僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの

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お返事

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〝樹さん、お手紙うれしかったです。ありがとうございました。今日はハルさんに教えてもらって字の練習をしました。もっときれいな字でお手紙を書けるように頑張ります。ハリーはボールを取るのが上手でした。また遊びたいです。夕方、中島さんがわんちゃん達のお散歩に行くみたいなので一緒に行けたらうれしいです。〟

樹さん喜んでくれるかな?短い文章だけど今の僕が書ける精一杯だ。これだけしか書いてないのに30分近くもかかってしまった。手紙を書き終わって周りを見るとわんちゃんもねこちゃんもみんなでお昼寝をしていた。そんな様子を見ていたら僕も眠くなってきてしまって、ソファーに寄りかかって眠ってしまった。


〈side  樹〉

朝早くに奈月くんが倒れるという騒動が起きたが、奈月くんの気持ちがわかってよかった。これ以上、彼が苦しまなくても、悲しまなくてもいいように俺が守ってやろうと心に誓った。俺が仕事に行くときは寂しそうな顔をしていたが、犬たちもいるし、ハルさんもいるから安心していた。でも念のため、お昼頃にハルさんに電話で様子を聞くと、犬たちと仲良く遊んで過ごしてると返事があった。ただ奈月くんは犬たちとお散歩に行きたがってると、いつも夕方17時ごろに訓練士の中島夫妻が来るのだがそのときに一緒に行ってもいいかと尋ねられた。確か中島さんは温厚な人柄で犬たちもよく懐いて扱いも上手い。ただ彼は確か眼鏡をかけていたはずだ。奈月くんは細くて、眼鏡をかけてて、髭がある人がダメだと…眼鏡だけなら大丈夫かとも思ったが万が一のことがあったら困ると思った俺は卓也に確認することにした。
「卓也、夕方からの予定は何か入ってるか?」

「今日は特にはありませんよ。明日行われる役員会の資料確認と先日お話がありましたホームページをリニューアルするにあたって何点か確認したいと担当の池上から連絡がありましたがいかがなさいましたか?」

「17時前までに一度家に戻りたい」

「奈月くんに何かありましたか?」

「訓練士の中島夫妻が犬たちを散歩させるために来るのだが、奈月くんが朝みたいに倒れたら困るからな」
情報共有として朝の件は卓也にも話しておいた。卓也はたまに眼鏡をかけるときがあるが、奈月くんの前ではしばらく禁止にしておいた。卓也もラグビーをしていたから俺ほどではないが身長も高く、ガタイもいいから見た目は大丈夫そうだが…

「そういうことなら早めに行きましょうか?池上にはメールかリモートでも大丈夫なので、きっと奈月くんも喜ぶと思いますよ」

「助かるよ。ありがとう」
数件の書類をまとめてから14時過ぎに拓哉と共に家に向かった。

「ただいま」

「あら樹さん早いお帰りだったんですね。何かありましたか?」

「ハルさん今日は奈月くんといてくれてありがとう」

「いえいえ…とても楽しかったですよ」

「奈月くんは?」

「それが……」
ハルさんについて行くと奈月くんはソファーの上で眠っていた。テーブルには俺が渡したノートとボールペンが置いてあった。俺が気づいたのがわかったのかハルさんが教えてくれた。

「奈月くん、どうしても樹さんにお手紙を書きたいから字の練習をしたいと言ってね…だから無理のないように字の練習をしたのよ。ずいぶん頑張ってくれて、でも久しぶりだったから少し疲れちゃったのね」
俺はそっとノートを開いた。そこには奈月くんの思いが綴られていて嬉しかった。これだけの文字を書くのにどれだけの時間を使って頑張ってくれたんだろう。奈月くんの頭を撫でながら起きたらいっぱい褒めてあげようと思った。

「樹、そんな心のこもった手紙もらえてよかったな」

「あぁ、起きたらいっぱいありがとうって伝えるよ」

「樹さん、奈月くんお手紙書いたら喜んでくれるかな?褒めてくれるかな?って気にしてらっしゃいましたよ。こんなにも字を書いたから手も疲れたんだと思いますよ」

「そうですか、起きたらたくさん褒めてあげますよ」

「そうしてあげてくださいね」
俺と卓也は奈月くんが寝ているリビングで仕事を始めた。起きたら1番に奈月くんにお礼が言いたい。抱きしめてたくさん褒めてあげたいから。

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