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一章 淡紫の泡沫
港街の一時
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喧しい野次馬に囲まれている一際大きな館が見える。ここは町の中心部。館の前に噴水広場があり、円形の花壇には潮風に揺れる色鮮やかな花々。立地から種類は限定的だが、突然の事件に浮足立つ町を健気に飾っている。
船で先刻到着したばかりの面々は、事件は気になりつつも空腹を満たす方が先決である。港町であるここは、海鮮料理が有名だ。路地を一つ曲がれば威勢の良い住人達が魚や野菜を売っている。簡素なテントが軒を連ねる市場は活気に満ち溢れ、多くは豪商の死など気にしていないように見える。そんな市場の中を一人、アレッシオは軒先を冷かしながら食堂を探す。
「坊主、良いの上がってるよ!どうだい?」
「あ~。美味そうだけど、持って移動とかできないし…。食えるところを教えてくれないか?」
「だったら、うちで魚買ってくれりゃカミさんが料理してくれるぜ。ほら、そこが食堂になってんだよ」
魚屋の親父が顎で示す先に、古ぼけた入り口が口を開けていた。奥からいい匂いが漂い、威勢の良い女たちの声が聞こえる。いっそ表の店にいる親父よりも勇ましいのではないか。
「へー。じゃあさ…おっちゃん、おすすめの魚は?」
「これとか…これだな」
指された魚の種類は知らないが厚みがあり、銀の鱗も艶々としている。
「お前さん、一人旅かい?ご両親は見当たらないが」
「そうだよ。両親は死んじまったんだ」
「悪い事聞いちまったな…よし、こいつをサービスしとくよ!」
ばつの悪そうな魚屋の親父が、とげとげとした巻貝を二つ笊に入れてくれる。両親の死はもう終わったことだった。父親に関しては、全くと言って良いほど感慨がないから、一切構わないのだけれど。とは言え、アレッシオは両親を喪った子供である事実は変わらないのだから、素直に甘えることにした。
「別にいいよ。もうずいぶん前の話だし」
魚と貝が入った笊を受け取り、料理の手間賃も含めた銭を渡す。正直手持ちはあまり多くはない。家徒四壁の村に生まれたアレッシオには、親戚中を浚っても先立つものなどありはしないし、ケチな城の騎士見習いの給金など雀の涙だ。だからと言って、城から出る時に幾らかちょろまかしたのは悪いと思っているのだ。一応は。
あれこれと考えながら店の親父に教わった入り口を潜り、恰幅の良い女将に笊を手渡す。女将には席について待つよう促された。繁盛しているのであろう店内は、明るい喧騒に溢れている。左手に並ぶ窓はとても大きく、明るい陽射しが入り、市場の活気もよく見える。ふと、羽が触れた様な感覚に誘われて目を遣ると、黒く真直ぐな髪を顎の辺りで切り揃えた少年がこちらを見ていた。灰色掛かった瞳は、何故か少し呆れているように見えるが、アレッシオとしては初対面で呆れられる要素に覚えがない。
僅かな苛立ちと共にそちらへ向かうと、ゾクリ、としたあの感覚が襲ってきた。城の中で、あるいはここへ向かう船上で出くわした、黒い感情を煮詰めて人型にして固めたようなあの男。
「おまえ」
「何やってるんだよ、赤頭」
間髪入れずに罵倒が来るとは思わなかった。相手が立っていたら、間違いなく頭を叩かれていただろう。
「ここはあの島より花を知っている。その派手な髪をそのままにしているだなんて、人買い共に転売を要求しているようなものだと思うけど?」
「おまえ、白っ…!!」
覚えのある声の持ち主は、アレッシオが言い終わらぬうちに熱々のエビのフリットを口に捻じ込んで来た。熱い美味い熱い痛い美味いと目を白黒させていると、もう一つの尻尾を摘んでいる。美味いが熱いし口の中が火傷で痛い。追加は御免だと両手を挙げて降参した。
