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第2章
第64話
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俺と父上はノアをなだめたが、ノアの機嫌は直らなかった。
「昔は泣き虫だったけど今は泣き虫じゃないもん。昨日だって我慢したもん。きっとカイルが助けてくれるって強くなろうって頑張ったのに」
俺と父上は顔を見合わせた。そうかあんなに濡れて寒かったのに頑張って俺のことを待っていてくれたのかと思うと胸が締め付けられそうだった。それなのに俺は……
「悪かったノア」
その一言を言うだけで他に何を言っていいのかわからなくなった。ノアは頑張ってる。でも……だからといって俺の部下として騎士団に入れるわけにはいかない。またいつ野獣が現れるかわからない。獣人の俺たちでさえ手こずってしまう相手ななのに人間のノアが敵うわけがない。それでもノアの顔を見ると叶えてやりたくなるのをグッと堪えた。どうしたらノアにわかってもらえるだろうか?そう思っていた時だった。
「あら?ノア起きたのね?」
このカオスな状態をわかっていない母上がやってきてノアに色々と話しかけている様子を俺たちはただじっと見ていた。
「ノア、昨日は大変だったわね。ごめんね側にいなくて……ママがいたら魔法でやっつけてあげれたのに魔法省からの呼び出しでいなくてごめんね。こんなことならノアに守りの魔法でもかけていればよかったわね。ノア大丈夫だった?」
ノアは母上の手を思いっ切り握ったので母上は驚いた様子でノアを見ていると
「ママ、僕ね、もっともっと強くなりたいのカイルに守られてるばかりじゃなくて自分の身は自分で守りたいから騎士団に入りたいって言ったらパパもカイルも泣き虫な僕には無理だって言うんだよ。酷いでしょ?ママからもちゃんと言ってよ。僕は昔のように泣き虫で弱虫じゃないって。だからちゃんと学校にだって通えるもん」
母上は一瞬びっくりしたけど大笑いし始めた。
「ハッハッハッ、ノアそんなこと言ったの?騎士団に入りたいの?」
ノアは首を縦に振った後に呟いた。
「僕はなんで騎士団にはなれないの?」
悲しそうに俯くノアに母上は頭を優しく撫で始めた。
「ノアよく聞いて?ノアは昔に比べたら泣かなくなった。でもそれは大人に近づいてきたから我慢してるでしょ?本当は泣きたくても泣いたら恥ずかしいとか思ってるんじゃないの?頑張って強くなろうとしてるのは褒めてあげる。確かに騎士団員になれば強くなる人もいる。でも人間のノアじゃ無理なのよ。どんなに訓練を頑張ってもカイルのように強くはなれない。辛いかもしれないけど、それが現実なの。カイルのように強くなるのは無理だから、ママがノアがどんなことからも負けない強さを持てるように魔法をかけてあげる。ママの魔法は最強よ!この国では最強の魔法使いなんだから、だからノア今すぐに大人になろうとしないでいいの。あなたはあなたらしく今のままで十分。そのままのノアでもママにとっては大事な息子なんだからね」
母上の言葉は最強だ。俺と父上があんなになだめても頑なだったノアが頷いてくれた。俺も今のままのノアがいい。
「ところで、学校にもちゃんと通えるってどう言うこと?」
母上が先ほどとは違って眉を少し上げて聞いてきたので父上が理由を話すと母上はノアの好きなように学校にも通わせてあげなさい。ちゃんと守りの魔法を施すし、ノアを陥れた子たちは捕まったんだから心配することはないでしょ?それに……
「ノアは学校に行きたいもんね?でも、どうしてそんな目に遭ったのに学校に行きたいのか教えて?」
母上に促されるとノアは、今までちゃんと学校に通ったことがないから楽しいと……ムーンとも学校以外じゃなかなか会えないから……と寂しそうに言た。そうだ、そうなんだノアは人間界で学校に行けなかった時もあるから俺たちはノアにたくさんの友達を作って欲しかったんだ。ノアに守りの魔法を母上に施してもらうとともに俺はノアに最強の護衛をつけさせようと考えた。
