僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの

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かわいい弟

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「樹、奈月くんは?」
「あぁ寝ちゃったな」
「きっと疲れたんだろう。本当は病院に行くのも嫌だったんだろう?」
「そうだな。本当に頑張ってくれたよ」

奈月の柔らかい髪を撫でながら奈月の顔を覗いてみると穏やかな顔で寝ている奈月に愛しさが込み上げる。もう少ししたら戸籍上は俺の弟になる。なんだか不思議な気持ちだ。

でも将来は奈月と愛し合いたいと思っている。何年先になるかわからないけど…まぁ奈月のトラウマを考えたら当分先になりそうだな。でも少しづつでも距離を縮めていければいい。ただ今は一緒にお風呂に入ることもできるし、一緒に寝れるんだから、それだけでもよしとしないとなと苦笑していると

「そろそろ着くぞ。奈月くん起こすか?」
「かわいそうだから、まだ寝かせてやりたいが…抱き上げたら起きるかな?」
ぐっすりと寝息を立てている奈月を起こすのはなんだかかわいそうな気がしたが、ケーキも食べたいだろうしな。起こそうかと思ったら狭山が提案してきた。

「じゃあまだドライブに行こう?」
「いいけど…どこ行こうか?それのも行きたいところでもあるのか?」
「えーとね。ドライブしながら先生迎えに行ってもらってもいい?」
「八巻先生にか?」
「うん。樹に話もあるみたいで…先生も打ち合わせも終わったって連絡きたから」
「いいぞ。じゃあ迎えに行こうか」

狭山はわかりやすく喜んでいた。さっきからスマホをいじってたのは先生とやり取りしてたからか。先生から話って…奈月のことだろう。でもまだあれから数日しか経ってないのに何かわかったのか?流石、色んな知り合いがいるとは言っていたが…数年前の出来事とはいえ調べるのは大変だったんじゃないだろうか?そんなことを考えていると

「じゃあ僕行ってくるね」狭山の声が聞こえて先生の事務所に着いたことがわかった。

「奈月くんと狭山会わせてよかったよな樹」
「そうだな。ありがとうな卓也」
「俺は何も…ただお前たちが羨ましいよ。あ~俺も恋愛したい」
「そういえば別れたんだったっけ?」
「人の傷口を開くな。仕方ないだろ。お互いに気持ちが冷めちゃったんだから」
「冷めちゃったって…まぁいつかいい出会いがあるといいな」
「そうだな。運命なんて考えたことなかったけどな…」
「運命か……」
俺と奈月は本当に運命だろう。きっと親父が引き合わせてくれたとしか思えない。人にプレゼントを贈るのが好きだった親父から俺への、最後のプレゼントが奈月だったのかもしれない。

「ごめん。待った?」
狭山が八巻先生を連れて戻ってきた。さっき狭山は助手席に座っていたが、助手席を八巻先生に譲って奈月の隣に狭山が乗ってきた。

「奈月くん。本当にかわいいね。弟みたいだよ」
「狭山、これからも頼むな。頼りにしてる」
「うん。樹に頼られることなんてないと思ってたから、なんだか嬉しいよ」
「そんなことないだろ」
「樹、後で経過を話したいが時間大丈夫か?」
「先生、ありがとうございます。狭山たちがいてくれたら奈月も大丈夫だと思うから」
「そうか、じゃあ太一、一緒に待っててくれよ」
「うん。わかった」
しばらくすると卓也から「着いたぞ」と声がかかった。

「奈月、起きれるか?」
声をかけると、うーんと声を上げたかと思ったが、また俺の腕にすりすりしてきた。本当かわいい。奈月の耳元に唇を寄せて
「奈月、奈月が買ったケーキ全部みんなで食べちゃうぞ。八巻先生も来てくれたからな」
そう言うと「起きる」と声が聞こえて目が開いた。

「奈月おはよう。よく眠れたようでよかったよ」
「樹さん、僕寝ちゃってたね。重かった?」
俺の腕をさすりながら言ってくれた。奈月が寄りかかったぐらいじゃ腕なんか痛くもない。

「じゃあ家に入ろう」
奈月の左手を握り直して車から降りた。

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