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達也たちが病室を出てってから俺はあさひに声をかけ続けた。
「あさひ、あさひの所に帰ってきたぞ、もうどこにも行かない。だから早く目覚ましてくれよ。あさひに聞いてほしことがあるんだ、話したいことがたくさん。俺はあさひが思うほど完璧な人間なんかじゃない。本当は弱くて、情けなくてどうしようもない人間なんだ。でも、あさひに会って、あさひの為ならなんだってできる。あさひを守る為なら俺はなんだってするから、まぁ~お金はなくなったけど、2人でならなんとか暮らせるよ。だから、あさひ早く目をあけて」
俺は、達也から言われたみたいで嫌だったけど、おとぎ話の王子様がお姫さまにするみたいに、あさひの薄くて小さな唇に触れるだけの口付けを落とした。
まぁ、おとぎ話のように目が覚める…という展開になるわけはなかったが、運命の番、その絆を信じたいと思った。
その夜は、達也に許可を取って、寝ているあさひのベットに潜り込んだ。あさひのぬくもりを感じたくて、あさひの吐息を感じたくて、あさひの匂いを感じながら俺は、あさひをしっかりと抱きしめて眠った。
朝、目が覚めても、あさひはすやすやと穏やかに眠っていた。
「あさひ、おはよう」チュと口付けを落として起きあがろうとすると、なんだか引っ張られるような違和感があった。ふと見ると俺のTシャツの裾をあさひが握り締めていた。
「あさひ、わかるか?わかるのか?俺のことが」
返事はないけど、俺だとわかってくれてるのだろうか?それとも無意識なのか?
そのあさひの俺よりも小さな手を両手で握りしめた。
「あさひのことは俺が守るから。守らせてくれ、これからずっと。だから早く戻ってこい」
すると握ってた手の指が微かに動いた気がした。
「あさひ、わかるか?」その呼びかけに瞼が動いた。もう少し、もう少しできっとあさひは目を覚ましてくれる。
俺は、あさひを抱きしめて、耳元で呼びかけた。
「あさひ、起きて。あさひの目を開けた顔がみたい」
すると
「立花…さん」とあさひの声が聞こえた。
「あさひ、やっと目覚めたか?」
「僕……」
「よく寝てたな。もう何にも心配しなくていいから」
「僕、いっぱい寝てました?それにここ…」
「あぁ…病院だ」
「そういえば、立花さん帰ってきたんですね。それに…手を怪我したって聞きました」
これか?俺はまだ包帯をしている左腕を見せた。
「これ、どうしたんですか?」
「あさひを怖がらせたくなかったから、でももう大丈夫だから、心配しなくてもいいぞ」
「痛くないですか?」
「あぁ…あさひが目覚ましてくれたからな。みんな心配してたから、呼ぶか」俺はナースコールを押して、あさひが目を覚ましたことを伝えた。しばらくすると達也がきてくれた。
「あさひくん目覚めたんだね。具合が悪いところはない?」
「よく寝たって感じがするだけで、他は大丈夫です」
「そうかよかったよ。春樹も佐竹さんも心配してたから、すぐに来るよ」
「すみません。迷惑かけて」
「全然、きっと辛くなったのかな?でも幸樹も帰ってきたし、もう心配することないよ。安心していいから」
「わかりました」
「2人が来るまで、もう少し休んでていいからね。幸樹、頼んだぞ」
「わかった」
「あさひ、あさひは今、何が一番不安に思ってる?」
「不安ですか?」
「そう。不安だったり、心配ごとが多くなって、頭がもう疲れたっていったから目が覚めなかったみたいだけど、なんでもいいから、その時思った気持ちを俺に教えてくれないか?」
「僕、働きたいけど、こんなだから働けないし、立花さんがいないと外にも出れない。だから立花さんや佐竹さんのお世話になるしかなくて…でも僕、まだ運命の番なんてよくわからなくて、本を読んでも僕みたいな人はいなくて、でも立花さんに嫌われたくなくて、だけど立花さんがいなくなったって聞いて、捨てられたんじゃないかって…また1人ぼっちになったのかと思ったら不安で、不安で怖くなっちゃって」
「そうか、俺がいなくなってあさひは不安になったんだな。ちゃんと言えばよかったな。何も言わずにいなくなってごめん。でも俺があさひを捨てるわけない。1人ぼっちになんかしないし、もうどこも行かないよ。あさひが俺と番になってもいいって思ってくれるまで俺は待つから。ずっと待ってるから、あさひの側にいさせて」
「立花さん、ごめんね。運命を信じられなくて」
「謝ることなんてしなくていいから。でも俺の匂いが好きって言ってくれるだけで、それだけで幸せだよ。ここにあさひがいるんだから」
すると急に廊下が騒がしくなって佐竹さんと春樹が病室に入ってきた。
「あさひくんよかった」
「あさひくんおかえり」
「2人とも迷惑かけてすみませんでした」
「何言ってるの。目が覚めてよかったから嬉しいのよ。よく目が覚めてくれたね。待ってたよ」
佐竹さんと春樹に抱きしめられて、嬉しそに笑ってるあさひを見ながら、俺は自分のことを全部打ち明けようと決意をした。
