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第2章
28婚約破棄
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「まずはこの度のこと謝罪をさせてくれ。すまなかった。」
陛下が頭を下げる。
「父上!!」
「は?謝罪は受け取らん。話を進めろ。」
ああ、寒いわね。夏だっていうのに。
まずは皇太子の言い分を聞き、涙ながらに訴える男爵令嬢の一人劇場を見る。
「なるほどな、私のアリーがそちらの令嬢を虐げ、婚約者の責任感から話を聞き慰めていたが、そのうち心を通わせたと。」
「そうです!だから破棄を宣言したんだ!!」
私のお父様に向かって、強気ですこと。怖いわ。
「はっ!その話が真実だとしても、たかだか男爵令嬢を虐げたくらいで大げさな。私のアリーは侯爵令嬢だ。あんな大勢の前で恥をかかせられる筋合いはない!!それに、虐げたところを見たのですか?殿下は。」
ひどい…といって、殿下にもたれかかる男爵令嬢。
「え、いや、それはその…いや虐げるような女、皇太子妃にふさわしくない!親であるあなたが、権力を笠に着るから娘のアイリーンもそんな考えなんだ!!!」
ちゃんと見てください。この部屋の人たちの顔を。あなたつぶされますわよ。
「…そのような事実はございません。皆様こちらを」
オレリア様が例の記録書を配る。え?人数分?持ち歩いているの?
「いつどのようなことになるかわかりませんのでしたので準備は万端です。それくらいお二人の言動はひどいものです。」
すごい勢いでページをめくるお父様。それを横で見るお母様。目が高速で動いていらっしゃる。速読…お二人とも優秀ですのね。陛下は、頭を抱えながら読み、皇后様は、泣き疲れたのか心ここにあらずね。
「護衛である私も証言します。ここに書かれていることは事実であり、破棄されるべきは殿下の方だと」
殿下の護衛なのに、私の傍に控えてくださっているノエル様が、頼もしい。素敵。
「な!お前は私の護衛だろう!!」
「黙れ!婚約者一人幸せにできないやつが、偉そうに言うな!」
ノ、ノエル様、一応殿下ですわよ。どうどう。でも嬉しいですわ。
こめかみに青筋を立てながら、お父様が言う。
「いいことを教えてやろう、貴様の”真実の愛”とやらは浮気だ。ちなみにお前の父親と母親の”真実の愛”も浮気だぞ?だから慰謝料が発生したんだ。この馬鹿親子が!!」
「私の大事な親友、そして、私の愛する娘。私の大切な人たちを次から次へと。このお花畑家族!!」
お父様、お母様…。
ああ、もう、無礼講なのかしら…。
「不敬な!!」
顔を歪め皇太子が叫ぶ。
「エドガール、もう黙れ…皇太子有責での婚約破棄としよう。アイリーン嬢の経歴の傷になってしまうため解消、いや白紙にしたいが、あんなに多くの人の前で宣言してしまったため、どうにもならないだろう…重ね重ねすまなかった。」
皇后さまが再び、泣き崩れる。
「…慰謝料など詳しいことは、後日にしよう。なあ、テオ、こんな結果、私とて望んでいなかった。せめてもっと…。息子にチャンスを与えなかったのはお前かもしれないぞ。」
ああ、そうかもな…と悲しげに笑う陛下。
そうよね、もっと平和に皆が幸せになる未来もあったわよね。私の行動にも原因がなかったとは言えないわ。放置したのですもの。
「祝 婚約破棄」という気持ちにはならないわ…
陛下が頭を下げる。
「父上!!」
「は?謝罪は受け取らん。話を進めろ。」
ああ、寒いわね。夏だっていうのに。
まずは皇太子の言い分を聞き、涙ながらに訴える男爵令嬢の一人劇場を見る。
「なるほどな、私のアリーがそちらの令嬢を虐げ、婚約者の責任感から話を聞き慰めていたが、そのうち心を通わせたと。」
「そうです!だから破棄を宣言したんだ!!」
私のお父様に向かって、強気ですこと。怖いわ。
「はっ!その話が真実だとしても、たかだか男爵令嬢を虐げたくらいで大げさな。私のアリーは侯爵令嬢だ。あんな大勢の前で恥をかかせられる筋合いはない!!それに、虐げたところを見たのですか?殿下は。」
ひどい…といって、殿下にもたれかかる男爵令嬢。
「え、いや、それはその…いや虐げるような女、皇太子妃にふさわしくない!親であるあなたが、権力を笠に着るから娘のアイリーンもそんな考えなんだ!!!」
ちゃんと見てください。この部屋の人たちの顔を。あなたつぶされますわよ。
「…そのような事実はございません。皆様こちらを」
オレリア様が例の記録書を配る。え?人数分?持ち歩いているの?
「いつどのようなことになるかわかりませんのでしたので準備は万端です。それくらいお二人の言動はひどいものです。」
すごい勢いでページをめくるお父様。それを横で見るお母様。目が高速で動いていらっしゃる。速読…お二人とも優秀ですのね。陛下は、頭を抱えながら読み、皇后様は、泣き疲れたのか心ここにあらずね。
「護衛である私も証言します。ここに書かれていることは事実であり、破棄されるべきは殿下の方だと」
殿下の護衛なのに、私の傍に控えてくださっているノエル様が、頼もしい。素敵。
「な!お前は私の護衛だろう!!」
「黙れ!婚約者一人幸せにできないやつが、偉そうに言うな!」
ノ、ノエル様、一応殿下ですわよ。どうどう。でも嬉しいですわ。
こめかみに青筋を立てながら、お父様が言う。
「いいことを教えてやろう、貴様の”真実の愛”とやらは浮気だ。ちなみにお前の父親と母親の”真実の愛”も浮気だぞ?だから慰謝料が発生したんだ。この馬鹿親子が!!」
「私の大事な親友、そして、私の愛する娘。私の大切な人たちを次から次へと。このお花畑家族!!」
お父様、お母様…。
ああ、もう、無礼講なのかしら…。
「不敬な!!」
顔を歪め皇太子が叫ぶ。
「エドガール、もう黙れ…皇太子有責での婚約破棄としよう。アイリーン嬢の経歴の傷になってしまうため解消、いや白紙にしたいが、あんなに多くの人の前で宣言してしまったため、どうにもならないだろう…重ね重ねすまなかった。」
皇后さまが再び、泣き崩れる。
「…慰謝料など詳しいことは、後日にしよう。なあ、テオ、こんな結果、私とて望んでいなかった。せめてもっと…。息子にチャンスを与えなかったのはお前かもしれないぞ。」
ああ、そうかもな…と悲しげに笑う陛下。
そうよね、もっと平和に皆が幸せになる未来もあったわよね。私の行動にも原因がなかったとは言えないわ。放置したのですもの。
「祝 婚約破棄」という気持ちにはならないわ…
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