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まだ眠っているあさひくんだが起きたら水分とご飯を食べさせてあげないとなぁーと考えてると、あさひくんの目が開いた。
「あさひくん、目が覚めた?」
「あの…すみません。僕、寝ちゃって」
「いいんだよ。初めてで疲れたよね」
「はい。でもまた熱くて…」
「うん。仕方ないね。そうなっちゃうんだよ。本当に厄介だよね。ヒートが来ると…できれば好きなアルファと繋がるのが手っ取り早くて落ち着くんだけどね…とりあえず少し水分取ろう。ご飯は…無理かな?」
冷たい水と栄養ゼリーを少しだけ口に入れた。美味しいけど…身体が熱くなってきて横になった。さっきのタオルを握って匂いを嗅いだ。この匂い…好き…
また手伝おうか?そう言われて病衣の裾をめくられた。僕のモノはすでに立ち上がっていて、また見られてると思うと少し恥ずかしいけど辛いのでまた出したいと思っていると…
もう1回出そうね。そう言って手袋をつけた指を後孔に入れられた「あっ…」つい声が漏れ出てしまう。
さっきしたからだろうか孔の中は濡れていてさっきよりもすんなり指が入っていった。
「あさひくんは好きな人はいる?いたらその人を思いながら前を擦ってごらん。そしたらさっきより楽にいけると思うよ」
そう言われて、ふと立花さんの顔が浮かんだ…なんでこんなときに…あの人は、あの人は…僕のことなんて嫌いだよ。あんなに怒鳴ったんだから…僕も…僕の気持ちをわかってくれない人なんて…言ってもわかってなんてもらえない…オメガの僕は結局、アルファよりも地位も低いんだ…急に悲しくなってきて涙がどんどん溢れてきた。あんなに熱かった熱が冷めていく感じがしてきた。
「どうしたの?」いつの間にか孔から手を外した春樹さんから声をかけられた。
身体は熱を発散できずに疼いてるのに心は…悲しくて、辛くて…どうしていいのかわからなくなった。
春樹さんは泣いてる僕の背中をさすりながら
「一旦、ストップしようか?あさひくん…なにか辛いこと思い出しちゃったのかな?発情期になるとね、身体の欲を出したくてそのことしか考えられなくなるんだけど…何かあった?」
鼻水と涙に濡れてしまったあの匂いがついたタオルを握りしめた。
「言ってもいいんだよ。我慢してる方が苦しいから。もしよかったら聞かせて、あさひくんのこと…」
そう優しい声で言われた。春樹さんは僕が薬を飲んでたことも知ってるだろう。なら話してもいいのかな?
「僕が悪いんですけど…」そう言って話始めた。
薬を飲んで目が覚めたら病院だったこと。会ってすぐ立花さんに怒鳴られたこと…なのに頭を撫でてくれる手は大きくて安心できる手だったこと。もらった香水がとてもいい匂いでそしたら心臓がドクッとなって発情期が起こったこと。春樹さんが好きな人のこと考えるといいといわれて何故か立花さんの顔が浮かんだこと。でも立花さんは僕のことが嫌いだし、僕のことなんて何もわかってくれない人なんて僕も嫌いだ…と思ったら急に気持ちが萎えて悲しくなったこと。
春樹さんは僕の話を全部聞いてくれた。
そうか…辛かったね。頭を撫でてくれた。
幸樹さんはね。達也の幼馴染なの。達也から聞いてる?
そう言われて僕は頷いた。
僕も高校に入った時に知り合ったんだ。一緒に遊びにも行ったし…あさひくんに怒鳴ったのはどんな理由があっても死んでほしくなかったからだと思うよ。そんなに怒る人じゃないし…
あさひくん…あさひくんは何があってあの薬を飲んで死のうとしたのか聞いてもいい?言いたくないなら言わなくてもいいけど…言ったら少しは楽になるかもしれないよ。
僕は春樹さんの優しい声に促されるように僕は話した。
「母さんは番だった父さんに僕が小さい頃に捨てられて…それでも色んな薬をいっぱい飲みながら仕事して僕を育ててくれたんです。たくさんの薬のせいなのか、体を悪くして死んじゃって…」
僕はそのあと母さんの妹の叔母さんの家に引き取られたこと。本当は図書館で働きたくて勉強したのに大学に行かせてほしいと言えなかった。母さんの治療費を出してもらってるのを知ってたから。
叔父さん、叔母さんは僕が発情期を迎えたら、お金持ちのアルファと番にさせれば治療費や養育費を僕の代わりに払ってもらうって言ってて、それが怖くなって…だから発情期が来ないようにネットで探して薬を飲み続けたこと。
働いていた人達からいじめを受けてたこと。いつも身体のどこかが痛くて、でも居場所がない僕はここしかいるところがないから我慢した。
20歳になるけど発情期が来ないからもう病院に連れてくって言われて…もうこんな生活、苦しくて辛くて…母さんの所に行きたくて…バース性のない世界に行きたくて…楽になるって書いてあったから。でも母さんと小さい頃にこの街の星空を見てみたいって話してたのを思い出してここに来た。誰かに迷惑かけるとか、そんなの何も考えてなくて…立花さんを怒らせてしまった。
僕が全部話したら春樹さんは、そうか…辛いことたくさんあったんだね。一緒に泣きながら僕の背中をずっとさすってくれた。