「あさひ、あさひの所に帰ってきたぞ、もうどこにも行かない。だから早く目覚ましてくれよ。あさひに聞いてほしことがあるんだ、話したいことがたくさん。俺はあさひが思うほど完璧な人間なんかじゃない。本当は弱くて、情けなくてどうしようもない人間なんだ。でも、あさひに会って、あさひの為ならなんだってできる。あさひを守る為なら俺はなんだってするから、まぁ~お金はなくなったけど、2人でならなんとか暮らせるよ。だから、あさひ早く目をあけて」
俺は、達也から言われたみたいで嫌だったけど、おとぎ話の王子様がお姫さまにするみたいに、あさひの薄くて小さな唇に触れるだけの口付けを落とした。
まぁ、おとぎ話のように目が覚める…という展開になるわけはなかったが、運命の番、その絆を信じたいと思った。
その夜は、達也に許可を取って、寝ているあさひのベットに潜り込んだ。あさひのぬくもりを感じたくて、あさひの吐息を感じたくて、あさひの匂いを感じながら俺は、あさひをしっかりと抱きしめて眠った。
朝、目が覚めても、あさひはすやすやと穏やかに眠っていた。
「あさひ、おはよう」チュと口付けを落として起きあがろうとすると、なんだか引っ張られるような違和感があった。ふと見ると俺のTシャツの裾をあさひが握り締めていた。
「あさひ、わかるか?わかるのか?俺のことが」
返事はないけど、俺だとわかってくれてるのだろうか?それとも無意識なのか?
そのあさひの俺よりも小さな手を両手で握りしめた。
「あさひのことは俺が守るから。守らせてくれ、これからずっと。だから早く戻ってこい」
すると握ってた手の指が微かに動いた気がした。
「あさひ、わかるか?」その呼びかけに瞼が動いた。もう少し、もう少しできっとあさひは目を覚ましてくれる。
俺は、あさひを抱きしめて、耳元で呼びかけた。
「あさひ、起きて。あさひの目を開けた顔がみたい」
すると
「立花…さん」とあさひの声が聞こえた。
「あさひ、やっと目覚めたか?」
「僕……」
「よく寝てたな。もう何にも心配しなくていいから」
「僕、いっぱい寝てました?それにここ…」
「あぁ…病院だ」
「そういえば、立花さん帰ってきたんですね。それに…手を怪我したって聞きました」
これか?俺はまだ包帯をしている左腕を見せた。
「これ、どうしたんですか?」
「あさひを怖がらせたくなかったから、でももう大丈夫だから、心配しなくてもいいぞ」
「痛くないですか?」
「あぁ…あさひが目覚ましてくれたからな。みんな心配してたから、呼ぶか」俺はナースコールを押して、あさひが目を覚ましたことを伝えた。しばらくすると達也がきてくれた。
「あさひくん目覚めたんだね。具合が悪いところはない?」
「よく寝たって感じがするだけで、他は大丈夫です」
「そうかよかったよ。春樹も佐竹さんも心配してたから、すぐに来るよ」
「すみません。迷惑かけて」
「全然、きっと辛くなったのかな?でも幸樹も帰ってきたし、もう心配することないよ。安心していいから」
「わかりました」
「2人が来るまで、もう少し休んでていいからね。幸樹、頼んだぞ」
「わかった」
「あさひ、あさひは今、何が一番不安に思ってる?」
「不安ですか?」
「そう。不安だったり、心配ごとが多くなって、頭がもう疲れたっていったから目が覚めなかったみたいだけど、なんでもいいから、その時思った気持ちを俺に教えてくれないか?」
「僕、働きたいけど、こんなだから働けないし、立花さんがいないと外にも出れない。だから立花さんや佐竹さんのお世話になるしかなくて…でも僕、まだ運命の番なんてよくわからなくて、本を読んでも僕みたいな人はいなくて、でも立花さんに嫌われたくなくて、だけど立花さんがいなくなったって聞いて、捨てられたんじゃないかって…また1人ぼっちになったのかと思ったら不安で、不安で怖くなっちゃって」
「そうか、俺がいなくなってあさひは不安になったんだな。ちゃんと言えばよかったな。何も言わずにいなくなってごめん。でも俺があさひを捨てるわけない。1人ぼっちになんかしないし、もうどこも行かないよ。あさひが俺と番になってもいいって思ってくれるまで俺は待つから。ずっと待ってるから、あさひの側にいさせて」
「立花さん、ごめんね。運命を信じられなくて」
「謝ることなんてしなくていいから。でも俺の匂いが好きって言ってくれるだけで、それだけで幸せだよ。ここにあさひがいるんだから」
すると急に廊下が騒がしくなって佐竹さんと春樹が病室に入ってきた。
「あさひくんよかった」
「あさひくんおかえり」
「2人とも迷惑かけてすみませんでした」
「何言ってるの。目が覚めてよかったから嬉しいのよ。よく目が覚めてくれたね。待ってたよ」
佐竹さんと春樹に抱きしめられて、嬉しそに笑ってるあさひを見ながら、俺は自分のことを全部打ち明けようと決意をした。
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