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彼に会いに
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俺たちは八巻先生の事務所を後にしてから奈月くんが働いていたコンビニに車を走らせた。
「樹、ここだよな」
「そうだな」
「すみません。店長さんかお店の管理の方はいらっしゃいますか?」
「誰ですか?」
「すみません…」と俺は名刺を差し出しながら
「山田奈月さんのことでお話がありまして…」
そう言うと若い店員「少々お待ちください」と店の奥に入っていった。
しばらく待っていると店長さんらしき人物が店の奥から顔を出した。
「こちらにどうぞ」
「失礼します」
俺たちは店の奥にあるスペースに入った。
「店長の竹内です。山田くんのこととおっしゃっていましたが…」
「はい。彼が怪我をして入院してるのはご存知ですか?」
「いえ…一緒に暮らしていた叔父さんが亡くなったのでしばらくおやすみしたいと連絡もらってから連絡が途絶えてしまっていて…」
「そうだったんですね。奈月くんは今現在、入院してるんです。退院の見込みは今のところたっていないので、申し訳ないのですが、いつ復帰できるかは…」
「あの…失礼ですけど山田くんとの関係は…」
「失礼いたしました。ちょっとした知り合いでして、今、私の知り合いの病院に入院してるんです」
「そうだったんですね。山田くんの怪我の具合は?」
「はい。少し頭に怪我をしていまして、今は落ち着いています」
「彼、いつも一生懸命で頑張っていたので残念ですが早く回復するといいですね」
「私達もそう願っています」
「では、山田くんによろしくお伝えください」
「ありがとうございました」
バイトを辞めたと知ったら奈月くんはどう思うだろう?そう思いながら俺は卓也の車に乗り込んだ。
「樹どうする?何か食べて帰るか?」
「そうだな。久しぶりに宮沢の店に行くか」
「了解」
俺たちは学生時代の友人の店に行った。
「久しぶりだな」
「なかなか来られなくて悪いな」
「最近はどうなんだよ。社長業はどうだ?」
「まずまずだな」
「最近はいい人いないのか?」
「相変わらずだな」
「違うよ。めちゃくちゃ可愛い子に会えたんだよ」
「え?どんな子?」
「卓也、あの子はそんなんじゃ」
「これからどうなるかはわからないけどね」
全く、こんな歳の離れたおじさん、奈月くんに好かれるわけもない。しかも彼はきっと大人の男性にトラウマもあるだろう。彼の恋愛対象は女性かもしれないし…そんなことを思いながら今、奈月くんはどうしているだろう?ご飯は食べられただろうか?そうしても奈月くんのことを考えている自分に驚きがあった。今まで付き合った人はいたが、こんなにも相手のことを考えたりしたことはなかった。今すぐに奈月くんに会いたい。会って顔を見たくなった俺は、食事もそこそこに店からタクシーで奈月くんの病院に向かった。
勢いで病院まできてしまった。奈月くんの病室の前で俺はどうしようか悩んでいた。すると部屋の中から、くすくすと可愛らしい声が聞こえてきた。俺は思わずドアを開けてしまった。
「あれ?樹、今日は来れないんじゃなかったか?」
「思ったより早く終わったので」
「的場さん、こんばんわ」
ニコニコと笑いかけてくれた。
「樹、ここだよな」
「そうだな」
「すみません。店長さんかお店の管理の方はいらっしゃいますか?」
「誰ですか?」
「すみません…」と俺は名刺を差し出しながら
「山田奈月さんのことでお話がありまして…」
そう言うと若い店員「少々お待ちください」と店の奥に入っていった。
しばらく待っていると店長さんらしき人物が店の奥から顔を出した。
「こちらにどうぞ」
「失礼します」
俺たちは店の奥にあるスペースに入った。
「店長の竹内です。山田くんのこととおっしゃっていましたが…」
「はい。彼が怪我をして入院してるのはご存知ですか?」
「いえ…一緒に暮らしていた叔父さんが亡くなったのでしばらくおやすみしたいと連絡もらってから連絡が途絶えてしまっていて…」
「そうだったんですね。奈月くんは今現在、入院してるんです。退院の見込みは今のところたっていないので、申し訳ないのですが、いつ復帰できるかは…」
「あの…失礼ですけど山田くんとの関係は…」
「失礼いたしました。ちょっとした知り合いでして、今、私の知り合いの病院に入院してるんです」
「そうだったんですね。山田くんの怪我の具合は?」
「はい。少し頭に怪我をしていまして、今は落ち着いています」
「彼、いつも一生懸命で頑張っていたので残念ですが早く回復するといいですね」
「私達もそう願っています」
「では、山田くんによろしくお伝えください」
「ありがとうございました」
バイトを辞めたと知ったら奈月くんはどう思うだろう?そう思いながら俺は卓也の車に乗り込んだ。
「樹どうする?何か食べて帰るか?」
「そうだな。久しぶりに宮沢の店に行くか」
「了解」
俺たちは学生時代の友人の店に行った。
「久しぶりだな」
「なかなか来られなくて悪いな」
「最近はどうなんだよ。社長業はどうだ?」
「まずまずだな」
「最近はいい人いないのか?」
「相変わらずだな」
「違うよ。めちゃくちゃ可愛い子に会えたんだよ」
「え?どんな子?」
「卓也、あの子はそんなんじゃ」
「これからどうなるかはわからないけどね」
全く、こんな歳の離れたおじさん、奈月くんに好かれるわけもない。しかも彼はきっと大人の男性にトラウマもあるだろう。彼の恋愛対象は女性かもしれないし…そんなことを思いながら今、奈月くんはどうしているだろう?ご飯は食べられただろうか?そうしても奈月くんのことを考えている自分に驚きがあった。今まで付き合った人はいたが、こんなにも相手のことを考えたりしたことはなかった。今すぐに奈月くんに会いたい。会って顔を見たくなった俺は、食事もそこそこに店からタクシーで奈月くんの病院に向かった。
勢いで病院まできてしまった。奈月くんの病室の前で俺はどうしようか悩んでいた。すると部屋の中から、くすくすと可愛らしい声が聞こえてきた。俺は思わずドアを開けてしまった。
「あれ?樹、今日は来れないんじゃなかったか?」
「思ったより早く終わったので」
「的場さん、こんばんわ」
ニコニコと笑いかけてくれた。
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