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お説教
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僕は早速、写真をシュレッダーに入れていった。
「透さん、本当はまだ残して置きたかったですか?」
「え?なんで?」
「なんか…懐かしそうで…僕にはそんな思い出の品物なんてないから」
「確かに懐かしいとは思うけど、特に思い入れがあったわけじゃないから置きっぱなしだったんだよ。まさか椎名がそんなこと言ってるなんて知らなくて、本当ごめんな」
「もういいです。捨ててもいいって言ってくれたから、僕も…そんなんで拗ねてしまってごめんなさい」
「海斗は悪くないから、本当ごめんな?」頭を撫でてくれる手が温かかった。
「そういえば、さっき学さんが店に来たって言ってたけど、何してたんですか?」
「あぁ…これ。忘れてたけど…」
ダイニングテーブルの上にはエコバッグを除くと牛肉や赤ワイン、玉ねぎなどが入っていた。
「海斗が好きなの思い出して、学に頼んでレシピを教えてもらってたんだ。作れるかわからないけどビーフシチュー作ろうと思って…」
「透さん、ありがとうございます」
そういえば今日は僕の合格記念だった。色々ありすぎて忘れてたけど…
「じゃあ作るか…でもできるまで時間がかかりすぎるよな?」もう夕方になろうとしている。ビーフシチューなんて煮込むこと考えたら3時間以上かかるんじゃないかな?
「ねぇ透さん、このお肉持って学さんのお店行きませんか?ビーフシチューはまた今度作ってもらいましょう。西原さん怒って行っちゃったから、ちゃんと謝りたいんです。僕の代わりに怒ってくれたから」
「そうだな。じゃあ行くか?」
僕たちは透さんの捨てられなかった思い出の品をゴミ袋に全部入れてマンションのゴミ捨て場に捨てた。本当にこれでよかったのかな?と思いながらも過去の彼氏との品物を持っていられるのは嫌だったから、これでいいだろう。と納得させてお店に向かった。
「こんばんは」
「あ!海斗、ってか浅井さん、どういうことか説明してもらえますか?今、西原さんから聞きましたよ。全く学さんといい、浅井さんといい、いい大人が過去の物捨てられないって全く、どういうことですか?」
店に入るなり悠人に怒られて大きな身体の透さんが縮こまった。
「悠人、そんなに怒るな。俺も捨てられなかったし…海斗は全部捨てたのか?」
「はい。捨ててきました。勘違いさせる写真がいっぱい出てきましたよ」
「はぁ…若気の至りだ。許せ」
「僕は学さんのこと、まだ許してませんけどね」
「悠人…」
「ちょっと透!」
「え?なんでお袋が?」
「透の家に行こうとしてたら、西原くんに途中で会って、話聞いたわよ。あれだけちゃんと海斗くん守ってって約束したのに、西原くんから聞いたけどどういうこと?全く何してるの?ごめんね海斗くん」
「いえ…お義母さんこそ、すみません」
「いいのよ。海斗くんは悪くないから。本当にバカ息子なんだから。しばらく正座して反省しなさいよ。今お父さんも、叔父さん達も呼んだから、そのうち来るでしょ」
「呼んだって…そんな事しなくても…ちゃんと反省したから」
「ねえねえ…って透…君は、さっきの…」
「椎名、海斗くんにちゃんと謝んなよ。あんな写真残してた浅井も悪いけど、誤解を招く言い方した椎名も悪いんだからね。わかってるの?」
「西原、さっきも聞いたよ。悪かったって…ごめんね。なんか日本に帰ってきたら、あの時のノリをつい思い出しちゃって、悪かった。でも安心して?俺、もうすぐ結婚するから」
「え?結婚するの?」
「あぁ…向こうで知り合った子なんだけど、一生懸命で守ってやりたくて…今回は親に結婚の報告しに来ただけだから」
「そうなんだ。それにしても悪ふざけしすぎだからね!」
「悪かったって。本当ごめんな反省してる」
僕はなんだか嬉しかった。みんなが僕の味方してくれて、透さんはお義母さんに言われて仕方なくソファーの上で正座をして、まだお義母さんからお説教されてた。
なんだかお腹が空いたと思って思い出した。お肉の存在を!
