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カミングアウト
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透さんは15時過ぎにに帰ってきた。ずいぶん長く話合いしてたんだなぁーお昼はちゃんと食べたのかな?かなりお疲れの様子だけど話は、まとまったんだろうか?
その後は僕も資料作成と確認とでバタバタと過ごしていた。
もうすぐで定時になろうとした頃、透さんの声が聞こえてきた。
「みんな、そのままでいいから聞いてくれ。今日は早く帰れよ。明日の朝礼で、今日の臨時役員会での詳細を話すから、よろしく頼むな。以上」
明日、話するんだ。みんなは何?何?とざわついてしまった。その途端「早く帰れよ」部長からそんな言葉がくるのが珍しく、みんなは帰り支度をしていた。僕も帰ろうと準備をしていたら、僕のスマホが震えた。
〝先に学の店に行ってて。後で行くから〟
〝わかりました。待ってます〟
そう送って僕は学さんの店に向かった。
「いらっしゃい…って海斗じゃん」
「悠人久しぶり。今日は透さんと待ち合わせなんだ」
「海斗いらっしゃい。浅井から連絡きたよ。先に飲んでるか?」
「透さん来るまで待ってる」
「悠人、海斗と話してもいいぞ」
「ありがとう学さん」
僕たちは奥のソファー席に腰を下ろした。
「あれからどーなの?浅井さんとはうまく行ってるの?」
「うん。この前、透さんの実家に行ってきたよ」
「実家って…じゃあ秘書になるの?」
「うん…今いろいろ考えてる」
「社長秘書なんて…凄いじゃん!じゃあ会社の人にも言うんだ…」
「うん。今日さぁ…臨時の役員会があって多分そこで色々と話したと思う」
「お前とのことは?みんなに言うの?」
「もう少し待ってくれって言われてる」
「そうか…まだまだ理解してくれる人ばかりじゃないから大変だな」
そうなんだ。まだまだ僕たちのことを理解してくれる人ばかりじゃないのはわかってる。
でも僕は…
透さんが好きだから…
「いらっしゃい。奥にいるぞ」
「おぉ。海斗お待たせ」
悠人と話をしていたら透さんが来てくれた。
「おかえりなさい。透さん」
「ただいま海斗。悠人くん、海斗の話相手になってくれたんだな。ありがとう。あれ?何も飲んでなかったのか?飲んでてもよかったのに…」
「うん。待ってたんです」
「何飲む?ワインでいいか?」
「はい。軽めので」
ワインとつまみを悠人に頼んだ透さんは僕の隣に座って僕の手を握ってきた。
「今日の役員会疲れたよ。でも俺のことを全部話した。課長クラスもいたから驚かれたけどな。俺のことを理解してくれる人もいるのと同時に冷めた目で見られたのも確かだ。だからと言って俺は女性を好きにならないし、かと言って黙って社長になって影で海斗と付き合うのも違うと思ったからさ。いつかバレた時に困るし」
透さんはそう言って役員会での様子を教えてくれた。
中原専務は…最初、理解ができなくて、わざわざカミングアウトする必要はないんじゃないかと…
でも、社長や常務、里中さん達からも話をしてくれた。そういう人たちもいるんだと…極端な話、社内でそういう性的マイノリティを持った人が透さんだけだったとしても、それを排除するのは間違ってると…
専務は最終的には透さんを応援すると言ってくれたみたいだ。
他の人たちからは社長の意見に反対もできるはずがないのか、専務との話で、納得したのか反対意見が出ることはなかった。
福利厚生に関しては総務部長から今すぐに改善をするのには時間が足りないけど…早急に進められるように準備をすると言ってもらえたようだ。
今後は営業部長を降りて副社長に就任すること。副社長になる時期は半年後くらいを予定していること。
部長の後任は色々と話合った結果、桜課長は課長になってまだ日が浅いことから海外事業部の課長が部長になることに決まったと教えてくれた。そのことを明日、みんなに話すから海斗は知らない顔してろよ…と。
その後、社長や常務、里中さんと話をして僕とのことは副社長就任パーティーで発表することにしようと…
「パーティーですか?」
「そう。半年くらいあれば福利厚生とかも整ってるだろうって…あとは…そういう性的マイノリティを持った人もカミングアウトするかも知れないからな。あと半年は秘密の同居になりそうだけど我慢してくれ」
「はい。僕は大丈夫です」
