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第三十六章 守りたいモノ、守るべきモノ

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 セラたちに話し終えた後、アンバーはルカだけを連れて別の部屋に移った。薄暗い部屋。電気もつけずに、ルカはアンバーに問うた。

「で、アンバー、何で俺だけを呼んだ? 最初に俺だけにあの予言を話したのも、何か理由があっての事だろう? ……他のセラには、聞かれたくない話、ってことか……?」

 真っ直ぐにアンバーを見つめ、ルカはそう問いかける。目が慣れてくると、その表情も、見えるようになった。アンバーはルカの言葉に一瞬目を丸くして、かなわないなぁ、といって、苦笑した。いつものような口調で、冗談めかして、アンバーは呟く。

「白銀の狩人さんに嘘や誤魔化しは通用しそうにないね」
「おふざけはいいから」
「……はいはい」

 いつになく真剣な目をして、ルカがアンバーに言うと、アンバーは困ったような顔をして、頷く。気を取り直すように一つ深呼吸してから、アンバーは琥珀色の瞳で、ルカを見つめた。真剣な、眼差しで。

「他のセラに聞かれたくない、というよりは他のセラには無関係……だから、かな。話を元に戻そうか。……ねぇルカ。君はどれくらいあの悪魔属性の魔術使いたちについて、調べた?」
「は?」

 唐突な問いかけに、一瞬動揺の色を見せたルカ。アンバーはそれを見逃さなかった。

「僕は知ってるよ。今日のも、任務なんて嘘だよね? フィア君を襲った奴らを探しに行ってたんでしょう? ……多分、君の仮説を証明するために」

 ルカの答えを待ちながら、アンバーは窓枠に腰かけた。月明かりがアンバーを照らす。ルカは答えず、俯いている。その姿を一瞥したアンバーはそのまま、言葉を続けた。

「ルカの仮説は合ってるよ。僕らも、彼らの研究は続けていた。彼らは、人間じゃない。彼らは悪魔の魔術で作られた操り人形マリオネットと呼ばれる存在だ」

 アンバーの言葉に、ルカは何度か瞬きをする。そして、一つ溜息を吐いた。

「……そうか。やっぱり、お前には隠せなかったか」

 そういって、ルカは軽く肩を竦めた。そして、真っ直ぐにアンバーを見つめて、言葉を続ける。

「ロシャがフィアに触れられることが可笑しいって気づいてから、彼奴らは人間じゃないだろう、って思ったんだ。彼奴らが普通の人間なら、或いは純粋な悪魔族なら、天使であるフィアに触れて平気なはずがないからな」

 そう、ルカはカロンの父、ロックが死んだあの事件から、ずっとあることを疑問に思い、調べていたのだ。それは、ロシャがフィアに触れても平気だったのは何故か、ということ。普通なら、悪魔が天使に触れることが、出来るはずがない。ということは、ロシャは普通ではないのではないか? そう考え、ルカはロシャたちの将来を個人で調べていたのだった。全ては、彼らに触れられるだけで酷く衰弱する……場合によっては命を落としかねない、従弟のために。
 悪魔属性の魔力を持つだけの人間が、フィアに触れられるはずがない。では、もし……あれが、人間ではないん何者か、だったら? 悪魔の魔力を持つ、人間を……普通の生き物を超越した何かだったら? ルカはそう仮説を立てたのである。
 彼の推測はどうやら正しく、ロシャは普通の人間や悪魔族ではないようなのだと、アンバーは言った。それを、騎士団の頭脳派、水兎の騎士たちも突き止めた、と。
 しかし、それだけではルカの問いに答えが出ない。今、何故ルカだけがアンバーに呼ばれたのか、という疑問は残ったままだ。ルカはなおも質問を重ねた。

