鬼上司と秘密の同居

なの

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病み上がりは危険です

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3人で話をしていると

「楽しそうだな」
「透さん。早いですね。まだ8時過ぎですよ。もう終わったんですか?」
「あぁ…ほぼ話終わったから残りは任せてきた。ポトフか…うまそうだな」
「はいとっても」
「俺にも少し」
「はいよ。待ってろ」

「ワインまで飲んで平気か?」
「大丈夫です。学さんの料理、美味しくて…軽めのワインなんで」
「学の料理は確かにうまいな」
「透さんの料理も俺好きです。味付けも優しくて…」
「好きなのは料理だけ?」
「っえ?」
「まぁ今はまだいい…な。所で何を盛り上がってたんだ?」

「学さんってお医者さんになりたかったんだけど、血が苦手で諦めたって。でも今は…悠人とお店持って幸せだって。いいよね~たとえ夢が叶わなくても今が幸せなら…」
「海斗だって…」
「俺、少し飲みすぎたかな?酔い冷ましてきます」
そう言って席を立ちトイレの個室に入った。お酒を飲んだせいかフラフラするなーそう思いながら便座に座りこんでしまった。

幸せ…俺は今幸せと言えるのだろうか…同棲してたアイツに裏切られ、透さんに拾われて…でも迷惑しかかけてない。会社では自己管理がなってないと…本当のことだから仕方ないけど…嫌われてるな。上田さんに…しかもアイツに待ち伏せされて…透さんに両親のこと知られちゃった…それでも家無しの俺には帰る家があるだけでも幸せなのかもしれない…でも俺は…幸せになっちゃいけないんだ。父さんや母さんを不幸にした俺なんか…

「あれ?海斗は?」
「あぁ…ちょっと酔い冷ますって…」
「昨日、大丈夫だったか?熱だしたんだって?」
「悠人くんに聞いておいてよかったよ。かなり高かったから。両親のことは聞いてない。言いたくないだろうし…それにしても海斗遅いな」
「倒れてないといいけど…病み上がりだし」
「ちょっと見てくる」

ドンドンドン
「っ海斗…海斗、大丈夫か?」
「あ…透さん、すみません」

鍵を開けて外に出た。
「海斗、大丈夫か?」
透さんに抱きしめられた。
温かい…ふと目に熱いものがこみ上げてきた。
「ぐっすっ」
「海斗どうした?」
「いえっ…すみません。酔いが回ったみたいで…」

「浅井、これポトフ詰めといたから、あとタクシー呼んどいた」
「悪いな。また来るよ。近々また集まろうぜ」
「了解。連絡待ってるから。気をつけろよ」

「海斗、帰るぞ」
「透さん、もう大丈夫です」
そう言う俺を信用してないのか抱えながら家に帰った。

「もう少し酔い冷ますか?」
「はい」
ソファーに座り透さんにもたれかかりながら学さんと悠人の仲良さそうな姿を思い出していた。
お互いを信頼してて、わかりあってて…透さんは俺の過去を知っても嫌いにならないだろうか?嫌いって言われたらどうしよう…
嫌われたくない…

「なに難しそうな顔して何考えてる?」
「いえ…別に」
「話したら楽になるかもしれないぞ。まぁ…言いたくないことも」
「透さんは俺を嫌いになりますか?」
「はぁ?いきなりどうした?」
「すみません…」

俺を抱きしめながら
「俺は小沢海斗好きなんだ。こんなに好きなのに嫌いになるわけないだろ?地位も名誉も全て捨てられるくらい、海斗だけ好きだよ海斗…キスしていい?今すぐキスしたい」

俺の答えを聞くことなく顎に手をかけて唇を合わせた。透さんの唇は温かくて、でも少し震えていた。すぐに離れてしまった唇が淋しくて、透さんの唇を見ていたら
「もっと気持ちいいキスしようか?何も考えられないくらいに…」

そんな甘い言葉とは裏腹に、さっきとは違く少し荒々しく唇を合わせてきた。薄く唇を開くと待ってましたとばかりに舌が差し込まれ歯列にそって上顎を撫でられた。
「んっ…」
「海斗好きだよ。どんな海斗でも好きだ」
「俺…透さんに嫌われたくない」
「あぁ…絶対に嫌いになんかならない。俺に海斗の事、愛させて」
こめかみに瞼に頬に首筋に唇が落ちてきた。透さんを好きになってもいいの?裏切られない?という不安、キスだけじゃ物足りなさを感じた。俺はただ単に人肌が恋しいだけじゃないのか?透さんが好きだから?そう思いながらも深くて熱いキスに俺は透さんの首に腕を回した。それが合図になったのかソファーの上に仰向けに転がされた。

「…透さん?」
「海斗?…余計な事は考えないで今は愛し合わないか?」
「でもシャワー」
「もう待てない。海斗不足で会社で襲いそうになる…」
「会社って…」
「海斗、愛してるよ」  
頬に手を当てキスを落してくる。
その甘い言葉で透さんに身を任せた。


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