いつか愛してると言える日まで

なの

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自分の気持ち

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奏に抱きしめられた時は真っ青だった顔が、奏との事を思い出してるうちに、どんどん顔が赤くなってきた。先生は念のため血液検査しよ。と声をかけてくれた。

ホルモンの値を調べる血液検査をしたら今までなんの変化もなかったホルモン値が少し上がっていたらしい。このまま順調にいけばヒートも起こるかもしれない言われた。小学生の頃はヒートになるかもわからなかったから…

ヒートは学校の授業で聞いた事があったけど詳しくはわからなかった。その為に女の先生じゃ男の身体の違いもあって詳しくは話しづらいから違う先生でもいい?って聞いてくれた。まだ大人の男の人は怖いと感じる事があるけど前ほど恐怖を抱かなくなった。そんな僕と話をしてくれる先生がいる。小児科医の誠おじちゃんだ。先生と呼ばれる事が嫌いで僕のことを自分の子どもだと思って接してくれる。まだ独身で子どもなんていないのに…

誠おじちゃんからオメガがヒートになったら困る事、守らないといけない事、たくさん教えてもらった。今は薬でヒートをコントロールする人もいるけど完全じゃない。薬が効きづらい人、副作用が強くて飲めない人もいるそうだ。ヒートが来ないと調べることができないから僕がどうなのかわからなかった。しかも僕は施設長とのことがあって、そういう事に興味がなく、むしろ嫌でたまらない。恐怖さえ覚える。だからこの年で精通もまだだ…みんなは興味がある年だから自慰をしたり、無精したりするという。自分の欲望だけを獣のように求めるのがとても嫌だ、だからそんな事できないと…したくないと…そんな事をしなくても生きていけると思ってたけど、オメガはヒートがあって、自分の気持ちがしたくなくてもヒートがくればそんな事はお構いなしに欲望を発散したくなるそうだ。そんな話をされたら、やっぱり興味より、恐怖を抱いてしまう。

だんだんと僕が俯いてると誠おじちゃんから「純平は好きな人、大好きな人はいるかい?」と聞かれた。そんな人、この世で1人しか思い浮かばない。でもその答えを言えなかった。
やっと声が出るようになっても僕は自分の気持ちをちゃんと伝えることができないままだった。
自分の気持ちは押し殺さないと…



奏とのことがあってから1週間がたったある日、結城先生から少し外の空気を浴びに行こうか?と声をかけられた。
久しぶりの外の空気は少し冷んやりしたけど空が綺麗で、とても気持ちが良かった。先生とすぐ近くのベンチに腰掛けた。

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど……もしかして純平くんの好きな人って奏くん?」

「えっ…」

「ずっと思ってたけど、なかなか聞けなくてごめんね。」

「えーっと…郁人には内緒にしてください。」

「どうして?」

「…2人は付き合ってるから」

「えー。ハハハ純平くん本当にそう思ってるの?」

「僕は見たから…だから僕は…はっはっはっ」

「純平くん落ち着いて…ね。大丈夫だから…勘違いだよ。」

「勘違いじゃない。僕はずっとそう思ってきた。だから僕が好きな気持ちは言っちゃダメなんだ。」

「純平くん…」
「純平くん、聞いて。2人は確かに仲がいいよ。それはね、純平くんがいるからだよ。そうだよね?」

先生が後を向いたので視線を向けると2人が立っていた。

僕の気持ちを聞かれてしまった。勘違いじゃないのに…2人は…  


』2人が同時に叫んだ。

「違う…?」

「何をどう勘違いしたら俺と郁人が付き合ってるって思ったんだ?」  

「だって…あの時…」

「あの時?」

「純平くん、奏くんお互い勘違いしてる部分、話した方がいいよ。そしたら純平くんの心の奥、きっと楽になるから。終わるまで先生待ってるからね。」

そう言って先生と郁人が離れていった。

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