オメガの僕が運命の番と幸せを掴むまで

なの

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あさひは恥ずかしそうに俺の後ろに隠れていた。

「幸樹…これからどうするんだ?」

「あぁ…警察にあさひの写真を証拠として提出してくるよ。あさひ大丈夫か?」

「はい…会わなくてもいいですよね?」

「それはもちろん。大丈夫、会わせないから」

「じゃあ早く行きなよ。俺たちも当てられそうだわ」

「えっじゃあ4人目できちゃうかな?」

「春樹…何言ってんだ。今でも大変だろ?」  

「でも子どもは多い方が楽しいよ」

「あさひくんも子ども欲しい?」

「子どもですか?僕は…」

「今度一緒にうちの子どもに会ってよ。待ってるね」
達也と幸樹に見送られ、俺たちは役所に書類をだして晴れて正式に結婚した。

これから先、どんなことがあっても、あさひを守ると…

その後、あさひが不安そうなので小野を呼び出した。

「立花先輩…って。こんばんはあさひくんだよね?」

「こんばんは」

「やっぱり可愛いね。いいの?こんなおじさんで…」

「おじさんは余計だろ!」

「失礼しました。で…持ってきてくれたんですか?」

「これだけど、大丈夫か?」

「あさひくんからも話聞きたいけど大丈夫?」

「はい…幸樹さん…」

「大丈夫、一緒にいるから」
俺は不安そうに見つめるあさひの肩を抱き、一緒に話を聞いた。

どのくらいの頻度で叩かれたりしたのか、病院には行ったことがあるかとか…あさひは不安そうにしながらも俺の手を握って答えてくれた。

「ありがとう。もう十分だよ。あさひくん。辛いのによく話してくれたね」

「はい。すみませんがよろしくお願いします」

「あさひ疲れたな。家に着くまで眠ってていいから」
そう言うと、すぐに寝息が聞こえてきた。
眠れるというのはいいことだ、最近はうなされる回数も減ってきたように思う。あさひの寝顔を時たま見ながら家までの道を走った。

「あさひ、起きて着いたよ」

「うーん」
まだ寝ているあさひを抱いて車から降りた。
最近ようやくちゃんと食べるようになったが、まだまだ軽い体だ。
そのまま2人でベットに横になった。
温かいあさひの体を抱きしめて、頭を撫でてやると、その手に擦り寄ってくる。
潰さないように優しく抱きしめて、時折キスをする。
そのまま俺も眠りたいけど、ご飯を作って、お風呂の用意でもするか。気合いを入れて起き上がった。

目が覚めると僕はベットに1人でいた。幸樹さんの姿がなくて…途端に寂しくなった。
車に乗った記憶は覚えている。幸樹さんに頭を撫でられてた気がするけど…
1人のベットが寂しくて起き上がって部屋を出た。

リビングの扉を開けたが幸樹さんの姿が見えない。
「幸樹さん…幸樹さん」
呼んでも声が聞こえない。
キッチンにも洗面所にもお風呂場にも…どこにも姿がなくて…でもキッチンには作りかけのサラダとお味噌汁、ご飯も炊けてる。
玄関に行ったが幸樹さんの靴がなかった。
僕は置いて行かれた…どうして1人なの?
最近大丈夫だったのに、息が苦しくなって、玄関の壁にもたれて息を整える。

「大丈夫…大丈夫…きっと帰ってくる」
そう思っても不安が大きくなり、どんどん影が落ちてきて、涙が出てきた。幸樹さん…早く帰ってきて…

ガチャ
「あさひ、あさひ…しっかりしろ。目開けれるか?」

「幸樹…さん?」

「あぁ俺だ。わかるか?目覚めちゃったのか…ごめんな。俺がいなくて寂しかったんだな」
抱きしめてくれる手の温もりと、幸樹さんの匂いに安心して僕はそのまま気絶するように眠ってしまった。


晩ごはんを作り始めて材料が足りないことに気づいた俺は、あさひが寝てるのを確認して車でスーパーに行った。ついでにあさひが好きだと言ってたアイスをお土産に買って家に着いた。あさひはまだ夢の中だろう。そろそろ起こしてもいいかな?と思いながら玄関のドアを開けると、壁にもたれて浅い息をしているあさひの姿が目に飛び込んできた。
あさひはまだ心に不安を抱えたままだったんだと思い知らされた。番になって安心かと思ったけど、そうじゃなかった。
あさひを抱きしめる手に力が入った。
「ごめんな、あさひ。買い物なんて行かなければよかったな」
涙で濡れた頬にそっとキスをした。
俺の腕の中で、さっきとは違う穏やかな顔で寝息を立てているあさひを見て俺の気持ちも落ち着いてきた。
リビングのソファにあさひを寝かせた。ここからなら俺の姿を確認できる。
玄関から少し溶けかけたアイスを拾い、冷凍庫に入れてから、ソファで寝ているあさひを抱きしめた。
「これからは一緒だよ。どんな時も…」
そう言って頭を撫で続けた。




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