キミと2回目の恋をしよう

なの

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18話

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「先輩、迎えにきました」
俺はなるべく明るい声で病室に入った。

「ありがとう相澤」
先輩も普通通りに接してくれた。

その日、帰ってきた俺たちは普通通りに接していたが、なんだがぎこちなくて……少し息が苦しかった。

「先輩、明日から会社ですが大丈夫ですか?」
「あぁ……大丈夫。何か持っていくものあるか?」
そういえば社員証はあるだろうか?と思い出した。

「先輩、社員証ありますか?」
先輩はいつも持っていた鞄を開けてこれか?と掲げて見せた。

「それです。あとは定期もありますか?」
俺たちはぎこちないながらも同居生活をスタートさせていたが、お互いに先輩の記憶や俺たちの関係については何も触れなかった。

翌日、2人で会社に着くと先輩は色んな人から声をかけられた。先輩は少しというか、かなり戸惑いながらも応えている姿を見ていたら

「よぉ!あいつ見た目は元気そうだな」
俺の肩を叩いて海野先輩が声をかけてきた。
「おはようございます」
「おぅ……ちょっといいか?」
先輩からは死角になってる場所を指差した。なんだろう?とその場所に向かうと

「あいつ、お前との記憶ないんだろ?お前、大丈夫か?」
海野先輩は唯一知ってる人の1人だ。本当は辛くて苦しくてどうにもならないけど俺はそれを隠して大丈夫です。と答えるしかなかった。

先輩は中途採用の2人と共に研修室に行ってしまった。

◇◇◇◇◇

あれから相澤とは当たり障りのない話しかしていない。付き合っていたなんて聞いても、俺はどうしていいのかわからなかった。嬉しいと思う反面どうしてこうなってしまったのかと自分の運命を恨んだ。記憶があれば、記憶さえ戻れば……そんなことを思っても俺は何も思い出せなかった。

職場に行くとみんなが声をかけてくれた。でも俺にはなんの記憶もないのに……俺は中途採用された佐川さんと松平さんと一緒に研修を受けることになった。

「久しぶりだなって覚えてないよな。この前、電話した海野だ。今日から研修よろしくな」
この人が海野さんなのか……そう思いながら研修室に向かった。

「社内ツールの使用方法を学ぶ研修会」
と研修室には書いてあった。

「今日から研修指導をすることになった海野だよろしく。じゃあ最初はテキストの1ページを開いてくれ」
そこにはこれからする研修内容が書かれていた。

①プログラミングの基礎
②言語機能の勉強
③デバッグ講習
④不具合を発見して正常にプレイできるようにする
⑤バージョン管理
⑥コーディングの練習
⑦プログラミング言語などを使ってソースコードを書く作業
⑧ブラインドタッチができない人にはタイピングの練習

「それぞれできないことはすぐに聞いてくれ、早く実践できるように力を各自つけるように。では初めはプログラミングの基礎からだ」

俺も会社の一員となるべく頑張らないと……早く記憶が戻ることを願いながら。
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