72 / 101
第2章
第72回
しおりを挟む
お尻がだんだん痛くなって立ちあがろうとしたら
「いた~いっ」
さっき転んだ時に痛めた足が痛くて僕はそのままうずくまってしまった。しかもなんだか寒くなってきて僕は自分の身体を両手でさすった。誰かに言えばよかった。多分ダメだと言われる可能性が高いけど、言ってたらこんなことにはならなかったと思う。僕はなんでバカなんだろう……全然、成長していない。それなのにこれからカイルの伴侶として国民に発表なんて、みんなが祝福してくれるとは思えない。やっぱり僕は昔からダメな子なんだ。だからいじめられたんだよな。僕がただ単に弱くて学校に行けないのに屋敷のみんなは責めたりしない。それどころかみんな優しくしてくれる。そんなんじゃダメなのに……でもその優しさが嬉しかった。この5年ここに来てから僕はみんなにたくさんの愛をもらって幸せだった。カイルありがとう。カイルに会えたからママが見つけてくれたから……このまま僕は誰にも見つけてもらえずにこの山奥で死んじゃうんじゃないかと思いはじめたその時……
「おい、そんなところで何をしてる。お前人間だよな」
低い声が聞こえて僕は顔を上げた。すると見たこともない背の高いおじいさんみたいな獣人が立っていた。この人は誰だろう?多分だけどヒョウ族かな?つり目が鋭くて睨んでるように見えた。
「ごめんなさい」
僕は震える声で謝ることしかできなかった。なんだか怖くて体が震えてきた。どうしよう……このまま僕はどこかに連れて行かれるかもしれない。だって獣人の中には人間が嫌いな人もいると聞いたことがあるから。どうしよう……逃げたくても足が痛くてこんな状態じゃ逃げられない。カイル助けて。カイル、カイル……僕は心の中でカイルの名前を呼んでいると……
「父さん、怯えさせてどうするんですか?国王に怒られますよ」
急にパパの名前が出て顔を上げると、さっきより若い男性が立っていた。
「ごめんね。僕たちは君を探しにきたんだよ。でもよかったこの山にいてくれて……確かにあのお屋敷から一番近い山がここだもんね。でもどうかしたの?なんで座ってるの?」
なんだか優しそうに声をかけられた。僕を探しにってパパたちにバレてしまったんだろう。怒られるな?怒られるよね。でもこの人たちに見つかってしまったら逃げられないんだろうな。だけど……僕は足が痛くて動けないし……どうしていいのかわからなくて縮こまっていたら。
「もしかして足痛いのかな?仕方がないな。じゃあ抱っこして連れて行こうか」
僕に手を伸ばそうとした時だった。
「ベリー、そいつに触るんじゃねぇ」
大声で怒鳴られて僕は我慢していた涙がこぼれ落ちた。僕になんで触ったらダメなの?僕はそんなに嫌われてるの?どうしたらいいのかわからなくて僕は2人を見上げた。
「どうしてダメなんですか?さっきから足をさすってるから痛めたんじゃないんですか?それなら……」
「そいつに触ったらきっと拒否反応を起こす可能性がある」
「拒否反応って……」
「さっき聞いただろう?そしたらそいつが苦しい思いをするんだ。おい歩けないのか?」
いきなり僕の前にしゃがんで聞いてきたからつい頷いてしまった。するとおじいさんはリュックの中から厚手のブランケットを取り出して、ここに座れと言われた。僕はお尻を少しだけ持ち上げてブランケットの上に座った。するとそのブランケットの四隅を2人で持ち上げた。僕はそのブランケットの上に小さく座ってると、おじいさんが怖かったら目と耳を押さえてろと言われて僕は目を瞑って耳を塞いだ。2人が何か喋っていたけど耳をギュッと塞いでいる僕には聞こえなかった。
「いた~いっ」
さっき転んだ時に痛めた足が痛くて僕はそのままうずくまってしまった。しかもなんだか寒くなってきて僕は自分の身体を両手でさすった。誰かに言えばよかった。多分ダメだと言われる可能性が高いけど、言ってたらこんなことにはならなかったと思う。僕はなんでバカなんだろう……全然、成長していない。それなのにこれからカイルの伴侶として国民に発表なんて、みんなが祝福してくれるとは思えない。やっぱり僕は昔からダメな子なんだ。だからいじめられたんだよな。僕がただ単に弱くて学校に行けないのに屋敷のみんなは責めたりしない。それどころかみんな優しくしてくれる。そんなんじゃダメなのに……でもその優しさが嬉しかった。この5年ここに来てから僕はみんなにたくさんの愛をもらって幸せだった。カイルありがとう。カイルに会えたからママが見つけてくれたから……このまま僕は誰にも見つけてもらえずにこの山奥で死んじゃうんじゃないかと思いはじめたその時……
「おい、そんなところで何をしてる。お前人間だよな」
低い声が聞こえて僕は顔を上げた。すると見たこともない背の高いおじいさんみたいな獣人が立っていた。この人は誰だろう?多分だけどヒョウ族かな?つり目が鋭くて睨んでるように見えた。
「ごめんなさい」
僕は震える声で謝ることしかできなかった。なんだか怖くて体が震えてきた。どうしよう……このまま僕はどこかに連れて行かれるかもしれない。だって獣人の中には人間が嫌いな人もいると聞いたことがあるから。どうしよう……逃げたくても足が痛くてこんな状態じゃ逃げられない。カイル助けて。カイル、カイル……僕は心の中でカイルの名前を呼んでいると……
「父さん、怯えさせてどうするんですか?国王に怒られますよ」
急にパパの名前が出て顔を上げると、さっきより若い男性が立っていた。
「ごめんね。僕たちは君を探しにきたんだよ。でもよかったこの山にいてくれて……確かにあのお屋敷から一番近い山がここだもんね。でもどうかしたの?なんで座ってるの?」
なんだか優しそうに声をかけられた。僕を探しにってパパたちにバレてしまったんだろう。怒られるな?怒られるよね。でもこの人たちに見つかってしまったら逃げられないんだろうな。だけど……僕は足が痛くて動けないし……どうしていいのかわからなくて縮こまっていたら。
