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第2章

7王家主催、剣の大会

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王家主催の剣の大会。皇太子の婚約者権限でいい席で観戦しなくては。こんな時のための婚約者でしょ。

そう思っていたところ、王家から手紙が届いた。


『剣の大会では、皇太子が優勝者に剣を授ける。皇太子の婚約者として介添えを務めること。』と、あるわ。ほうほう、じゃあ席は、皇太子の隣ってことね。よし、いい席ゲット。あ!でもそしたら声を出して応援はできないわね。動画や写真もきっと無理だわ。よし、ボニーも何とか連れて行けるようにしなくちゃ。


ん?剣?剣!!!そうだわ、ノエル様。物語では、すごく立派な剣を持っていたわ。私が命を落とした剣…ここでもらうんじゃない?


ずっと気になっていた。痛みに耐える顔って美しくないのよね。訓練でどうにかなるものではないでしょう。
もし、強制力やらでシナリオ通りに進んでしまった場合、そんな醜い顔をノエル様に見せてしまうことになる。それはだめよ。それに、大量の血とか…トラウマを与えるわよ、きっと。だって、今、ひいき目に見ても仲良くさせていただいているわけだし…。


そうだ!!美しく散ればいい!

なんかこう、切られた瞬間にきらきらみたいな。血も肉も残らない、きれいな灰きらきらみたいな。

あとかたもなく…そこには、魔石だけが残る。人からも魔石が出るのかしら?私魔力膨大だから、魔石できそうじゃない?

魔物や魔獣も核と呼ばれるものが傷つくと、死骸から魔石を取り出すことができない。


うん、やっぱり「すぱっ、きらきら、魔石ころころ」でどうよ。痛みも感じないくらいの切れ味とかいいわね。そう、万が一のために。
『魔石を握りしめ、涙を流すノエル様』美しい物語のラストじゃない?
…いや泣かせちゃだめでしょ。そして死なないわよ私。万が一、そう、万が一よ。

よし、リサーチよ。王家の剣の購入先。そしてこっそり付与するわ。

********************

大会当日

婚約者枠で皇太子殿下の隣の席についた。ノエル様が、護衛騎士になるのはわかっている。いや、でも、もしももある。実際、私シナリオ通り皇太子に恋はしていないし。少しずつ何かの歯車がくるっているとしたら。

ああ、ノエル様、けがだけは!!ひたすら祈るのみ。



『イヤーカフ』そう、昔プレゼントしたイヤーカフを今でもつけてくださっているノエル様。実は、自動で起動せずノエル様の意志で起動するように再設定してある。騎士を目指すうえで、痛みに耐え、乗り越えることも必要なのだそうだ。

『私の体に傷が残ったら、アリーは嫌悪するだろうか?』を再設定をするときに心配気におっしゃっていたのだが、
『そんなことは決してありません。ただただ心配なだけですわ』と伝えたら、ホッとしたお顔をされていたわ。


ふと、貴族席のほうに目をやると、あら、面白いくらいに睨んでいる令嬢がいる。
うわ、あれがヒロインね。すごいわ、THEピンク。服もすべて、ALLピンク。現実に存在すると違和感半端ないわね。


いいのよ、そんなに睨まなくても。皇太子殿下は、そのうち熨斗をつけて差し上げますわ。しかし、彼女とは初対面よね。あんなに睨まれるなんて、なんだか腹が立つわ。


…皇太子に小声で話をしてみましょう。
「エドガール様?」

皇太子殿下が聞き取れず、体を近づけてくる。

「あちらの方が、ずっとエドガール様をご覧になっていらっしゃるのですが、お知合いですの?」
「え?あ!いや…同じ学院の者だ」

慌てて挙動不審になる殿下

「まあ、そうでしたの。殿下は人気者ですわね。ふふふ。」
このやりとり、内緒話をして照れる殿下に見えたかしら。


うわ、地団太を踏む令嬢を初めてみたわ。おもしろーい。
うーん、でも、あんな性格のヒロインだったかしら?転生者、あり得るわね。

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