55 / 80
独占欲
しおりを挟む
ホテルで一緒に過ごしてから透さんは前にもまして僕に構うようになった。僕が子供みたいに過去を気にしていたからだろうか…
「海斗そろそろかな?」
「多分…」
「あんなに頑張ったし、大丈夫だから」
そう今日は秘書検定試験の発表日だ。併願で受けたからどっちか受かればいいと思っている。
パソコンの前で2人で時間を待った。クリックする手が震えてしまう。大学受験の発表よりドキドキしてきた。
秘書検定試験、3級と2級、どちらとも合格だった。
「透さん僕、合格してます。合格してました」
「うん。海斗頑張ったな。おめでとう」
透さんに強く抱きしめられて嬉しかった。やっと秘書として第1歩が歩めそうな気がした。
透さんが今日はお祝いだからとご飯にでも行こう?と誘ってくれた。でも僕は、やっぱり2人きりで、ここにいたいとお願いした。
「じゃあ買い物に行ってくるから」
「僕も一緒に行きますよ」
「海斗は待ってて、一緒に行ったらメニューわかっちゃうだろ?すぐ戻ってくるから」
そう言って透さんは買い物に行ってしまった。
暇だなぁー
洗濯も掃除も透さんは僕が寝てる間にやってしまったから、僕はやることもなくソファーで透さんが入れてくれたジンジャエールを飲みながら、ダラダラしてしまった。
やっと試験の結果も出て安心した僕はそのままウトウトしていると
「ピンポーン」と滅多にならないチャイムが鳴り響いた。
透さんは鳴らさないし誰だろう?なにか荷物でも頼んだのだろうと思ってインターホンのモニターを確認した。
「誰?」
そこには細身の男性が立っていた
「はい。誰でしょうか?」
「透いないの?君だれ?」
「あの透さんは今、出かけてて、まだいません」
「とりあえず家に入れさせてよ」
「えっでも…」
「もしかして透と付き合ってるの?」
「はい…」
「そうか透、また新しい彼氏できたんだぁーねぇ知ってる?使ってないクローゼットあるでしょ。そのクローゼットの奥にダンボールがあるんだけどさ。透、捨てられないとか言って、付き合ってた人からのプレゼントとか全部大事に取ってあるんだよ。俺のもあるかも。透に会いたいから外で待ってるから…じゃあ」
僕はしばらく放心状態だった。プレゼント…とっておく人だったんだ。忘れられないのか…僕だけって…言ってたのに。
僕は躊躇いながらクローゼットを開けた。布団が入っていて、その奥に黒い大きめのダンボールが2つ入っていた。
見ていいのだろうか?これを見たらダメなような気がする。でも見たい。そう思ってダンボールを開けた。
「何これ…」
ダンボールの中にまた小さな箱がたくさん入っていた。その中の1つを開けると、そこにはまだ学生だろうか、制服姿の透さんと隣には色白の背の低い男性が立っている写真だった。その後も箱を開けるたび色んな人との写真やキスをしてる写真、情事の後、上半身裸の写真など色んな人との2ショットや手紙、お揃いで買ったものと思われるマグカップやTシャツ、ネックレスなど色んなものが入っていた。
そういえば僕は透さんと写真なんか撮ったことないし、透さんにプレゼントをしたこともない。唯一のものはこのネックレスと指輪だけだった。
どのくらいこの場所にいたんだろうか…気づけば透さんが買い物に行ってからもう2時間は過ぎていた。さっきの人と一緒にどこか行ったのかもしれない。
僕の僕だけの透さんなのに、僕は上着を羽織り、鍵とスマホを持って外に出た。
でも透さんも、さっきみた男性もいなかった。
そういえば、さっきの男性がいたってことは、この住所変わってないんだ。さっきの男性との写真の中にベッドで撮ったと見られる写真もあったけどあのベッドって…
前の彼氏の浮気現場を思い出してしまった。
急に吐き気がして道の端に寄った。俺って女みたい…こんな時に思い出すなんて、空を見上げたら、さっきまで薄曇りだったが黒い雲に覆われてポツポツと雨が降って来た。道を歩いている人は急に降ってきた雨にみんな走って駅に向かっている。
心が重い。別に残してあってもいいじゃないか、透があの部屋で何かをしていた形跡はないと思う…
ただ思い出の品や写真を捨てられなかっただけじゃなかっただけだと思うけど、でも僕は…やっぱり残しておいて欲しくなかった。
独占欲なのかもしれない。僕だけを見て愛してほしい。
雨が降る中、僕はそのまま立ちすくんでしまった。透さん、どこに行ったの会いたい。会いたいよ。
「海斗そろそろかな?」
