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第2章
第61話
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こんなに気迫のこもった圧をかけられたのは久しぶりで俺は動けずにいると俺に気づいた父上が圧を解いてくれた。
「悪かったカイルお前にするつもりは」
「わかっております」
しばらく父上は考えて大きく息を吐きながら言葉を紡ぎ出した。
「やっぱり無理だったんだな」
俺は意味が分からず首を傾げてしまった。
「ノアには俺たちみたいに王族としての品格も教養もつけるつもりなんてなかったから学校に行かせなくてもいいと最初は思ってたんだ。でもノアは元の世界でたくさん辛い思いをして学校にもろくに行けずに友達がいなかったと知ってノアがこの獣人の世界で生きて行くためにも友達がたくさんできたらいいと思って通わせてただけだ。一応念のためと護衛としてリアムだけを付けていたんだ……本当はちゃんとしようとすると学校に行って友達と仲良く遊ぶということができなくなると思ってたんだ。でもノアの同級生がこんなことをするなんて……本当に許せない」
父上の圧を感じながらも俺はうなづいた。俺とのことがバレてしまった以上、これ以上ノアを危険に晒すわけにはいかない。
「こんなことをするなんて思ってなかった。きっと裏では大人が関わっていると思うんだ。あの学校の教師でお前のことが好きか、ノアのことを好きかはわからないが……きっと何かがあると思うが、今はライナスが調査してるんだろ?あいつは昔から優秀だからきっと裏の裏まで調査するだろうな。でもこれからどうするかな?ノアはどうだ?」
父上はノアのおでこに手を当ててかわいそうに辛い思いをまたさせてしまったと呟いた。
俺の運命となったばかりにノアには辛い思いをさせてしまってる。でも俺はノアを手放すことなんかできない。これからノアが幸せになれるようにと考え込んでいた時だった。
「戻りました」
その声に俺と父上は顔を上げた。ライナスと共に騎士団員たちが入ってきた。
「どうだった」
「はい。ご報告いたします」
ライナスも騎士団員達も父上に頭を下げた。
「事件の主犯格はノアの同級生のリアンヌでした。彼女はいつかは王子と結婚したがっていたようですが王子とノアの関係をどこかで聞いて今回の事件を起こしたようです。本人はノアに少し意地悪をしようと考えたところリアンヌの仲のいい友達も一緒になって今回のことに及んだらしいです。まずリアンヌに好意を持っていた教師の1人を誘惑してリアムを連れ去ってもらってる間にノアに下剤入りのクッキーを食べさせ、いつも使っているトイレを使えないようにして奥のトイレに誘導して魔法でトイレのドアを開かないようにしていたようです。ムーンもノアの友達だと言うことで監禁したようです。今は共犯した全員を捕まえております。リアンヌは昔から王子に可愛がられてるノアが羨ましかったと。でもノアは男だから結婚できないと思っていたのに王子の結婚相手だと知って頭に血が上ったらしいです。ノアに被害が及べば王子や国王が黙ってないとわかっていても自分の気持ちを抑えることができなかったと言っておりました」
自分勝手な気持ちでノアにこんな辛い目を合わせるなんて酷すぎる。俺は発狂したいほどの怒りを抑えるために自分の手を握りしめていた。
「失礼します。ホルト先生がお見えになりました」
使用人が先生と共にやってきた。
「なんだか物騒な事件に巻き込まれたようだな。ノアの様子は?」
俺はノアを発見した様子を伝えた。
「……で?帰ってからの処置は?」
「はい。お風呂に入れて体をとにかく温めました。熱もそれほど上がってないように感じますが」
先生はノアを診察してとりあえずは大丈夫そうだから、このまま様子を見ようと……
「ありがとうございました」
先生は大きなため息を吐いた。先生にも迷惑をかけてしまった。俺のせいで……
「王子、ノアにもこれから護身術や警護体制を整えないとまたこういうことがないとは限らない。もし、家庭教師でいいのなら俺の弟を紹介するからその時には言ってくれ」
父上の願い通りに友達をたくさん作ることは叶わなかったが、家庭教師でもいいのかもしれない。この屋敷なら安全だし、先生の弟さんならもうすでに伴侶もいるし心配はない。この状態でノアも学校に行きたいとは思わないかもしれないと……
「父上、リアンヌたちの処分はいかがいたしますか?」
「今すぐ打ち首にしたいところだがまだ未成年だ。ノアが知ったら俺は一生嫌われるかもしれない。そこでだ関わったもの全員をこの国からは追い出す。そして2度と足を踏み入れないようにする。本当はこの国で処分をするのがいいのかもしれないがそれはできないしな。正直まだ悩んでる。今後についてはいろんな体制を強化しないとノアを外に連れ出すこともできないし学校にはもしかしたら通うのは無理かもしれない。他の生徒に毎日、身体検査をさせるのも苦痛だろうし、ノアを守る人数が増えればノアのことだ、こんなことしなくていいと言い出す可能性もあるからな。とりあえずノアが起きたら今後の対策については考えることにしよう。後で夕飯を持って来させるからノアのこと頼んだよ」
