転移したら獣人たちに溺愛されました。

第2章

第74話

ノアは俺に何度も謝りながらそのまま眠ってしまった。ノアが眠ったあとエアロンがやってきた。ジェイク爺さんの話では会った時は少し怯えていたと……きっと知らない人に会ってびっくりしただけなのかもしれないとその時にはあまり深く考えずに久しぶりにノアを抱っこして眠った。

「ノア目が覚めたか？おはよう」
俺の目を見つめるノアの表情がいつもと違うことに気がついた。ノア？と声をかけてもすぐに謝ってきた。俺は昨日のことは怒ってないと言ったのだがノアは首を横に振るばかりだった。きっとノアのことだまた自分の殻に閉じこもってしまうだろう。きっと山奥で色んなことを考えたのかもしれない。
俺はノアを対面に抱き上げた。びっくりした顔で俺と目が合った。

「ノア、パパに隠し事はなしだよ。1人で山に行ったことは良くないと思う。でもそれはカイルのために取ってきてくれたんだろ？あんなに大きなキノコを取るの大変だっただろ？よく頑張ったな」
ノアの頭を撫でてやる。するとノアは不安そうに今にも涙がこぼれ落ちそうだった。

「パパ怒ってないの？」
ノアが小さな声で聞いてきた。きっと俺が怒ってると思ったのかもしれない。確かに起こりたい気持ちはあるが頭ごなしでは怒れない。きっとノアはカイルのために頑張ったんだから。

「そうだな。何も言わないでいなくなったことは怒ってるよ。でもノアは言えなかったんだよな。俺たちに相談したら怒ると思ったんだろ？もっとノアの話を聞いてやればよかったな。これからはどんな小さなことでもいいから誰かに相談すること、勝手な行動はしないことパパと約束できるか？」
小指を出すともうしません約束。俺とノアは指切りをした。

「ノア、パパもあのキノコ食べてみたいけどいいかな？」
ノアはやっと笑顔を見せてくれて僕はいらないからみんなで食べて。と言ったあとキノコが自分の手元にないことに気がついた。

「大丈夫だ。ノアが取ったキノコはちゃんと料理長に渡したから。ノアにパパから提案がある。カイルの誕生日にはもっとたくさんのキノコでお祝いしないか？」
ノアは目を輝かせて俺をみてくれた。俺はノアに1つの案を出した。

「今度はリアムも一緒に行くこと。ノアを助けてくれたジェイク爺さんと息子のベリーと一緒なら山に行ってキノコを取ってきてもいいよ」

「ジェイク爺さん？」

「あぁノアを助けてくれた人だ。見た目怖そうだけど山のことなら彼に聞いたほうが早いし、たくさんキノコがある山も知ってるぞ」
きっとノアは喜んでくれると思ったが、その人に怒鳴られた……と言い出した。ノアの話によればノアに触ったらダメだとベリーに言ったようだ。僕、嫌われてるから会えないという。ノアはきっと嫌われてるから自分を触らないと勘違いしているように聞こえた。もしかしたら昔、人間界でそんなことがあったのかもしれない。俺はノアにそれは違うと言い聞かせた。ノアはカイルの伴侶だから他の人が抱きしめたりすると拒否反応が起きてしまう。それをジェイク爺さんは知ってたからノアをブランケットに乗せて山を降りたんだと伝えた。すると……

「でも、僕パパの抱っこは大丈夫だよ」
今も俺の膝の上に座っている。ノアにとっては不思議なんだろう。

「ノアのパパだから大丈夫なんだ。不思議なんだけど、ノアがここに来てからずっと抱っこしてるからパパもママも大丈夫なんだよ。俺たちは家族なんだ。血が繋がってなくてもな。だからノアが悲しい時にも嬉しい時もずっとそばにいる」
ノアは嬉しそうに何度も頷いてくれた。

「よし、ノアご飯を食べに行こう。久しぶりに抱っこして行こうか」
するとノアは昔より重くなったから大丈夫だと言い出した。俺はノアの足にそっと触れた。

「ママがいないから今すぐには治せない。このままじゃカイルにバレるから安静が一番なんだ。ノアはまだまだ軽いから平気だよ」
あの頃よりも背も伸びて大きくなったけど、まだまだノアを抱っこできる。俺は久しぶりにノアの重みを感じながら抱っこをした。カイルがいない時しかノアを独占できないからな。今日はノアと何をしようかと仕事のことを忘れながらリビングに向かった。久しぶりにノアにご飯を食べさせるのもいいかもしれない。今日はとことんノアを過保護にしようと決めた。