鬼上司と秘密の同居

なの

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2人の仲は秘密です

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それからしばらくしてから部長が戻ってきた。なんだか随分お疲れのようだなぁーと思ってたら

「小沢…ちょっといいか?第3会議室に来てくれ」
「あっはい。わかりました」

僕は何を言われるのかわからないまま部長の後ろに付いて行った。会議室に入ると透さんは鍵を閉めて抱きついてきた。「あぁ…海斗が足りない。ちょっと充電させて」
僕も部長の背中に腕を回して抱きついた。僕も足りない…

「海斗…親父と叔父さんと川上さんの対処について話してきた。この前の川上さんとのことも全部。海斗とにも辛い思いさせたことも…ごめん勝手に話しちゃって…」

「いえっ…川上っさんは?」

「今、親父と叔父さんと話してる。海斗…川上さんとは何もない。本当にないから…食事は1回目は親父と室長がいた。2回目は誘われたけど、海斗が心配で断ったんだ。本当だよ。ただ…前も言ったけど、川上さんが、ふらついて抱きついてきたのを支えたのは確かだ…油断したよ。本当にごめんな」強く抱きしめられた。

「それと…川上さんのさっきの話で俺の親父が社長じゃないかっ…と勘づく人がいるんじゃないかって言われた。そこで叔父さんからの提案で明日、臨時の役員会を開く。俺はその場で自分の事をカミングアウトしようと考えてる。この前の対策も早急に進められるように頑張ってみるから」

「透さん自身のことはカミングアウトするけど、僕がパートナーとはまだ言わないんですよね?」

「そうだな。まだ秘密のままだな」

「透さんは副社長になっちゃうの?」

「それは…中原専務がOKを出せばだな。うちの会社は副社長を置かない代わりに専務や常務が社長の補佐をしているからな。俺がその役目を担うのは今はまだ難しい。俺の代わりに営業部長を務められる人材を探さないと…だから海斗が俺の秘書になるのもまだ先だ。これから少しずつ…勉強してくれると助かるな」

「透さんの秘書になったら一緒にいれるのは嬉しいけど、僕なんかにできますか?」

「海斗だからお願いしたい。ただ海斗が営業でもっと仕事がしたいと思うなら止めないよ」

「僕は…透さんと一緒の場所で働きたいです」

「海斗…ありがとう。本当に大好きだ。愛してる」

「チュッ」リップ音を鳴らしてキスをしてくれた。

「そろそろ行くよ。海斗に説明したいって出てきちゃったから…帰りはそんなに遅くならないと思うから」

「わかりました。今日は特に急ぎの用もないので早く帰ります。晩ごはん作って待ってますね」

「晩ごはん作ってくれるのか?」

「はい…そんなに上手じゃないけど…」

「そんなことない。海斗の愛情が入ってるからな。楽しみにしてる」

部長は社長室へ、僕は部署に戻った。平井が「大丈夫だった?」と声をかけてくれた。大丈夫と言って席に戻った。熱中して定時を過ぎてしまった。帰ろうと思って部長の席を見ても、まだ帰ってきてなかった。

僕は少し寂しさを覚えながらも買い物して家に帰った。
お風呂の掃除をして、ご飯を作り始めた。久しぶり料理するなぁー

今日のメニューは肉じゃがと小松菜の白和え、わかめと油揚げの味噌汁だ。和風過ぎたかな?と思いながら何とか作り終えたころ

「ただいまー」透さんが帰ってきた。玄関まで迎えに行って
「おかえりなさい。お風呂もすぐに入れるし、ご飯もできたよ。どっちにする?」と聞いてみると「海斗はないの?」と抱きしめられた。
「えっ僕?」
「だって新婚さんの定番だろ?お風呂にする?ご飯にする?それとも?って…」
「恥ずかしいですっそれに……」
「それに?」
「まだ月曜日だし、有給なくなっちゃいますっ」
そう言うと抱きしめながら大笑いされた。
「抱きつぶすまでしたいけど…俺も今日は疲れたから、海斗を腕の中に抱きしめて、ゆっくり眠りたい。ふぁー疲れたよ。話、長くて…」

「お疲れ様でした。先にご飯を食べて、入浴剤入れてゆっくりお風呂につかりましょう」

「そうしよう。いい匂いがするけど晩ごはんは?」
「先に手を洗って来てください。用意します」
バタバタとキッチンに戻って準備した。ご飯を食べながら今日の話をしてくれた。

「川上さんには隠しておくのも面倒だから俺がゲイだって言ったよ。女性には一切興味もないし、好きになることはないって…ふらついて抱きつかれたのを支えたのも仕方なくそうしただけだと。まぁ…ショックを受けてたよ。そりゃ好きになった男が男を好きなんて言われたら誰でもそうなるかもな…思ってもみなかっただろうし」

「でも…いいんですか?言っちゃって…」

「明日には役員会で言うんだ。1日早くなっただけだろ。まぁ…念のため社長が他言無用と言ってくれたけど、こればかりは…明日、騒ぎになってるかもしれないけどな」

「透さん…僕、透さんの力になりたいです。僕にできることなんて少ないかもしれませんが…透さんを僕も支えたいから」
急に席を立って透さんは僕の隣に座った。
「透さん?」
横から抱きしめてきた。
「海斗ありがとう。俺は海斗がいてくれたら何だってできるよ。海斗は俺のそばにずっといてくれ」
「はいっずっといます」
軽くキスを交わした。

「それにしても海斗の飯うまいな」
「和風すぎちゃいました?」
「いや全然。和食好きだし、それに昼は油淋鶏だったからな」
「それならよかったです」
「片付けは俺がするから…海斗、明日から…部署が荒れるかもしれないが…頼むな。気になるだろうけど…」
「大丈夫です。でも…部長がカミングアウトしたら男のライバルも増えるんでしょうか?いるかもしれないですよね?」
「大丈夫。俺は海斗しか好きにならないから。海斗が誤解を招くような行動はしないから信用してくれ、頼む」
「はい。信用してます。じゃあ…一緒にお風呂入りましょう」

明日の決戦のためにお風呂に入り、部長と抱き合って眠った。



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