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番外編
side健太
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奏に「いなくなっちゃえ」と言われて持ってたお金で海までやってきた。
そこで出会ったのが健太さんだった。
「純平、今日も海行こうぜ、海までかけっこな!」
そう言って、あっという間にいってしまった。
「健太さん待ってー」
砂浜を2人で歩いていると健太さんが
「俺さー、番になったら幸せになれると思ったのに…なんで捨てられっちゃったのかなーアルファって勝手だよな。いっぱいオメガとやれるのに、どうしてオメガは1人しかダメなんだろ…どうして…俺よりも好きな人できたんだろうっ…」
「健太さん…」
「純平、お前はどうして?って聞いちゃいけなかったな…ごめん」
「いいんです。僕…幼馴染が大好きだったんです。友達と付き合ってるのかと思ったら勘違いだったみたいで…安心したら急に発情期になっちゃって…相手もそれに当てられっちゃったみたいで…それで番になったんです。でも…そのあと彼が頭をぶつけて、記憶を無くしちゃって…俺と番になったの忘れて、僕が他の人と番になったと勘違いしてしまって…」
「そんなの本当のこと言えば…」
「断ったんですっ…」
「はあ?」
「みんなに本当のこと言わないでって…」
「なんでっ?」
「辛いから…」
「辛い?」
「だって、もし番だって言われて責任って言われても僕たちまだ中学生だし…まだ早いとか…もしかしたら運命の番に会えるかもしれないのに僕のせいでっ…」
「純平…」
「これから薬でなんとかなると思うし、僕は健太さんやみんなに会えたから、彼に会えなくても生きていけると思う…生きていかなくちゃいけないんだよね」
「親とかに連絡しなくていいの?」
「僕、親いなくて…というかお父さんは運命の番に逢っちゃって。お母さんは捨てられて…それで結局自殺したので施設に引き取られたんですけど、虐待に遭って、友達のお母さんが親がわりになってくれるって言ってたけど…僕、出てきちゃったから…でももし、僕のこと探してる人がいても言わないでね。絶対だよ。約束してね。」
「僕、彼のこと好きだけど、迷惑かけたくないんだ。彼なら、きっと運命の番に出会えると思う。僕みたいに親にも捨てられ、施設でも虐待されてた僕じゃ、彼のそばにいたらダメなんだ。」
「なんでそこまで…きっとみんな心配してるよ」
「彼……キスが初めてって言ってくれたんです。僕は違うのに…僕とキスできて嬉しいって…そんな彼のファーストキス奪ったのが僕みたいな汚いやつじゃダメだと思うから……健太さん、こんな僕ですがよろしくお願いします」
「純平…きっといつか幸せになろうな。きっと幸せになれるよ」
「そうですね。彼が…彼が幸せになってくれるといいです」
そう言ってた純平だったが薬が効かない体質だった。
「施設長、純平なんとかならないんですか…このままじゃあいつ…本当のこと教えてあげちゃいけないんですか?」
「健太、これは純平に施設に入る時に言われたの。自分を探してる人から連絡があっても言わないでって…」
「っ…でも…」
「もしその人が会いにきたら、きっと今の純平ならどこかに逃げ出すわ。その時にいい施設じゃない所に行ったら?もっともっと辛い思いさせちゃうのよ」
「でも…俺…純平の幼馴染、許せないです。そんな奴、許しちゃいけないんです」
「そうね…」
それからの日々は純平にとっても苦しくて辛い時間だったと思う。
純平の番だった奏に出会った時、俺はとてつもなく酷いやつだと思っていた。
「健太さん…今日はどこ掃除しますか?」
「毎日、掃除してくれるの助かるけどいいのか?家の家事全般してるんだろ?」
「うん。でもリハビリになるし、奏も頑張ってるんだから僕も頑張らないと…」
「あんまり無理すると具合悪くなるからほどほどにな」
純平は奏と再会した。やっぱり運命なのかもな。
俺にはもう叶えられない幸せをやっと見つけたんだ。
あんだけの辛い経験してきて、あんなクズな奴だけど、今は純平を幸せにしてあげたいって思ってる姿をみると少しはいい奴なのかな?