「髪ったって、フードで隠してるだろ」
漸くフリットを飲み込み、黒髪の少年の前に座った。目の前に座っても大した反応はないが、あの不吉な気配は未だ健在なのが気に掛かる。近くにいるのか、また取り憑いているのか。元は真っ白な少女の筈だ。船で幼子に取り憑いていたような男だから、幼気な少女を意のままに操るくらいはやってのけるだろう。
「風で飛ばされる事もある。お前は混血だからそうそう名を押さえられるとは思わないけれど…同席している僕まで巻き込まれたら厄介だし。第一、アイツに染料を貰っただろう?」
「僕?」
「危ないからと蛇に性別詐称を強要された」
言葉を交わしてみれば、あの男の話し方とは異なるように感じるが…果たして。
「なるほどなー。ところで、俺はアレッシオ。で、お前はー…」
「好きに呼べばいい。あれにも適当に名付けたんだろう?」
あの男は見た目を誤魔化す事はしても、一々己を隠すような真似はしないと結論付けた。割り切ったところで白い花の呼び名を考える。教えない理由はなんとなくわかっている。悩んでいるうちに、豪快に魚を丸ごと使ったアクアパッツァが運ばれてきた。香ばしい大蒜の香りが空腹を思い出させた。
「おい、何取ってる!?」
「僕のフリット、一つ食べただろ」
「あれはお前が突っ込んだんだ!!」
善戦虚しく、貝を一つ奪われた。
「…くそう…」
唸っても、少女の腹の中に落ちた貝は戻らない。それどころか、再びフォークが突き刺さりそうな気がして落ち着かないので、せっせと口に運ぶ。肉厚の白身魚は甘味があり、ホロリと崩れてとても美味い。大蒜も効いていて、フォークが止まらない。
「ネーヴェってのはどうだ?」
「……単純だね…まぁいいよ。好きに呼べばいいと言っただろう」
ネーミングセンスには些か疑問はあるものの否やはないようだ。そういえば、と、アレッシオは件の小瓶を取り出し、机に置いた。
「どうやって使うんだ?」
髪に付けるのならば量が必要だが、この小瓶の中身はとても少ない。おまけに、無色透明の液体だ。髪を染めるなら、色が着いているものだろう。
「飲め」
「は?」
怪しい男から貰った怪しい液体。正直、口に入れるのはどうかと思う。あの話もあるのだし、遠慮したい。
「心配しなくとも、あれにお前を殺す意思はない」
「えぇ…」
「信用できないのは、わかるけど?」
楽し気な様子が、少しだけアイツを思い出させる。だが、これを言うと恐らく機嫌を損ねるだろう。空気が読めない、と散々仲間内で言われていたが、妙な確信に口を閉した。君子危うきに近寄らず、だ。
考え事に気を取られ、意識が散漫としていたのだ。野生の兎だったならば、とうに狼の腹の中だったろう。キュッと音がした。不吉な音に意識が戻り、ハッ、として顔を上げたが時は待ってはくれないものだ。正面から伸びた細い指に鼻を摘まれ、油断しきっていた口の中に小瓶を中程までねじ込まれた。瓶ごと口に放り込まれなかったのは慈悲だろうか。何とも言えない味が広がり、吐き出したいけれど、不思議と口内の液体はその体積を減らしていく。どうやら、勝手に体に吸収されていく仕組みのようだ。ものすごく体に悪そうな味がしている。僅かにピリピリとした刺激が舌を刺し、香水を拙い感じでブレンドしたような香りがする。端的に言えば、ちょっとどころではなく不味い。口の中から病気になりそうで、緩いとろみが尚の事気持ち悪さを助長する。
「まっっっず!!!!」
水をがぶ飲みするアレッシオを眺め、少女───
ネーヴェが不思議そうな顔をした。
「そんなに不味いかな、これ?紅茶みたいな味だったのに?」