「それで? 確かに彼奴らの正体は気になっていたが、今はその話は関係ないだろ。お前の言いたいことは何だよ?」

 少し苛立ったようなルカの言葉にアンバーは困ったように笑って、言った。

「多少は関係あるんだよ。あの操り人形たちは天使の力……フィア君の力倒さなければならない敵の一つだからさ」

 フィア、という言葉にルカが反応した。その表情を見て迷いが生じたのか、アンバーは顔を伏せ、言うべきか、と悩むような顔をする。しかし、覚悟を決めたように、すぐ顔を上げた。そして、ゆっくりと言葉を紡いだ。

「……未来を視る、といっても色々な方法があってさ。僕はね、夢を見たんだよ。二つの夢を。予知夢、ってやつかな。さっき、みんなに僕が話したのが、そのうちの一つ」

 アンバーの言葉にルカの目が大きく見開かれた

「二つ?」

 彼の予知した未来が、二つという意味だろうか。そうルカが問えば、アンバーは小さく頷いた。

「その通り。僕が予知した未来は、二つある」
「そのもう一つでは、さっき他の奴らに話したような未来にはならない、ってことか?」

 期待の籠った瞳で、ルカはアンバーを見つめる。アンバーは小さく頷いて、言った。

「もう一つの夢では、僕らの世界は滅ばないよ」

 その言葉にルカは顔を輝かせた。

「じゃあ、なんでその話をさっきしなかったんだ」
「出来なかったんだよ。下手な期待は、持たせられないでしょ」

 アンバーの言葉に、思わずルカは口を噤む。……そうだ、そうに決まっている。そんな、”良い未来”ならば、アンバーが隠すはずがない。それを先程語らず、今こうしてルカを、ルカ一人を呼んだということは……つまり、そうしなければならなかった理由があった、という訳で。
 アンバーはそっと、息を吐き出す。そして、呟くような声音で言った。

「でも、そちらの夢で見た君は……ルカは、泣いてた。泣きながら、ただ一つの名前を、呼んでいた。ルカ、君が呼んでいた名はね……――」

 その言葉を聞いて、ルカは凍りついた。
 今のアンバーの言葉で、ルカは……未来にある、二つの道を知った。確実な未来を視ることが出来るアンバーが示す、二つの未来を。
 声が震えるのを押さえて、ルカはアンバーに問う。

「それは、つまり……」

 アンバーは暫し迷ってから、小さく頷き、ルカを見つめた。揺らぐ瞳を見て、悲しげな顔をしながら告げる。

「正しく言いなおそうか。僕が見た夢のうち、一つは破壊されたこの城で君や僕……他の仲間たちの亡骸を見て呆然としているフィア君の姿。もうひとつは悪魔やあの操り人形たちが封印され、喜ぶ騎士たちの中で、泣きながらフィア君の名を呼んでいるルカの姿」

 言葉を紡ぐ度、ルカの顔が悲痛に歪んでいくのを見ながら、それでもアンバーは言葉を続けた。
「……道は、二つあるんだよ。全てを失い、天使が生き残る道と、天使を生贄に全てが救われる未来と。一つの未来では、天使……フィア君を犠牲に、世界は救われるんだ」

 ルカはその言葉に絶句した。何を言うことも、反応を示すことも出来ず、ただアンバーを見つめる。
 アンバーの言葉は、ルカにとって残酷すぎるものだった。騎士として選ぶべき道は後者。一人を犠牲に、多くの国民を救えるのならば、その道を選ばなければならない。しかし、そのために失うものが、彼にとって大き過ぎるのだ。
 顔を歪める俯く彼を見つめ、アンバーは言った。

