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ココからのSOS
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ココが珍しく俺のベッドの上に上がって吠え出した。
まだ眠たかった俺だが、どうしたのかとココに聞いてみた。
「ココ珍しいな、起こしに来ることなんてなかったのにどうした?」
するとココは俺の顔を見ながらベッドから降りて部屋を出ようとする。珍しくお腹でも空いたのか?時計を見るとまだ6時半を過ぎたばかりだ。
仕方なくココと一緒に部屋を出ると、ココは奈月くんの部屋のドアから入ろうとしていた。
「ココ奈月くんもまだ寝てるだろ?どうした?」
なぜかココは奈月くんの部屋の前から動かない。おかしすぎる…こんなココは見たことがない。急に不安に思ってドアを開けると奈月くんがベッドにもたれるようにして倒れていた。側には俺が書いた交換ノートが落ちていた。
「奈月くん?奈月くん?」
呼びかけにもなんの返事もない。
俺は母さんとハルさんを呼んだ。
「いつから倒れてるの?」
「ココが呼びに来てからだからまだ5分くらい」
「救急車…」とハルさんが言ったときに奈月くんの手が動いた。
「奈月くん、わかる?奈月くん」
そして目がゆっくりと開いた。
「僕…」
「うん。少し気を失ってたのかな?何か辛かったことでもあった?」
「大丈夫…です」
きっと言いたくないのだろう。でも母さんが奈月くんを抱きしめた。
「奈月くん、泣きたい時は言ってもいいのよ。奈月くんはこの家の子なんだから、胸の中に苦しいのがあると息が詰まるでしょ?だからなんでも話していいの。それで嫌いになんかならないから樹でも私でもハルさんでもいいからね」
そう言うと何度も頷いた。
「奈月くんは誰かに話を聞いてほしい?」
「僕…は…樹さんと…話したいです」
「わかった。樹、ゆっくり聞いてあげなさい。無理に話を聞こうとかすると過呼吸を起こす可能性があるからね」
「わかった。奈月くん大丈夫だからね」
そう言って母さんとハルさんは出ていった。
「奈月くん、苦しかったんだな。でも大丈夫だからね」
ベッドに腰掛けてる奈月くんの頭を優しくゆっくりと撫でてあげた。
俺はあまり倒れた原因を聞こうとせずに違う話題を話すことにした。
「そういえばココとは朝まで寝てたのか?」
「はい。僕の布団で一緒に寝てくれました」
「そうか、よかったな。今日も一緒に寝るといいよ」
「寝てくれるかな?」
「大丈夫だよ。今日眠れたんだから」
「樹さん…手紙ありがとうございました。嬉しかったです」
「いや。俺も奈月くんから手紙欲しくなってね」
「僕からですか?でも僕…」
「どうかしたか?」
「あまり学校に行ってなかったから漢字とかあまり知らなくて…しかも字も樹さんみたいに綺麗に書けないから、恥ずかしいんです」
「そんなことないよ。書いたら字も綺麗になるよ。それならハルさんに教えてもらう?」
「ハルさんですか?」
「そう。ハルさんは習字の先生でもあるんだ。だから俺も小さい頃、教えてもらったんだ」
「僕にも教えてくれますか?」
見上げる奈月くんに、きっと喜んで教えてくれるよと答えた。俺は奈月くんが愛しくてたまらない。その気持ちは抑えられない。こんな年上のおじさんに好かれて迷惑かもしれないけど俺は奈月くんを手放すことはできない。今は愛を語れないけど、いつの日か奈月くんと愛し合いたいと思ったと同時に、俺の中心はムクムクと反応してしまう自分に驚いた。奈月くんを驚かせてはいけない。だから自分の気持ちを今はまだ押し殺して優しく接しようと心に誓った。奈月くんに嫌われないように…
まだ眠たかった俺だが、どうしたのかとココに聞いてみた。
「ココ珍しいな、起こしに来ることなんてなかったのにどうした?」
するとココは俺の顔を見ながらベッドから降りて部屋を出ようとする。珍しくお腹でも空いたのか?時計を見るとまだ6時半を過ぎたばかりだ。
仕方なくココと一緒に部屋を出ると、ココは奈月くんの部屋のドアから入ろうとしていた。
「ココ奈月くんもまだ寝てるだろ?どうした?」
なぜかココは奈月くんの部屋の前から動かない。おかしすぎる…こんなココは見たことがない。急に不安に思ってドアを開けると奈月くんがベッドにもたれるようにして倒れていた。側には俺が書いた交換ノートが落ちていた。
「奈月くん?奈月くん?」
呼びかけにもなんの返事もない。
俺は母さんとハルさんを呼んだ。
「いつから倒れてるの?」
「ココが呼びに来てからだからまだ5分くらい」
「救急車…」とハルさんが言ったときに奈月くんの手が動いた。
「奈月くん、わかる?奈月くん」
そして目がゆっくりと開いた。
「僕…」
「うん。少し気を失ってたのかな?何か辛かったことでもあった?」
「大丈夫…です」
きっと言いたくないのだろう。でも母さんが奈月くんを抱きしめた。
「奈月くん、泣きたい時は言ってもいいのよ。奈月くんはこの家の子なんだから、胸の中に苦しいのがあると息が詰まるでしょ?だからなんでも話していいの。それで嫌いになんかならないから樹でも私でもハルさんでもいいからね」
そう言うと何度も頷いた。
「奈月くんは誰かに話を聞いてほしい?」
「僕…は…樹さんと…話したいです」
「わかった。樹、ゆっくり聞いてあげなさい。無理に話を聞こうとかすると過呼吸を起こす可能性があるからね」
「わかった。奈月くん大丈夫だからね」
そう言って母さんとハルさんは出ていった。
「奈月くん、苦しかったんだな。でも大丈夫だからね」
ベッドに腰掛けてる奈月くんの頭を優しくゆっくりと撫でてあげた。
俺はあまり倒れた原因を聞こうとせずに違う話題を話すことにした。
「そういえばココとは朝まで寝てたのか?」
「はい。僕の布団で一緒に寝てくれました」
「そうか、よかったな。今日も一緒に寝るといいよ」
「寝てくれるかな?」
「大丈夫だよ。今日眠れたんだから」
「樹さん…手紙ありがとうございました。嬉しかったです」
「いや。俺も奈月くんから手紙欲しくなってね」
「僕からですか?でも僕…」
「どうかしたか?」
「あまり学校に行ってなかったから漢字とかあまり知らなくて…しかも字も樹さんみたいに綺麗に書けないから、恥ずかしいんです」
「そんなことないよ。書いたら字も綺麗になるよ。それならハルさんに教えてもらう?」
「ハルさんですか?」
「そう。ハルさんは習字の先生でもあるんだ。だから俺も小さい頃、教えてもらったんだ」
「僕にも教えてくれますか?」
見上げる奈月くんに、きっと喜んで教えてくれるよと答えた。俺は奈月くんが愛しくてたまらない。その気持ちは抑えられない。こんな年上のおじさんに好かれて迷惑かもしれないけど俺は奈月くんを手放すことはできない。今は愛を語れないけど、いつの日か奈月くんと愛し合いたいと思ったと同時に、俺の中心はムクムクと反応してしまう自分に驚いた。奈月くんを驚かせてはいけない。だから自分の気持ちを今はまだ押し殺して優しく接しようと心に誓った。奈月くんに嫌われないように…
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