「差別反対!!!」
アレッシオ用は容赦なく不味かったのだという事実は知りたくなかった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
魚はスズキ。あと、ネーヴェの口調を少し柔らかくしました。前のも直さないと。
船で先刻到着したばかりの面々は、事件は気になりつつも空腹を満たす方が先決である。港町であるここは、海鮮料理が有名だ。路地を一つ曲がれば威勢の良い住人達が魚や野菜を売っている。簡素なテントが軒を連ねる市場は活気に満ち溢れ、多くは豪商の死など気にしていないように見える。そんな市場の中を一人、アレッシオは軒先を冷かしながら食堂を探す。
「坊主、良いの上がってるよ!どうだい?」
「あ~。美味そうだけど、持って移動とかできないし…。食えるところを教えてくれないか?」
「だったら、うちで魚買ってくれりゃカミさんが料理してくれるぜ。ほら、そこが食堂になってんだよ」
魚屋の親父が顎で示す先に、古ぼけた入り口が口を開けていた。奥からいい匂いが漂い、威勢の良い女たちの声が聞こえる。いっそ表の店にいる親父よりも勇ましいのではないか。
「へー。じゃあさ…おっちゃん、おすすめの魚は?」
「これとか…これだな」
指された魚の種類は知らないが厚みがあり、銀の鱗も艶々としている。
「お前さん、一人旅かい?ご両親は見当たらないが」
「そうだよ。両親は死んじまったんだ」
「悪い事聞いちまったな…よし、こいつをサービスしとくよ!」
ばつの悪そうな魚屋の親父が、とげとげとした巻貝を二つ笊に入れてくれる。両親の死はもう終わったことだった。父親に関しては、全くと言って良いほど感慨がないから、一切構わないのだけれど。とは言え、アレッシオは両親を喪った子供である事実は変わらないのだから、素直に甘えることにした。
「別にいいよ。もうずいぶん前の話だし」
魚と貝が入った笊を受け取り、料理の手間賃も含めた銭を渡す。正直手持ちはあまり多くはない。家徒四壁の村に生まれたアレッシオには、親戚中を浚っても先立つものなどありはしないし、ケチな城の騎士見習いの給金など雀の涙だ。だからと言って、城から出る時に幾らかちょろまかしたのは悪いと思っているのだ。一応は。
あれこれと考えながら店の親父に教わった入り口を潜り、恰幅の良い女将に笊を手渡す。女将には席について待つよう促された。繁盛しているのであろう店内は、明るい喧騒に溢れている。左手に並ぶ窓はとても大きく、明るい陽射しが入り、市場の活気もよく見える。ふと、羽が触れた様な感覚に誘われて目を遣ると、黒く真直ぐな髪を顎の辺りで切り揃えた少年がこちらを見ていた。灰色掛かった瞳は、何故か少し呆れているように見えるが、アレッシオとしては初対面で呆れられる要素に覚えがない。
僅かな苛立ちと共にそちらへ向かうと、ゾクリ、としたあの感覚が襲ってきた。城の中で、あるいはここへ向かう船上で出くわした、黒い感情を煮詰めて人型にして固めたようなあの男。
「おまえ」
「何やってるんだよ、赤頭」
間髪入れずに罵倒が来るとは思わなかった。相手が立っていたら、間違いなく頭を叩かれていただろう。
「ここはあの島より花を知っている。その派手な髪をそのままにしているだなんて、人買い共に転売を要求しているようなものだと思うけど?」
「おまえ、白っ…!!」
覚えのある声の持ち主は、アレッシオが言い終わらぬうちに熱々のエビのフリットを口に捻じ込んで来た。熱い美味い熱い痛い美味いと目を白黒させていると、もう一つの尻尾を摘んでいる。美味いが熱いし口の中が火傷で痛い。追加は御免だと両手を挙げて降参した。
「髪ったって、フードで隠してるだろ」
