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第2章

第70話

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いっぱいいっぱい頑張って登ってきた。ちゃんとした道じゃないから転んで靴もズボンも泥だらけだった。あのキノコはどこにあるんだろう?と見上げたら
「あっこれっ!」
あのキノコが見えた。ふわふわでお花の花びらみたいなキノコがあと数メートルで手に入ると思って登ろうとしたら、どこからか唸り声が聞こえてきた。野獣かもしれない。でもあのキノコを持って帰らないとカイルの誕生日プレゼントにしたい。僕は足音を立てないようにそっとそっと歩いたのに唸り声はどんどん近づいてきてるように聞こえる。辺りを見渡しても野獣の姿は見えなくて僕は怖くなってきた。どうしよう。野獣に噛み殺されたらどうしよう。そんな悪い考えが浮かんできたが、ふと思い出した僕には秘密兵器があることに。ポケットに手を入れて秘密兵器を取り出した。それは小瓶に入ってる山椒だ。手のひらに少し出して僕は体にこすりつけた。きっとこれで大丈夫だ。僕は岩がゴロゴロしている山道をゆっくり登りあのキノコに思いっきり手を伸ばした。
「うんー取れた~あっわぁ~~~」
僕はキノコをつかんだけどバランスを崩して倒れてしまった。

「いったーい」
倒れた時に足を捻ってしまい動けなくなってしまった。痛い足を庇うように立とうとしたが立てなかった。こんなんじゃいつ襲われても仕方がないよな。きっと今頃、僕がいなくなったと大騒ぎしてるかもしれない。カイルは僕のこと嫌いになるかもしれないと思いながらも今の状態じゃ助けを呼ぶこともできなくて膝を抱え僕は木の間から流れる雲を見ていた。

あんなに高かったお日様が沈んでいきそうだ。このまま夜になれば街灯のないこの山はすっぽりと闇にのまれるだろう。どうすればいい?どうしたらいい?自問自答を繰り返すが解決方法は見つからない。僕はもうお手上げで途方にくれてしまった。

◇◆◇◆◇

俺はノアが王子の誕生日を気にしていたことを国王に伝えると
「ノアは何がしたいんだ?」
ますます困惑した表情になってしまった。他の使用人たちもみんな口々に困ったねぇー一体どこにいるんだ?と困り果てていた。

ノアは昔から突拍子もないことをする子だった。だからきっと今回も俺たちの想像の上をいく考えで行動したのだろう。俺の鼻を誤魔化してまで行きたい場所………は……

王子のためにノアができること……それは……きっとプレゼントだ。王子の誕生日に渡したいもの。でもお金を持ってないノアは街に行ってプレゼントを買うことができない。じゃあお金がなくても手に入れることができるもの。それはきっと王子が好きなもので…………!!

「……国王っ、もしかしたらノアは王子の大好きなキノコを取りに行ったんじゃないかと思うんです。ノアはお金も持ってないから買えないので……もしかしたら違うかもしれないですけど……」
やっぱり自信がなくて声が小さくなってしまった。

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