「未来は選べるものじゃない。例え、君がフィア君を生贄にすることを望んだとしても、実際の未来は全ての崩壊かもしれない」

 あくまで自分にできることは予知すること。その道を決める術も何もないのだ、と。アンバーは悲し気に語った。

「未来は、自分で選べないんだ」

 静かにそう言ったアンバーは、言葉を切った。
 その、刹那。不意に淡々と話すアンバーの胸倉を掴み、ルカは叫んだ。

「アンバー、何で、何で俺にこの話をした?! そんな、選べもしない二つの道を、何で俺に、俺だけに教えたんだよ……ッ!」

 アンバーの琥珀の瞳を見据え、ルカは叫ぶ。
 どうせ選べない道ならば、知りたくなかった。知らないままなら、こんなに苦しまずに済んだ、それなのに……そういって、自分の胸倉を掴み挙げるルカの手が震えている。
 アンバーは静かにルカの手を解くと、笑って、言った。

「これを伝えておかないと、本当に、最悪の結末バッドエンドになると思ったから」

 ぽつり、と呟くように、アンバーは言う。

「……え?」

 その言葉に、ルカは大きく目を見開く。自分をじっと見つめる琥珀の瞳が、微かに潤んでいるように見えたのは、気のせいだろうか。
 言葉の真意を見出せないルカに、アンバーは告げた。

「何も知らないままに、後者の未来が訪れたら、ルカ、君まで壊れてしまう。君がフィア君を誰より大切に思っていることは、僕たちもよく知っているからね」

 ずっと、近くで見ているのだ。ルカは統率官としての仕事をこなしながらも、フィアのことを大切な家族としていつも守っていることを。そしてフィアもまた、ルカのことを大切な家族だと思っていることを。それを、アンバーたちも知っている。
 だからこそ、今その残酷な二つの未来を君に告げたのだ、とアンバーは言う。

「彼が、フィア君がいなくなった時、悲しみに暮れて、君が壊れてしまう気がするんだ。これは予知じゃなくて、予感だけど……君が壊れてしまうのを、僕は見たくないよ」

 そう言った後、アンバーは酷く困ったような……泣き出しそうな顔をして、つけ足した。

「僕、本当にこの力だけは持ちたくなかった。未来を知ることができても、それを変えることはできない。痛感するんだ。自分の弱さを、無力さを……こんな虚しいこと、ないよ」

 固く拳を握って、アンバーは言った。その声は、微かに震えている。月明かりに照らされる横顔は、微かに歪んでいた。

「ごめんね……力に、なれなくて」

 掠れた声でそう言って、彼は微笑んだ。そんなアンバーを見て、ルカは複雑そうな顔をした。
 苦しいのは、自分だけではない。それがわかってしまったため、ルカは言葉を見つけることができなくなった。怒りを、ぶつけることが出来なくなってしまった。
 暫し黙り込んでから、ルカはがしがしと自分の頭を掻いた。そして、半ば唸るような声で言う。

「アンバー、俺さ、どうしたらいいんだろう? 頭ではわかってるんだ。一人の命より、多くの命の方が大事だってこと。でも……」
「ルカ」

 彼の言葉を遮って、アンバーは言った。

「ルカ、わかってるよ。全部わかってる。……でも、最終的な未来は選べないよ。だから……」

―― もしもの時の覚悟だけ、しておいて。

 そう言って、アンバーは部屋から出ていった。響く靴音が、次第に遠くなっていく。
明りの灯らない、暗い部屋の中で、ルカは一人、静かに涙を零した。ちらつくのは、楽しそうに笑う国の人たちと、大切な、大切な従妹の姿。その何方かを、確実に喪うという。
 騎士になって、こんなにも泣いたのは、フィアの両親が殺され、自分の無力さを痛感した時以来だった。

「俺には、守りたいモノが多すぎる……ッ!」

***

 ルカがアンバーとの会話を思い返していたのは、実際数秒だっただろう。

「ルカ?」

 怪訝そうな声でジェイドに呼ばれるまで、ルカは思考に耽っていたらしい。これでは、いけない。そう思ったように、ルカはゆっくりと首を振る。
 そしてフィアを抱きかかえたまま、ジェイドと向き合っていたルカは、ふっと笑って、言った。