「学さん、これ使ってください」
「これ…作らなかったのか?」
「だって…時間かかるから…」
「じゃあ今度作ってやるよ」
「お願いします」
学さんと話していたらお店のドアが開いた。
「いらっしゃいって浅井のお父さん」
「幸子いるか?海斗くんの一大事って…あれ?お前なんで正座?」
「聞いてよーあれ?角谷さんもみんなできたの?」
社長と秘書の角谷さん、そして佐伯常務までいた。お義母さんが大袈裟なメッセージを送ったみたいで、みんな大変だって来てくれたみたいだ。
「透、お前そういうのはちゃんとしないとダメだろ」
「あら?あなたがそれを言うの?元カノのプレゼントを大事に使ってたじゃない」
え?そんな事があったんだ。
わかったことは社長…お義父さんも昔のものを捨てられなかったらしく、お義母さんに全部捨てられたという事実だった。やっぱり親子なんだなって笑ってしまった。
透さんは両親や角谷さん、叔父さん、西原さんに四ノ宮さん、みんなに怒られて、ついでに悪ノリで僕に言ってしまった椎名さんも、透さんと一緒に正座させられて、みんなから怒られてた。大きな身体がどんどん小さくなってるのを見ながら、僕には…守ってくれる人がいて、守ってくれる家族がいる。ずっと父さんや母さんのことを自分のせいだと責めてた。
でも今は、昔のような罪悪感がなくなっている。それは透さんに愛されて、本当の愛を教えてもらったからだ。僕は今、1番幸せなのかもしれない。
「海斗くん、まだ辛いことあるの?言ってもいいのよ」知らずに涙が出ていて、お義母さんがハンカチで涙を拭いてくれた。
お義母さん…僕…幸せなんです。みんなが僕のこと守ってくれるのがわかったから。
そうよ。みんな守るわよ。海斗くんは私の大事な息子だもの。あんなバカ息子よりも海斗くんの方が大事だからね。これからもなんでもいいなさい。
お義母さんに抱きしめられて心が温かくなるのを感じた。
「透さん、本当はまだ残して置きたかったですか?」
「え?なんで?」
「なんか…懐かしそうで…僕にはそんな思い出の品物なんてないから」
「確かに懐かしいとは思うけど、特に思い入れがあったわけじゃないから置きっぱなしだったんだよ。まさか椎名がそんなこと言ってるなんて知らなくて、本当ごめんな」
「もういいです。捨ててもいいって言ってくれたから、僕も…そんなんで拗ねてしまってごめんなさい」
「海斗は悪くないから、本当ごめんな?」頭を撫でてくれる手が温かかった。
「そういえば、さっき学さんが店に来たって言ってたけど、何してたんですか?」
「あぁ…これ。忘れてたけど…」
ダイニングテーブルの上にはエコバッグを除くと牛肉や赤ワイン、玉ねぎなどが入っていた。
「海斗が好きなの思い出して、学に頼んでレシピを教えてもらってたんだ。作れるかわからないけどビーフシチュー作ろうと思って…」
「透さん、ありがとうございます」
そういえば今日は僕の合格記念だった。色々ありすぎて忘れてたけど…
「じゃあ作るか…でもできるまで時間がかかりすぎるよな?」もう夕方になろうとしている。ビーフシチューなんて煮込むこと考えたら3時間以上かかるんじゃないかな?