父上やみんなが出て行った後、俺はノアを抱きしめて横になった。どうしたらノアを守れるだろう。ノアに強力な魔法を母上にかけてもらった方がいいのでは?と考えていた。
「悪かったカイルお前にするつもりは」
「わかっております」
しばらく父上は考えて大きく息を吐きながら言葉を紡ぎ出した。
「やっぱり無理だったんだな」
俺は意味が分からず首を傾げてしまった。
「ノアには俺たちみたいに王族としての品格も教養もつけるつもりなんてなかったから学校に行かせなくてもいいと最初は思ってたんだ。でもノアは元の世界でたくさん辛い思いをして学校にもろくに行けずに友達がいなかったと知ってノアがこの獣人の世界で生きて行くためにも友達がたくさんできたらいいと思って通わせてただけだ。一応念のためと護衛としてリアムだけを付けていたんだ……本当はちゃんとしようとすると学校に行って友達と仲良く遊ぶということができなくなると思ってたんだ。でもノアの同級生がこんなことをするなんて……本当に許せない」
父上の圧を感じながらも俺はうなづいた。俺とのことがバレてしまった以上、これ以上ノアを危険に晒すわけにはいかない。
「こんなことをするなんて思ってなかった。きっと裏では大人が関わっていると思うんだ。あの学校の教師でお前のことが好きか、ノアのことを好きかはわからないが……きっと何かがあると思うが、今はライナスが調査してるんだろ?あいつは昔から優秀だからきっと裏の裏まで調査するだろうな。でもこれからどうするかな?ノアはどうだ?」
父上はノアのおでこに手を当ててかわいそうに辛い思いをまたさせてしまったと呟いた。
俺の運命となったばかりにノアには辛い思いをさせてしまってる。でも俺はノアを手放すことなんかできない。これからノアが幸せになれるようにと考え込んでいた時だった。
「戻りました」
その声に俺と父上は顔を上げた。ライナスと共に騎士団員たちが入ってきた。
「どうだった」
「はい。ご報告いたします」
ライナスも騎士団員達も父上に頭を下げた。
「事件の主犯格はノアの同級生のリアンヌでした。彼女はいつかは王子と結婚したがっていたようですが王子とノアの関係をどこかで聞いて今回の事件を起こしたようです。本人はノアに少し意地悪をしようと考えたところリアンヌの仲のいい友達も一緒になって今回のことに及んだらしいです。まずリアンヌに好意を持っていた教師の1人を誘惑してリアムを連れ去ってもらってる間にノアに下剤入りのクッキーを食べさせ、いつも使っているトイレを使えないようにして奥のトイレに誘導して魔法でトイレのドアを開かないようにしていたようです。ムーンもノアの友達だと言うことで監禁したようです。今は共犯した全員を捕まえております。リアンヌは昔から王子に可愛がられてるノアが羨ましかったと。でもノアは男だから結婚できないと思っていたのに王子の結婚相手だと知って頭に血が上ったらしいです。ノアに被害が及べば王子や国王が黙ってないとわかっていても自分の気持ちを抑えることができなかったと言っておりました」
自分勝手な気持ちでノアにこんな辛い目を合わせるなんて酷すぎる。俺は発狂したいほどの怒りを抑えるために自分の手を握りしめていた。
「失礼します。ホルト先生がお見えになりました」
使用人が先生と共にやってきた。
「なんだか物騒な事件に巻き込まれたようだな。ノアの様子は?」
俺はノアを発見した様子を伝えた。
「……で?帰ってからの処置は?」
「はい。お風呂に入れて体をとにかく温めました。熱もそれほど上がってないように感じますが」
先生はノアを診察してとりあえずは大丈夫そうだから、このまま様子を見ようと……
「ありがとうございました」
先生は大きなため息を吐いた。先生にも迷惑をかけてしまった。俺のせいで……
「王子、ノアにもこれから護身術や警護体制を整えないとまたこういうことがないとは限らない。もし、家庭教師でいいのなら俺の弟を紹介するからその時には言ってくれ」
父上の願い通りに友達をたくさん作ることは叶わなかったが、家庭教師でもいいのかもしれない。この屋敷なら安全だし、先生の弟さんならもうすでに伴侶もいるし心配はない。この状態でノアも学校に行きたいとは思わないかもしれないと……
「父上、リアンヌたちの処分はいかがいたしますか?」
「今すぐ打ち首にしたいところだがまだ未成年だ。ノアが知ったら俺は一生嫌われるかもしれない。そこでだ関わったもの全員をこの国からは追い出す。そして2度と足を踏み入れないようにする。本当はこの国で処分をするのがいいのかもしれないがそれはできないしな。正直まだ悩んでる。今後についてはいろんな体制を強化しないとノアを外に連れ出すこともできないし学校にはもしかしたら通うのは無理かもしれない。他の生徒に毎日、身体検査をさせるのも苦痛だろうし、ノアを守る人数が増えればノアのことだ、こんなことしなくていいと言い出す可能性もあるからな。とりあえずノアが起きたら今後の対策については考えることにしよう。後で夕飯を持って来させるからノアのこと頼んだよ」
父上やみんなが出て行った後、俺はノアを抱きしめて横になった。どうしたらノアを守れるだろう。ノアに強力な魔法を母上にかけてもらった方がいいのでは?と考えていた。
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