「こんにちは」
「あ!奏どうしたの?」
「迎えにきたよ。家にいなかったから」
「今日…何かあった?」
「突然、休講になったから帰ってきた」
「純平、もう帰りな。また明日な」
「健太さん、また明日きますね」
2人で仲良く手を繋いで歩く後姿を見て、羨ましいと思った。
俺も…ってもう無理なのに…
「ねぇ健太…ちょっと…」
「施設長なんかありました?」
「病院行っておいで」
「なんでですか?俺、別になんともないですよ。薬効いてるし…」
「いやぁー噛み跡がね…」
「噛み跡?」
「だいぶ薄くなってるの消えそうだよ」
「っ…まさかっ…」
「うん…番が死んだら噛み跡なくなるからさー消えない人もいるけど…そしたら、また誰か見つけられるじゃん。健太まだ若いんだから。次こそは幸せになるといいね。純平みたいにさ!」
数日後…病院で番の噛み跡が消えてると言われた。
血液検査でも証明された。
でも俺はやっぱり捨てられたことが心に残り誰かと共に歩む人生を今は考えられない。
いつかまた、誰かと恋がしたいって思える人に出会えたらいいな。
純平と奏のようにお互い色々な事があっても信頼して、寄り添えるように…
そこで出会ったのが健太さんだった。
「純平、今日も海行こうぜ、海までかけっこな!」
そう言って、あっという間にいってしまった。
「健太さん待ってー」
砂浜を2人で歩いていると健太さんが
「俺さー、番になったら幸せになれると思ったのに…なんで捨てられっちゃったのかなーアルファって勝手だよな。いっぱいオメガとやれるのに、どうしてオメガは1人しかダメなんだろ…どうして…俺よりも好きな人できたんだろうっ…」
「健太さん…」
「純平、お前はどうして?って聞いちゃいけなかったな…ごめん」
「いいんです。僕…幼馴染が大好きだったんです。友達と付き合ってるのかと思ったら勘違いだったみたいで…安心したら急に発情期になっちゃって…相手もそれに当てられっちゃったみたいで…それで番になったんです。でも…そのあと彼が頭をぶつけて、記憶を無くしちゃって…俺と番になったの忘れて、僕が他の人と番になったと勘違いしてしまって…」
「そんなの本当のこと言えば…」
「断ったんですっ…」
「はあ?」
「みんなに本当のこと言わないでって…」
「なんでっ?」
「辛いから…」
「辛い?」
「だって、もし番だって言われて責任って言われても僕たちまだ中学生だし…まだ早いとか…もしかしたら運命の番に会えるかもしれないのに僕のせいでっ…」
「純平…」
「これから薬でなんとかなると思うし、僕は健太さんやみんなに会えたから、彼に会えなくても生きていけると思う…生きていかなくちゃいけないんだよね」
「親とかに連絡しなくていいの?」
「僕、親いなくて…というかお父さんは運命の番に逢っちゃって。お母さんは捨てられて…それで結局自殺したので施設に引き取られたんですけど、虐待に遭って、友達のお母さんが親がわりになってくれるって言ってたけど…僕、出てきちゃったから…でももし、僕のこと探してる人がいても言わないでね。絶対だよ。約束してね。」
「僕、彼のこと好きだけど、迷惑かけたくないんだ。彼なら、きっと運命の番に出会えると思う。僕みたいに親にも捨てられ、施設でも虐待されてた僕じゃ、彼のそばにいたらダメなんだ。」
「なんでそこまで…きっとみんな心配してるよ」
「彼……キスが初めてって言ってくれたんです。僕は違うのに…僕とキスできて嬉しいって…そんな彼のファーストキス奪ったのが僕みたいな汚いやつじゃダメだと思うから……健太さん、こんな僕ですがよろしくお願いします」
「純平…きっといつか幸せになろうな。きっと幸せになれるよ」
「そうですね。彼が…彼が幸せになってくれるといいです」
そう言ってた純平だったが薬が効かない体質だった。
「施設長、純平なんとかならないんですか…このままじゃあいつ…本当のこと教えてあげちゃいけないんですか?」
「健太、これは純平に施設に入る時に言われたの。自分を探してる人から連絡があっても言わないでって…」
「っ…でも…」
「もしその人が会いにきたら、きっと今の純平ならどこかに逃げ出すわ。その時にいい施設じゃない所に行ったら?もっともっと辛い思いさせちゃうのよ」
「でも…俺…純平の幼馴染、許せないです。そんな奴、許しちゃいけないんです」
「そうね…」
それからの日々は純平にとっても苦しくて辛い時間だったと思う。
純平の番だった奏に出会った時、俺はとてつもなく酷いやつだと思っていた。
「健太さん…今日はどこ掃除しますか?」
「毎日、掃除してくれるの助かるけどいいのか?家の家事全般してるんだろ?」
「うん。でもリハビリになるし、奏も頑張ってるんだから僕も頑張らないと…」
「あんまり無理すると具合悪くなるからほどほどにな」
純平は奏と再会した。やっぱり運命なのかもな。
俺にはもう叶えられない幸せをやっと見つけたんだ。
あんだけの辛い経験してきて、あんなクズな奴だけど、今は純平を幸せにしてあげたいって思ってる姿をみると少しはいい奴なのかな?
「こんにちは」
「あ!奏どうしたの?」
「迎えにきたよ。家にいなかったから」
「今日…何かあった?」
「突然、休講になったから帰ってきた」
「純平、もう帰りな。また明日な」
「健太さん、また明日きますね」
2人で仲良く手を繋いで歩く後姿を見て、羨ましいと思った。
俺も…ってもう無理なのに…
「ねぇ健太…ちょっと…」
「施設長なんかありました?」
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「なんでですか?俺、別になんともないですよ。薬効いてるし…」
「いやぁー噛み跡がね…」
「噛み跡?」
「だいぶ薄くなってるの消えそうだよ」
「っ…まさかっ…」
「うん…番が死んだら噛み跡なくなるからさー消えない人もいるけど…そしたら、また誰か見つけられるじゃん。健太まだ若いんだから。次こそは幸せになるといいね。純平みたいにさ!」
数日後…病院で番の噛み跡が消えてると言われた。
血液検査でも証明された。
でも俺はやっぱり捨てられたことが心に残り誰かと共に歩む人生を今は考えられない。
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