「多分…」
「あんなに頑張ったし、大丈夫だから」
そう今日は秘書検定試験の発表日だ。併願で受けたからどっちか受かればいいと思っている。
パソコンの前で2人で時間を待った。クリックする手が震えてしまう。大学受験の発表よりドキドキしてきた。
秘書検定試験、3級と2級、どちらとも合格だった。
「透さん僕、合格してます。合格してました」
「うん。海斗頑張ったな。おめでとう」
透さんに強く抱きしめられて嬉しかった。やっと秘書として第1歩が歩めそうな気がした。
透さんが今日はお祝いだからとご飯にでも行こう?と誘ってくれた。でも僕は、やっぱり2人きりで、ここにいたいとお願いした。
「じゃあ買い物に行ってくるから」
「僕も一緒に行きますよ」
「海斗は待ってて、一緒に行ったらメニューわかっちゃうだろ?すぐ戻ってくるから」
そう言って透さんは買い物に行ってしまった。
暇だなぁー
洗濯も掃除も透さんは僕が寝てる間にやってしまったから、僕はやることもなくソファーで透さんが入れてくれたジンジャエールを飲みながら、ダラダラしてしまった。
やっと試験の結果も出て安心した僕はそのままウトウトしていると
「ピンポーン」と滅多にならないチャイムが鳴り響いた。
透さんは鳴らさないし誰だろう?なにか荷物でも頼んだのだろうと思ってインターホンのモニターを確認した。
「誰?」
そこには細身の男性が立っていた
「はい。誰でしょうか?」
「透いないの?君だれ?」
「あの透さんは今、出かけてて、まだいません」
「とりあえず家に入れさせてよ」
「えっでも…」
「もしかして透と付き合ってるの?」
「はい…」
「そうか透、また新しい彼氏できたんだぁーねぇ知ってる?使ってないクローゼットあるでしょ。そのクローゼットの奥にダンボールがあるんだけどさ。透、捨てられないとか言って、付き合ってた人からのプレゼントとか全部大事に取ってあるんだよ。俺のもあるかも。透に会いたいから外で待ってるから…じゃあ」
僕はしばらく放心状態だった。プレゼント…とっておく人だったんだ。忘れられないのか…僕だけって…言ってたのに。
僕は躊躇いながらクローゼットを開けた。布団が入っていて、その奥に黒い大きめのダンボールが2つ入っていた。
見ていいのだろうか?これを見たらダメなような気がする。でも見たい。そう思ってダンボールを開けた。
「何これ…」
ダンボールの中にまた小さな箱がたくさん入っていた。その中の1つを開けると、そこにはまだ学生だろうか、制服姿の透さんと隣には色白の背の低い男性が立っている写真だった。その後も箱を開けるたび色んな人との写真やキスをしてる写真、情事の後、上半身裸の写真など色んな人との2ショットや手紙、お揃いで買ったものと思われるマグカップやTシャツ、ネックレスなど色んなものが入っていた。
そういえば僕は透さんと写真なんか撮ったことないし、透さんにプレゼントをしたこともない。唯一のものはこのネックレスと指輪だけだった。
どのくらいこの場所にいたんだろうか…気づけば透さんが買い物に行ってからもう2時間は過ぎていた。さっきの人と一緒にどこか行ったのかもしれない。
僕の僕だけの透さんなのに、僕は上着を羽織り、鍵とスマホを持って外に出た。
でも透さんも、さっきみた男性もいなかった。
そういえば、さっきの男性がいたってことは、この住所変わってないんだ。さっきの男性との写真の中にベッドで撮ったと見られる写真もあったけどあのベッドって…
前の彼氏の浮気現場を思い出してしまった。
急に吐き気がして道の端に寄った。俺って女みたい…こんな時に思い出すなんて、空を見上げたら、さっきまで薄曇りだったが黒い雲に覆われてポツポツと雨が降って来た。道を歩いている人は急に降ってきた雨にみんな走って駅に向かっている。
心が重い。別に残してあってもいいじゃないか、透があの部屋で何かをしていた形跡はないと思う…
ただ思い出の品や写真を捨てられなかっただけじゃなかっただけだと思うけど、でも僕は…やっぱり残しておいて欲しくなかった。
独占欲なのかもしれない。僕だけを見て愛してほしい。
雨が降る中、僕はそのまま立ちすくんでしまった。透さん、どこに行ったの会いたい。会いたいよ。
応援ありがとうございます!
177
お気に入りに追加
622
1 / 2
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる