オメガの僕が運命の番と幸せを掴むまで

なの

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「あさひ、これから言うことで、あさひが辛かったり苦しくなった時は俺に抱きついていいから…ね」

「わかりました」

「あさひが職場でイジメを受けていたのは調べて知ってたんだ…ごめん。ただ証拠がないと、あさひに痛い思いや、苦しい思いをさせてた奴らを制裁することはできないんだ。でも俺の警察官時代のバディが探してくれたから、これでそいつらを傷害罪として立件できるかもしれない。あさひの他にも、暴行をされていたオメガがいたようなんだ。そいつらを訴えるには、あさひの証言が必要なんだ。だいたいでいいから、どんな事をされたのか、それと…体に残ってるアザなどの写真も…協力してくれないか?…ってあさひ?」
見ると、あさひの顔は青ざめ、呼吸が浅くなっているのに気づいた。咄嗟にあさひを膝の上に抱え、向かい合わせに抱きしめた。

「辛いこと思い出させたな。ごめんな。辛いこと、苦しいことたくさんあったんだよな…もう大丈夫だから、そんな目には2度と合わせない。約束するから、俺があさひを守るから。ゆっくり呼吸しよう」
トントンと呼吸に合わせて叩いてやる。

「あさひくん、ちょっと人差し指貸してね」
達也がパルスオキシメーターという指にはさむ機械を使って、酸素飽和度を測定
していた。
春樹があさひの頭を撫でてくれた。
あさひは徐々に呼吸が穏やかになってきた。あさひの顔を覗くと目に涙を浮かべ
「幸樹…さん…ごめんなさい」と鼻を啜りながら言ってきた。

「大丈夫だ。俺こそ嫌なこと思い出させたな」

「違うんです…」

「違う?」
すると涙を溢しながら俺の顔を見上げてきた。
「僕の体、汚くて…」

「何言って…」

「僕の体、アザだらけで背中にも……残ってて。本当は見られるものじゃないのに…大事に優しくしてくれて…あの時はヒートだったから気にしてなかったけど…考えたら、僕の体なんか見たくなかったよなって…幸樹さん…優しくしてくれてありがとうございました。あの……僕……」
俺の膝から降りようとしたあさひをしっかりと抱きしめた。そして、頭や傷が残る背中をさすった。

「あさひの体は汚くない。綺麗だよ。だから俺から逃げようとしないでくれ。あさひが今まで辛い思いをしたのを全てわかってあげられないのは苦しいけど…これから先は俺と楽しい未来しかないんだ。ずっと一緒にいるって約束しただろ?あさひはこれから幸せになる権利があるんだ。それに…この傷は、あさひが頑張った証だよ。そして辛いだろうけど、この傷が残ってるからこそ映像だけじゃなく、いじめられていた、あさひ自身の証言も加われば、あいつらを罰することができる。だからあさひは自分の体のことを気にしなくていい。本当に大丈夫だから。もし俺があさひの身体が嫌だと思ったらいくら発情期に当てられたからって勃たないから。俺はあさひのことが本当に大好きなんだよ。わかった?」

あさひは泣きながら頷いてくれた。そんなに自分の身体のことを辛く思ってたのかと思うと、俺も涙がこぼれそうだった。

「落ち着いた?」

「はい」

「あさひの身体のアザ、証拠の写真撮ってもいいかな?俺が撮るから」

「はい。大丈夫です」

「達也、春樹悪いけど…」

「俺たちは部屋の外にいるから、何かあったら教えて?」

「悪いな」

あさひの背中に残るタバコの跡を指でなぞって俺は1つ1つにキスをした。

「幸樹…さん?」

「あぁ…悪い。嫌だったか?」

「嫌じゃないですけど…」

「あさひが痛い思いしたんだよな。もっと早く、あさひに会いたかったよ」
思わず後ろから抱きしめた。番の匂いがするうなじに顔を寄せるとくすぐったいのか首をすくめた。
思わずあさひの顎を掬い唇を重ねた。静かな診察室深く重なって、絡む水音が響いた。
「これ以上すると、抱きたくなるな」

「そんなわけっ…」

「本当は、まだ疑ってるんだろ?あさひとキスしただけでこんなだけど?」
あさひの手を取って俺の股間に当てた。俺の起立を触ってびっくりした顔をしていた。

「だから、嘘じゃない」

「嬉しいです」
そう言って抱きついてきた。その時、ドアがカチャと開いて達也たちが入ってきた。

「まだかよ~やりたいなら早く帰れ」

「あぁ…悪い」
俺は脱がしたあさひの服を着せながら答えた。

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