美しい男は、長引いていた南の紛争をあっという間に終わらせた。自分が傷ついていることなど気付いていないかのように、まっすぐ名のある将に向かっていくその姿はまさに狂乱。体を一刀両断し、敵の戦意を喪失させたその姿は死神。あの若さで、あっという間に爵位を手に入れたことにも頷ける。
「ん?知っているぞ。それこそ幸運だろう。我が子爵家の騎士の士気も高まることだろう。」
狂乱だぞ、逆に下がるだろ。
「父上は、会ったことがないからそのようなことを。疾風のごとく駆け抜け、次々と敵の首を落としていく姿。血にまみれ高笑いする様子はまさに狂乱の死神。いいえ、戦闘に魅了された鬼神です。」
その男が妻になるものの後ろに控えている?…ああ、ダメだ、想像しただけで足が震える。
「ははは、頼もしい限りではないか。お前がなんと言おうと明日会うのは決定だ。こんなに早いとは思わなかったが、しっかり明日に備えろいいな。」
…狂乱の死神を一目見て腰を抜かすといい。何とか令嬢から断ってくれないだろうか。今夜は眠れない、まあ、ひどい顔をしていたほうが…断られる可能性が上がる。
ウキウキした叔父様が部屋に入るなりそう言った。
「何の許可ですの?」
「認めたんだよ、あのアランが。このチャンスを逃してはいけない。そうだ、急だがすぐ明日会えるよう手配しよう。」
「落ち着いてください。意味が全く分かりません。」
『ああ、そうだった。うれしすぎてつい』と叔父様が説明を始める。
「アランが、この男なら君にふさわしいと許可を出した者がいる。許可を出したのだぞ!申し分ない者に決まっている。あ、もちろん、シルヴィの意志が優先だが、とても美丈夫だ。きっとお前も気に入る。この男だ、どうだ?」
アランが選んだという釣書を受け取る。
「この方が、ふふ、なるほど。」
「ん?どうしたシルヴィ?」
「いいえ、では、アランの気が変わらないうちに、お会いすることにしましょう。」
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ーネメック子爵令息ー
「やったやったぞ。明日お会いできるそうだ。」
執事から手紙を受け取った父が喜色に満ちた顔で話し出す。
「何のことです。父上。」
「あの、令嬢がお前に会うと言っているのだ。ああ、何としても気に入られ、婚約まで運ぶのだぞ。」
見合いか?
「あの令嬢とは?」
「ミュラー侯爵に養子に入られたシルヴィ様だ。養子とはいえ叔父と姪の関係。血筋もしっかっりしており元公爵令嬢だ。」
「まさか!私とですか。いや、それよりも父上は知らないのですか?その令嬢を嫁にもらうと、狂乱の死神も付いてくることを!!」
噂になっているミュラー家の令嬢。個人の商会を持ち、その商会は今や飛ぶ鳥を落とす勢いだ。聖女の力を有し、品があり容姿端麗、皇女とも仲がいいと聞く。婚約者にと名乗りを上げたものは、10や20ではない。しかし、もう一つの噂によって辞退したものは多い。”狂乱の死神”。数年前に突如として現れた威圧感のある美しい男は、長引いていた南の紛争をあっという間に終わらせた。自分が傷ついていることなど気付いていないかのように、まっすぐ名のある将に向かっていくその姿はまさに狂乱。体を一刀両断し、敵の戦意を喪失させたその姿は死神。あの若さで、あっという間に爵位を手に入れたことにも頷ける。
「ん?知っているぞ。それこそ幸運だろう。我が子爵家の騎士の士気も高まることだろう。」
狂乱だぞ、逆に下がるだろ。
「父上は、会ったことがないからそのようなことを。疾風のごとく駆け抜け、次々と敵の首を落としていく姿。血にまみれ高笑いする様子はまさに狂乱の死神。いいえ、戦闘に魅了された鬼神です。」
その男が妻になるものの後ろに控えている?…ああ、ダメだ、想像しただけで足が震える。
「ははは、頼もしい限りではないか。お前がなんと言おうと明日会うのは決定だ。こんなに早いとは思わなかったが、しっかり明日に備えろいいな。」
…狂乱の死神を一目見て腰を抜かすといい。何とか令嬢から断ってくれないだろうか。今夜は眠れない、まあ、ひどい顔をしていたほうが…断られる可能性が上がる。
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