漸くフリットを飲み込み、黒髪の少年の前に座った。目の前に座っても大した反応はないが、あの不吉な気配は未だ健在なのが気に掛かる。近くにいるのか、また取り憑いているのか。元は真っ白な少女の筈だ。船で幼子に取り憑いていたような男だから、幼気な少女を意のままに操るくらいはやってのけるだろう。
「風で飛ばされる事もある。お前は混血だからそうそう名を押さえられるとは思わないけれど…同席している僕まで巻き込まれたら厄介だし。第一、アイツに染料を貰っただろう?」
「僕?」
「危ないからと蛇に性別詐称を強要された」
言葉を交わしてみれば、あの男の話し方とは異なるように感じるが…果たして。
「なるほどなー。ところで、俺はアレッシオ。で、お前はー…」
「好きに呼べばいい。あれにも適当に名付けたんだろう?」
あの男は見た目を誤魔化す事はしても、一々己を隠すような真似はしないと結論付けた。割り切ったところで白い花の呼び名を考える。教えない理由はなんとなくわかっている。悩んでいるうちに、豪快に魚を丸ごと使ったアクアパッツァが運ばれてきた。香ばしい大蒜の香りが空腹を思い出させた。
「おい、何取ってる!?」
「僕のフリット、一つ食べただろ」
「あれはお前が突っ込んだんだ!!」
善戦虚しく、貝を一つ奪われた。
「…くそう…」
唸っても、少女の腹の中に落ちた貝は戻らない。それどころか、再びフォークが突き刺さりそうな気がして落ち着かないので、せっせと口に運ぶ。肉厚の白身魚は甘味があり、ホロリと崩れてとても美味い。大蒜も効いていて、フォークが止まらない。
「ネーヴェってのはどうだ?」
「……単純だね…まぁいいよ。好きに呼べばいいと言っただろう」
ネーミングセンスには些か疑問はあるものの否やはないようだ。そういえば、と、アレッシオは件の小瓶を取り出し、机に置いた。
「どうやって使うんだ?」
髪に付けるのならば量が必要だが、この小瓶の中身はとても少ない。おまけに、無色透明の液体だ。髪を染めるなら、色が着いているものだろう。
「飲め」
「は?」
怪しい男から貰った怪しい液体。正直、口に入れるのはどうかと思う。あの話もあるのだし、遠慮したい。
「心配しなくとも、あれにお前を殺す意思はない」
「えぇ…」
「信用できないのは、わかるけど?」
楽し気な様子が、少しだけアイツを思い出させる。だが、これを言うと恐らく機嫌を損ねるだろう。空気が読めない、と散々仲間内で言われていたが、妙な確信に口を閉した。君子危うきに近寄らず、だ。
考え事に気を取られ、意識が散漫としていたのだ。野生の兎だったならば、とうに狼の腹の中だったろう。キュッと音がした。不吉な音に意識が戻り、ハッ、として顔を上げたが時は待ってはくれないものだ。正面から伸びた細い指に鼻を摘まれ、油断しきっていた口の中に小瓶を中程までねじ込まれた。瓶ごと口に放り込まれなかったのは慈悲だろうか。何とも言えない味が広がり、吐き出したいけれど、不思議と口内の液体はその体積を減らしていく。どうやら、勝手に体に吸収されていく仕組みのようだ。ものすごく体に悪そうな味がしている。僅かにピリピリとした刺激が舌を刺し、香水を拙い感じでブレンドしたような香りがする。端的に言えば、ちょっとどころではなく不味い。口の中から病気になりそうで、緩いとろみが尚の事気持ち悪さを助長する。
「まっっっず!!!!」
水をがぶ飲みするアレッシオを眺め、少女───
ネーヴェが不思議そうな顔をした。
「そんなに不味いかな、これ?紅茶みたいな味だったのに?」
「差別反対!!!」
アレッシオ用は容赦なく不味かったのだという事実は知りたくなかった。
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