「……何も思ってない訳じゃないさ」

 ジェイドにルカは言う。静かな声で。

―― それは、彼の本心だ。

 その声は微かに震えているようだった。何も思っていない訳ではない。寧ろ、色々なことを考えすぎてしまう。必死に泣くのを堪えているような……そんな声。
 しかし、毅然として、真っ直ぐにジェイドを見つめ、ルカはきっぱりと言った。

「でも、俺たちが動揺していたら、崩れてしまったら……この騎士団はどうなる? 柱である俺たちが揺らいでしまったら、他の奴らはもっと動揺するだろう? いつ”その未来”が起きるかわからない。それならせめてそれまでは……いつも通りでいよう」

 それがきっと、最善だ。そのために、アンバーは俺たちに“あの話”をしたのだろう。そう言ったルカは、いつものように笑顔を向けた。

「……俺は戦うよ。それは無意味なことかもしれないが、何もしないで滅ぶのをただ待つくらいなら……みっともなく足掻いてやるさ」

 ルカはそう言って、肩を竦める。ジェイドはその言葉を聞いて、驚いたように何度か瞬きをすると……ふっと微笑んだ。

「それも、そうですね」

 ジェイドは静かに、そう言った。そしていつものような、穏やかな笑みを浮かべ、ルカに礼を言った。

「僕も臆病になったものです。少し、元気が出ましたよ。ありがとう、ルカ」

 ジェイドは静かな声でそう言う。アンバーの予知した未来の話を聞いてからずっと、恐ろしさに胸が締め付けられていた。未来を歩むのが怖くて、足が竦んでしまっていた。真っ直ぐに前を、未来を見据えることが出来ているルカが強いと、そう思っていた。しかし、今のルカの言葉で、少し前を向くことが出来たような気がする。そう思いながら、ジェイドは微笑む。
 そんな仲間の様子を見てほっとしたような顔をすると、ルカは小さく頷いた。

「あぁ。その方が、ジェイドらしいよ」

 そう言って笑ったルカはそっと、腕に抱き抱えていたフィアを抱き直し、言う。

「じゃあ、俺はフィアを部屋に連れていくから」
「えぇ。すみません、呼び留めてしまって」

 ジェイドは頷き、ルカの背を見送る。ルカはフィアを宝物のように抱き抱えたまま、彼の部屋に向かったのだった。

***

「ふぅ……」

 フィアをベッドに寝かせ、ルカは一息ついた。酒が入り、深く眠りこんでいるフィアは目を覚まさない。フィアの規則正しい呼吸音だけが静かな部屋に響く。穏やかな寝息を立てている彼の額をそっと撫でながら、ルカは一つ息を吐き出した。

「……臆病なのは俺の方だよ」

 先刻のジェイドの言葉を思い出し、ルカは小さく呟いた。くしゃり、と自分の黒髪を掻き揚げて、目を伏せる。
 守らなければならないもの。守りたいもの。その二つの狭間でルカの心は揺れていた。
 弱音一つ吐かずに真っ直ぐ自分の道を貫き通してきたフィア。男として、騎士としてこの城で生きることはきっと、辛いことも多かっただろうに。そんな彼のことを、ルカは誰よりも大切に思っていた。
 もし、先程アンバーが語った未来を告げた時、フィアが少しでも怖いと、辛いと、言ったなら、ルカはフィアを連れてこの国から逃げるつもりでいた。裏切り者だと言われてもいい。それだけの覚悟をルカはしていた。未来は選べないといったって、そうならないための行動なら、幾らでも取るつもりでいた。
 しかし……きっとフィアはそんなことを言わない。逃げ出したいだなんて、言わないだろう。

―― 俺が消えてこの国が救われるなら、俺はそれでいい。

 アンバーが語った未来を告げた時、逃げることも出来ると告げたとしても、そう言って微笑むフィアの顔が妙にリアルに思い浮かべられて。フィアはきっとそういうだろうとルカはわかっていた。十七年間、ずっと一緒にいて、ずっと前から彼女を知っているのだ。フィアがそういう人間だと、嫌という程よく知っている。