「あさひくん、目が覚めた?」
「あの…すみません。僕、寝ちゃって」
「いいんだよ。初めてで疲れたよね」
「はい。でもまた熱くて…」
「うん。仕方ないね。そうなっちゃうんだよ。本当に厄介だよね。ヒートが来ると…できれば好きなアルファと繋がるのが手っ取り早くて落ち着くんだけどね…とりあえず少し水分取ろう。ご飯は…無理かな?」
冷たい水と栄養ゼリーを少しだけ口に入れた。美味しいけど…身体が熱くなってきて横になった。さっきのタオルを握って匂いを嗅いだ。この匂い…好き…
また手伝おうか?そう言われて病衣の裾をめくられた。僕のモノはすでに立ち上がっていて、また見られてると思うと少し恥ずかしいけど辛いのでまた出したいと思っていると…
もう1回出そうね。そう言って手袋をつけた指を後孔に入れられた「あっ…」つい声が漏れ出てしまう。
さっきしたからだろうか孔の中は濡れていてさっきよりもすんなり指が入っていった。
「あさひくんは好きな人はいる?いたらその人を思いながら前を擦ってごらん。そしたらさっきより楽にいけると思うよ」
そう言われて、ふと立花さんの顔が浮かんだ…なんでこんなときに…あの人は、あの人は…僕のことなんて嫌いだよ。あんなに怒鳴ったんだから…僕も…僕の気持ちをわかってくれない人なんて…言ってもわかってなんてもらえない…オメガの僕は結局、アルファよりも地位も低いんだ…急に悲しくなってきて涙がどんどん溢れてきた。あんなに熱かった熱が冷めていく感じがしてきた。
「どうしたの?」いつの間にか孔から手を外した春樹さんから声をかけられた。
身体は熱を発散できずに疼いてるのに心は…悲しくて、辛くて…どうしていいのかわからなくなった。
春樹さんは泣いてる僕の背中をさすりながら
「一旦、ストップしようか?あさひくん…なにか辛いこと思い出しちゃったのかな?発情期になるとね、身体の欲を出したくてそのことしか考えられなくなるんだけど…何かあった?」
鼻水と涙に濡れてしまったあの匂いがついたタオルを握りしめた。
「言ってもいいんだよ。我慢してる方が苦しいから。もしよかったら聞かせて、あさひくんのこと…」
そう優しい声で言われた。春樹さんは僕が薬を飲んでたことも知ってるだろう。なら話してもいいのかな?
「僕が悪いんですけど…」そう言って話始めた。
薬を飲んで目が覚めたら病院だったこと。会ってすぐ立花さんに怒鳴られたこと…なのに頭を撫でてくれる手は大きくて安心できる手だったこと。もらった香水がとてもいい匂いでそしたら心臓がドクッとなって発情期が起こったこと。春樹さんが好きな人のこと考えるといいといわれて何故か立花さんの顔が浮かんだこと。でも立花さんは僕のことが嫌いだし、僕のことなんて何もわかってくれない人なんて僕も嫌いだ…と思ったら急に気持ちが萎えて悲しくなったこと。
春樹さんは僕の話を全部聞いてくれた。
そうか…辛かったね。頭を撫でてくれた。
幸樹さんはね。達也の幼馴染なの。達也から聞いてる?
そう言われて僕は頷いた。
僕も高校に入った時に知り合ったんだ。一緒に遊びにも行ったし…あさひくんに怒鳴ったのはどんな理由があっても死んでほしくなかったからだと思うよ。そんなに怒る人じゃないし…
あさひくん…あさひくんは何があってあの薬を飲んで死のうとしたのか聞いてもいい?言いたくないなら言わなくてもいいけど…言ったら少しは楽になるかもしれないよ。
僕は春樹さんの優しい声に促されるように僕は話した。
「母さんは番だった父さんに僕が小さい頃に捨てられて…それでも色んな薬をいっぱい飲みながら仕事して僕を育ててくれたんです。たくさんの薬のせいなのか、体を悪くして死んじゃって…」
僕はそのあと母さんの妹の叔母さんの家に引き取られたこと。本当は図書館で働きたくて勉強したのに大学に行かせてほしいと言えなかった。母さんの治療費を出してもらってるのを知ってたから。
叔父さん、叔母さんは僕が発情期を迎えたら、お金持ちのアルファと番にさせれば治療費や養育費を僕の代わりに払ってもらうって言ってて、それが怖くなって…だから発情期が来ないようにネットで探して薬を飲み続けたこと。
働いていた人達からいじめを受けてたこと。いつも身体のどこかが痛くて、でも居場所がない僕はここしかいるところがないから我慢した。
20歳になるけど発情期が来ないからもう病院に連れてくって言われて…もうこんな生活、苦しくて辛くて…母さんの所に行きたくて…バース性のない世界に行きたくて…楽になるって書いてあったから。でも母さんと小さい頃にこの街の星空を見てみたいって話してたのを思い出してここに来た。誰かに迷惑かけるとか、そんなの何も考えてなくて…立花さんを怒らせてしまった。
僕が全部話したら春樹さんは、そうか…辛いことたくさんあったんだね。一緒に泣きながら僕の背中をずっとさすってくれた。
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