「昔は泣き虫だったけど今は泣き虫じゃないもん。昨日だって我慢したもん。きっとカイルが助けてくれるって強くなろうって頑張ったのに」
俺と父上は顔を見合わせた。そうかあんなに濡れて寒かったのに頑張って俺のことを待っていてくれたのかと思うと胸が締め付けられそうだった。それなのに俺は……
「悪かったノア」
その一言を言うだけで他に何を言っていいのかわからなくなった。ノアは頑張ってる。でも……だからといって俺の部下として騎士団に入れるわけにはいかない。またいつ野獣が現れるかわからない。獣人の俺たちでさえ手こずってしまう相手ななのに人間のノアが敵うわけがない。それでもノアの顔を見ると叶えてやりたくなるのをグッと堪えた。どうしたらノアにわかってもらえるだろうか?そう思っていた時だった。
「あら?ノア起きたのね?」
このカオスな状態をわかっていない母上がやってきてノアに色々と話しかけている様子を俺たちはただじっと見ていた。
「ノア、昨日は大変だったわね。ごめんね側にいなくて……ママがいたら魔法でやっつけてあげれたのに魔法省からの呼び出しでいなくてごめんね。こんなことならノアに守りの魔法でもかけていればよかったわね。ノア大丈夫だった?」
ノアは母上の手を思いっ切り握ったので母上は驚いた様子でノアを見ていると
「ママ、僕ね、もっともっと強くなりたいのカイルに守られてるばかりじゃなくて自分の身は自分で守りたいから騎士団に入りたいって言ったらパパもカイルも泣き虫な僕には無理だって言うんだよ。酷いでしょ?ママからもちゃんと言ってよ。僕は昔のように泣き虫で弱虫じゃないって。だからちゃんと学校にだって通えるもん」
母上は一瞬びっくりしたけど大笑いし始めた。
「ハッハッハッ、ノアそんなこと言ったの?騎士団に入りたいの?」
ノアは首を縦に振った後に呟いた。
「僕はなんで騎士団にはなれないの?」
悲しそうに俯くノアに母上は頭を優しく撫で始めた。
「ノアよく聞いて?ノアは昔に比べたら泣かなくなった。でもそれは大人に近づいてきたから我慢してるでしょ?本当は泣きたくても泣いたら恥ずかしいとか思ってるんじゃないの?頑張って強くなろうとしてるのは褒めてあげる。確かに騎士団員になれば強くなる人もいる。でも人間のノアじゃ無理なのよ。どんなに訓練を頑張ってもカイルのように強くはなれない。辛いかもしれないけど、それが現実なの。カイルのように強くなるのは無理だから、ママがノアがどんなことからも負けない強さを持てるように魔法をかけてあげる。ママの魔法は最強よ!この国では最強の魔法使いなんだから、だからノア今すぐに大人になろうとしないでいいの。あなたはあなたらしく今のままで十分。そのままのノアでもママにとっては大事な息子なんだからね」
母上の言葉は最強だ。俺と父上があんなになだめても頑なだったノアが頷いてくれた。俺も今のままのノアがいい。
「ところで、学校にもちゃんと通えるってどう言うこと?」
母上が先ほどとは違って眉を少し上げて聞いてきたので父上が理由を話すと母上はノアの好きなように学校にも通わせてあげなさい。ちゃんと守りの魔法を施すし、ノアを陥れた子たちは捕まったんだから心配することはないでしょ?それに……
「ノアは学校に行きたいもんね?でも、どうしてそんな目に遭ったのに学校に行きたいのか教えて?」
母上に促されるとノアは、今までちゃんと学校に通ったことがないから楽しいと……ムーンとも学校以外じゃなかなか会えないから……と寂しそうに言た。そうだ、そうなんだノアは人間界で学校に行けなかった時もあるから俺たちはノアにたくさんの友達を作って欲しかったんだ。ノアに守りの魔法を母上に施してもらうとともに俺はノアに最強の護衛をつけさせようと考えた。
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