「なぁ、フィア……俺は……」

―― どうしたら、良いだろう。

 答えが返ってこないとわかっていても、問わずにはいられなくて、ルカは今にも消えてしまいそうな程の声で呟いた。いつの間にかあふれた涙がルカの頬を伝って、落ちる。止めようと思っても、雫は止まらない。情けないなと、自嘲気味に笑うことしか、ルカには出来なかった。

「……泣いて、いるのか?」

 不意に聞こえた声にルカははっと息を呑んだ。そして、驚いたようにベッドの上を見る。

「フィア、起きてたのか?」

 ベッドに寝転んだまま、しっかりとルカを見つめている蒼い瞳。彼の意識は、すっかり覚醒しているように見えた。今更遅いとわかってはいたが、ルカは慌てて涙を拭った。そして、何でもないように訊ねる。

「酒、抜けたのか?」

 この酔っ払い、と少し揶揄うようにルカは言う。そんな彼の問いに、フィアは暫し黙り込んだ。

「……いや、まだ酔ってるかな」

 そう答えるフィアの声はしっかりしている。酔っているようには聞こえないし寝ぼけているようでもない。平気そうじゃないか、と言おうとしたルカの声を、フィアが遮った。

「まだ酔ってる……から、朝になったら全部忘れる。今見たものも、話したことも」
「は……?」

 何のことだ、ときょとんとするルカを他所に、フィアは言葉を続けた。

「お前に、何があったのかもさっぱり分からないし、知りたいとも思わない。けど……やっぱり、少しはその……心配、だから。何か、あったのか、って思いはする、から……」

 だから、元気を出せ。フィアはそう言うとかぁっと顔を赤くして、ばさりと布団を頭から被った。

「……今のも、酔った勢いだ。……忘れろ」

 布団越しのくぐもった声でそう言うと、フィアはもう何も言わず布団から顔を出そうともしなかった。そんなフィアの様子にルカは少し驚いた後、僅かに微笑み、

「ありがと、な」

 と小さな声でいった。安堵したような、穏やかな声音で。いつしか、涙は、止まっていた。

「じゃあ、俺行くよ。……おやすみ」

 ルカは、一度布団越しにフィアの頭を撫でて、部屋から出ていった。
 静かになった部屋。フィアは布団から顔を出して、ルカが出て行ったドアを見つめた。

「ルカが泣いているのなんて……」

 小さな頃から傍にいた。ずっとずっと、一緒にいた。笑顔や、困った顔は何度も何度も見たけれど、彼が泣いている姿を見た記憶は、殆ど無い。何時だって強くて、逞しくて、底抜けに明るいルカの涙を見たことは、殆ど無いのだ。
 何故彼が泣いているのか、知りたくないなんて嘘だった。忘れるなんて、嘘だった。心配しているということだけ本当だった。

「俺に話せないようなことだというのか……?」

 フィアは静かに、そう呟く。
 しかし、悩んでも答えは見つからない。見つかるはずがないと知りながら、フィアは一人、答えを探していた。

***

 一方ルカは自室に戻り、剣を磨いていた。自分の大切な剣……騎士としての誇りを。
 ジェイドと話し、フィアと話して一つの決意をした。それは……

―― 両方の未来、ぶち壊してやる。

 未来を変えること。それがルカの見つけた答えだった。
 フィアを失うことを恐れるなら国が滅ぶ? フィアを失わなければ国を救えない? そんな運命しか待ち受けていないというのならば。

「両方とも、ぶっ壊す」

 ヒュンっと剣を振り下ろす。見えない敵を切り裂くように。下らない未来を叩き斬ってやる、というように。鋭い赤の瞳は、決意を語っていた。

「国も、フィアも……俺が守ってやる。例え……」

―― この命、尽きようとも……!
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