「もしかして足痛いのかな?仕方がないな。じゃあ抱っこして連れて行こうか」
僕に手を伸ばそうとした時だった。
「ベリー、そいつに触るんじゃねぇ」
大声で怒鳴られて僕は我慢していた涙がこぼれ落ちた。僕になんで触ったらダメなの?僕はそんなに嫌われてるの?どうしたらいいのかわからなくて僕は2人を見上げた。
「どうしてダメなんですか?さっきから足をさすってるから痛めたんじゃないんですか?それなら……」
「そいつに触ったらきっと拒否反応を起こす可能性がある」
「拒否反応って……」
「さっき聞いただろう?そしたらそいつが苦しい思いをするんだ。おい歩けないのか?」
いきなり僕の前にしゃがんで聞いてきたからつい頷いてしまった。するとおじいさんはリュックの中から厚手のブランケットを取り出して、ここに座れと言われた。僕はお尻を少しだけ持ち上げてブランケットの上に座った。するとそのブランケットの四隅を2人で持ち上げた。僕はそのブランケットの上に小さく座ってると、おじいさんが怖かったら目と耳を押さえてろと言われて僕は目を瞑って耳を塞いだ。2人が何か喋っていたけど耳をギュッと塞いでいる僕には聞こえなかった。
264
お気に入りに追加
962
あなたにおすすめの小説

迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!
虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する
あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。
領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。
***
王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。
・ハピエン
・CP左右固定(リバありません)
・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません)
です。
べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。
***
2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。
「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?
白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。
「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」
精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。
それでも生きるしかないリリアは決心する。
誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう!
それなのに―……
「麗しき私の乙女よ」
すっごい美形…。えっ精霊王!?
どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!?
森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。
みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。
生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。
何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~
兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。
そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。
そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。
あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。
自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。
エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。
お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!?
無自覚両片思いのほっこりBL。
前半~当て馬女の出現
後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話
予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。
サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。
アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。
完結保証!
このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。
※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる