僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの

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樹の悩み

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「奈月?支度できた?」

「はぁーい」
今日は奈月を連れてある場所に連れて行こうと車を走らせた。奈月は少し不安そうにしていたが大丈夫だからとやってきた。

「樹さん……?」
駐車場に停めたが奈月にはわからずに顔が曇ってきたので俺はこの場所に来た理由を伝えた。

「本当は盲導犬になれなかったキャリアチェンジ犬を希望してたんだけど、多頭飼いしてる家は対象外って言われてしまってな。そしたら知り合いの社長の家に子犬が生まれたと聞いて奈月が喜んでくれるかな?と思って小型犬だけど引き取りたいとお願いしていたんだけど、実はお願いしてたのをすっかり忘れてたんだよ。今は奈月の勉強の邪魔になるかもしれないし大変なら無理して引き取らなくてもいいんだがどうする?」
奈月は曇っていた顔をパッと綻ばせて会いたいです。と言ってくれたので安心して社長の家に奈月と一緒に向かった。

「的場社長、久しぶり忙しくなかったか?」

「いえ、こちらこそすみませんお休みの日に。あっ奈月です」

「始めまして奈月くん伊東です。インテリアコーディネーターの仕事をしてて的場社長と知り合ったんだよ」
彼とは年齢も近くてお互い犬好きという共通点があった。奈月と一緒に家に上がらせてもらうと

「うわぁ~可愛い」
広いゲージの中で子犬たちがお母さんのおっぱいを飲んでいた。奈月はそのばに腰を下ろし可愛いね。と言っていた。

「初めての出産で大変だったけど5匹も産まれたんだ。雄が3匹、雌が2匹だ。奈月くんはどっちがいい?」
すると奈月は女の子がいいと言っていた。おっぱいを飲んでもお母さんの側で戯れあっているピンクと赤いリボンをつけた子を連れてきてくれた。

「まだ産まれて2ヶ月なんだ。あと1ヶ月はお母さんと一緒に過ごさせてあげたいと思ってるんだけど……」
奈月の腕の中に赤ちゃんわんこを乗せてもらうとあったかいね。可愛いね。と話しかけていた。他にも引き取りたいと言われてるけど奈月を1番に合わせてくれたようだ。奈月はずいぶん長い間、悩んで赤いリボンの茶色いわんこに決めた。1ヶ月は家に連れてこられないけど、いつでも遊びにおいでと言われてまた会いにくるね。それまでに名前、考えておきます。と言って社長の家を後にした。
家に帰っても奈月は興奮した様子で母さんやハルさんに一緒に撮った写真や動画を見せていた。そして……

「ハリー、マック、ココ、みんな妹ができるから仲良くできるかな?お名前どうしようか?2文字かな?3文字にしようかな?女の子なんだよね。どうしよう」
と考え込んでしまった。まだ時間があるから今すぐじゃなくてもいいぞと言ったが早くお名前呼んであげたいからとスマホで色々と調べ始めた。

ふと思ってしまった。奈月はこの先、俺といると言うことは子どもの名前を考えることもないのだと……俺はそれでもいいと思っていたが奈月は本当にいいのだろうかと考えてしまった。この幸せを手放したくはないが、奈月は本当にそれでいいのかと……

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