転移したら獣人たちに溺愛されました。

なの

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第2章

第72回

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お尻がだんだん痛くなって立ちあがろうとしたら
「いた~いっ」
さっき転んだ時に痛めた足が痛くて僕はそのままうずくまってしまった。しかもなんだか寒くなってきて僕は自分の身体を両手でさすった。誰かに言えばよかった。多分ダメだと言われる可能性が高いけど、言ってたらこんなことにはならなかったと思う。僕はなんでバカなんだろう……全然、成長していない。それなのにこれからカイルの伴侶として国民に発表なんて、みんなが祝福してくれるとは思えない。やっぱり僕は昔からダメな子なんだ。だからいじめられたんだよな。僕がただ単に弱くて学校に行けないのに屋敷のみんなは責めたりしない。それどころかみんな優しくしてくれる。そんなんじゃダメなのに……でもその優しさが嬉しかった。この5年ここに来てから僕はみんなにたくさんの愛をもらって幸せだった。カイルありがとう。カイルに会えたからママが見つけてくれたから……このまま僕は誰にも見つけてもらえずにこの山奥で死んじゃうんじゃないかと思いはじめたその時……

「おい、そんなところで何をしてる。お前人間だよな」
低い声が聞こえて僕は顔を上げた。すると見たこともない背の高いおじいさんみたいな獣人が立っていた。この人は誰だろう?多分だけどヒョウ族かな?つり目が鋭くて睨んでるように見えた。

「ごめんなさい」
僕は震える声で謝ることしかできなかった。なんだか怖くて体が震えてきた。どうしよう……このまま僕はどこかに連れて行かれるかもしれない。だって獣人の中には人間が嫌いな人もいると聞いたことがあるから。どうしよう……逃げたくても足が痛くてこんな状態じゃ逃げられない。カイル助けて。カイル、カイル……僕は心の中でカイルの名前を呼んでいると……

「父さん、怯えさせてどうするんですか?国王に怒られますよ」
急にパパの名前が出て顔を上げると、さっきより若い男性が立っていた。

「ごめんね。僕たちは君を探しにきたんだよ。でもよかったこの山にいてくれて……確かにあのお屋敷から一番近い山がここだもんね。でもどうかしたの?なんで座ってるの?」
なんだか優しそうに声をかけられた。僕を探しにってパパたちにバレてしまったんだろう。怒られるな?怒られるよね。でもこの人たちに見つかってしまったら逃げられないんだろうな。だけど……僕は足が痛くて動けないし……どうしていいのかわからなくて縮こまっていたら。

「もしかして足痛いのかな?仕方がないな。じゃあ抱っこして連れて行こうか」
僕に手を伸ばそうとした時だった。

「ベリー、そいつに触るんじゃねぇ」
大声で怒鳴られて僕は我慢していた涙がこぼれ落ちた。僕になんで触ったらダメなの?僕はそんなに嫌われてるの?どうしたらいいのかわからなくて僕は2人を見上げた。

「どうしてダメなんですか?さっきから足をさすってるから痛めたんじゃないんですか?それなら……」
「そいつに触ったらきっと拒否反応を起こす可能性がある」
「拒否反応って……」
「さっき聞いただろう?そしたらそいつが苦しい思いをするんだ。おい歩けないのか?」
いきなり僕の前にしゃがんで聞いてきたからつい頷いてしまった。するとおじいさんはリュックの中から厚手のブランケットを取り出して、ここに座れと言われた。僕はお尻を少しだけ持ち上げてブランケットの上に座った。するとそのブランケットの四隅を2人で持ち上げた。僕はそのブランケットの上に小さく座ってると、おじいさんが怖かったら目と耳を押さえてろと言われて僕は目を瞑って耳を塞いだ。2人が何か喋っていたけど耳をギュッと塞いでいる僕には聞こえなかった。


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