「じゃあ、とりあえずもう少し飲むか…明日二日酔いしない程度に…」
その後は学さん、悠人も一緒に美味しいご飯とお酒を飲んだ…明日のことを少し不安になりながら…
その後は僕も資料作成と確認とでバタバタと過ごしていた。
もうすぐで定時になろうとした頃、透さんの声が聞こえてきた。
「みんな、そのままでいいから聞いてくれ。今日は早く帰れよ。明日の朝礼で、今日の臨時役員会での詳細を話すから、よろしく頼むな。以上」
明日、話するんだ。みんなは何?何?とざわついてしまった。その途端「早く帰れよ」部長からそんな言葉がくるのが珍しく、みんなは帰り支度をしていた。僕も帰ろうと準備をしていたら、僕のスマホが震えた。
〝先に学の店に行ってて。後で行くから〟
〝わかりました。待ってます〟
そう送って僕は学さんの店に向かった。
「いらっしゃい…って海斗じゃん」
「悠人久しぶり。今日は透さんと待ち合わせなんだ」
「海斗いらっしゃい。浅井から連絡きたよ。先に飲んでるか?」
「透さん来るまで待ってる」
「悠人、海斗と話してもいいぞ」
「ありがとう学さん」
僕たちは奥のソファー席に腰を下ろした。
「あれからどーなの?浅井さんとはうまく行ってるの?」
「うん。この前、透さんの実家に行ってきたよ」
「実家って…じゃあ秘書になるの?」
「うん…今いろいろ考えてる」
「社長秘書なんて…凄いじゃん!じゃあ会社の人にも言うんだ…」
「うん。今日さぁ…臨時の役員会があって多分そこで色々と話したと思う」
「お前とのことは?みんなに言うの?」
「もう少し待ってくれって言われてる」
「そうか…まだまだ理解してくれる人ばかりじゃないから大変だな」
そうなんだ。まだまだ僕たちのことを理解してくれる人ばかりじゃないのはわかってる。
でも僕は…
透さんが好きだから…
「いらっしゃい。奥にいるぞ」
「おぉ。海斗お待たせ」
悠人と話をしていたら透さんが来てくれた。
「おかえりなさい。透さん」
「ただいま海斗。悠人くん、海斗の話相手になってくれたんだな。ありがとう。あれ?何も飲んでなかったのか?飲んでてもよかったのに…」
「うん。待ってたんです」
「何飲む?ワインでいいか?」
「はい。軽めので」
ワインとつまみを悠人に頼んだ透さんは僕の隣に座って僕の手を握ってきた。
「今日の役員会疲れたよ。でも俺のことを全部話した。課長クラスもいたから驚かれたけどな。俺のことを理解してくれる人もいるのと同時に冷めた目で見られたのも確かだ。だからと言って俺は女性を好きにならないし、かと言って黙って社長になって影で海斗と付き合うのも違うと思ったからさ。いつかバレた時に困るし」
透さんはそう言って役員会での様子を教えてくれた。
中原専務は…最初、理解ができなくて、わざわざカミングアウトする必要はないんじゃないかと…
でも、社長や常務、里中さん達からも話をしてくれた。そういう人たちもいるんだと…極端な話、社内でそういう性的マイノリティを持った人が透さんだけだったとしても、それを排除するのは間違ってると…
専務は最終的には透さんを応援すると言ってくれたみたいだ。
他の人たちからは社長の意見に反対もできるはずがないのか、専務との話で、納得したのか反対意見が出ることはなかった。
福利厚生に関しては総務部長から今すぐに改善をするのには時間が足りないけど…早急に進められるように準備をすると言ってもらえたようだ。
今後は営業部長を降りて副社長に就任すること。副社長になる時期は半年後くらいを予定していること。
部長の後任は色々と話合った結果、桜課長は課長になってまだ日が浅いことから海外事業部の課長が部長になることに決まったと教えてくれた。そのことを明日、みんなに話すから海斗は知らない顔してろよ…と。
その後、社長や常務、里中さんと話をして僕とのことは副社長就任パーティーで発表することにしようと…
「パーティーですか?」
「そう。半年くらいあれば福利厚生とかも整ってるだろうって…あとは…そういう性的マイノリティを持った人もカミングアウトするかも知れないからな。あと半年は秘密の同居になりそうだけど我慢してくれ」
「はい。僕は大丈夫です」
「じゃあ、とりあえずもう少し飲むか…明日二日酔いしない程度に…」
その後は学さん、悠人も一緒に美味しいご飯とお酒を飲んだ…明日のことを少し不安になりながら…
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