「ねぇ透さん、このお肉持って学さんのお店行きませんか?ビーフシチューはまた今度作ってもらいましょう。西原さん怒って行っちゃったから、ちゃんと謝りたいんです。僕の代わりに怒ってくれたから」
「そうだな。じゃあ行くか?」
僕たちは透さんの捨てられなかった思い出の品をゴミ袋に全部入れてマンションのゴミ捨て場に捨てた。本当にこれでよかったのかな?と思いながらも過去の彼氏との品物を持っていられるのは嫌だったから、これでいいだろう。と納得させてお店に向かった。
「こんばんは」
「あ!海斗、ってか浅井さん、どういうことか説明してもらえますか?今、西原さんから聞きましたよ。全く学さんといい、浅井さんといい、いい大人が過去の物捨てられないって全く、どういうことですか?」
店に入るなり悠人に怒られて大きな身体の透さんが縮こまった。
「悠人、そんなに怒るな。俺も捨てられなかったし…海斗は全部捨てたのか?」
「はい。捨ててきました。勘違いさせる写真がいっぱい出てきましたよ」
「はぁ…若気の至りだ。許せ」
「僕は学さんのこと、まだ許してませんけどね」
「悠人…」
「ちょっと透!」
「え?なんでお袋が?」
「透の家に行こうとしてたら、西原くんに途中で会って、話聞いたわよ。あれだけちゃんと海斗くん守ってって約束したのに、西原くんから聞いたけどどういうこと?全く何してるの?ごめんね海斗くん」
「いえ…お義母さんこそ、すみません」
「いいのよ。海斗くんは悪くないから。本当にバカ息子なんだから。しばらく正座して反省しなさいよ。今お父さんも、叔父さん達も呼んだから、そのうち来るでしょ」
「呼んだって…そんな事しなくても…ちゃんと反省したから」
「ねえねえ…って透…君は、さっきの…」
「椎名、海斗くんにちゃんと謝んなよ。あんな写真残してた浅井も悪いけど、誤解を招く言い方した椎名も悪いんだからね。わかってるの?」
「西原、さっきも聞いたよ。悪かったって…ごめんね。なんか日本に帰ってきたら、あの時のノリをつい思い出しちゃって、悪かった。でも安心して?俺、もうすぐ結婚するから」
「え?結婚するの?」
「あぁ…向こうで知り合った子なんだけど、一生懸命で守ってやりたくて…今回は親に結婚の報告しに来ただけだから」
「そうなんだ。それにしても悪ふざけしすぎだからね!」
「悪かったって。本当ごめんな反省してる」
僕はなんだか嬉しかった。みんなが僕の味方してくれて、透さんはお義母さんに言われて仕方なくソファーの上で正座をして、まだお義母さんからお説教されてた。
なんだかお腹が空いたと思って思い出した。お肉の存在を!
「学さん、これ使ってください」
「これ…作らなかったのか?」
「だって…時間かかるから…」
「じゃあ今度作ってやるよ」
「お願いします」
学さんと話していたらお店のドアが開いた。
「いらっしゃいって浅井のお父さん」
「幸子いるか?海斗くんの一大事って…あれ?お前なんで正座?」
「聞いてよーあれ?角谷さんもみんなできたの?」
社長と秘書の角谷さん、そして佐伯常務までいた。お義母さんが大袈裟なメッセージを送ったみたいで、みんな大変だって来てくれたみたいだ。
「透、お前そういうのはちゃんとしないとダメだろ」
「あら?あなたがそれを言うの?元カノのプレゼントを大事に使ってたじゃない」
え?そんな事があったんだ。
わかったことは社長…お義父さんも昔のものを捨てられなかったらしく、お義母さんに全部捨てられたという事実だった。やっぱり親子なんだなって笑ってしまった。
透さんは両親や角谷さん、叔父さん、西原さんに四ノ宮さん、みんなに怒られて、ついでに悪ノリで僕に言ってしまった椎名さんも、透さんと一緒に正座させられて、みんなから怒られてた。大きな身体がどんどん小さくなってるのを見ながら、僕には…守ってくれる人がいて、守ってくれる家族がいる。ずっと父さんや母さんのことを自分のせいだと責めてた。
でも今は、昔のような罪悪感がなくなっている。それは透さんに愛されて、本当の愛を教えてもらったからだ。僕は今、1番幸せなのかもしれない。
「海斗くん、まだ辛いことあるの?言ってもいいのよ」知らずに涙が出ていて、お義母さんがハンカチで涙を拭いてくれた。
お義母さん…僕…幸せなんです。みんなが僕のこと守ってくれるのがわかったから。
そうよ。みんな守るわよ。海斗くんは私の大事な息子だもの。あんなバカ息子よりも海斗くんの方が大事だからね。これからもなんでもいいなさい。
お義母さんに抱きしめられて心が温かくなるのを感じた。
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