58 / 101
第2章
第58話
しおりを挟む
その日はカイルが僕のそばにいてくれたから周りの子に何か言われることなく帰ってきたけど、カイルは仕事があるとライナスと出かけていった。
「ねぇリアム、今日学校でカイルが言ってたことだけどどう思う?みんなはカイルの相手が僕だと知ったら意地悪されたり色々言う人とかいるかな?」
自分の気持ちに整理がつかずに気づいたらそう聞いていた。
「ノア、大丈夫です。ノアが1人になることはないですから俺がちゃんと守りますよ」
そう言ってくれたけど僕はなんだか不安になってきた。でもそれは僕が小さいころに経験してきたことがあるからだろう。
お父さんとお母さんと幸せだったのに気がついたら不幸のど真ん中にいた。あの日だってみんなでキャンプに行くはずだったのに……幸せだったのに不幸になった。幸せなんて続かないとどうしても思ってしまう。リアムはきっと守ってくれるだろうけど本当に大丈夫なんだろうか?
きっと幼い頃を思い出してしまったせいか僕は久しぶりにうなされて起こされるとカイルが隣にいて心配そうに抱きしめてくれていた。
「珍しいな大丈夫か?俺が仕事に行ってる間に何かあったか?」
カイルに聞かれてお父さんとお母さんを昼間思い出したからかもね。と伝えるとそっか……と何も言わずに僕を守るように抱きしめてくれた。その温もりで僕は幸せな気持ちがいっぱいになってまた眠りにつくことができた。
◇◇◇◇◇
「ノアごめん。急遽仕事で出かけなくてはならなくなった。行きは一緒に行けないが帰りは必ず迎えに行くから」
次の朝、そう言われて僕は少し寂しい気持ちを隠してリアムがいるから大丈夫と言うとパパが代わりに送って行くって言ってくれたから断った。だってパパが一緒だと馬車に乗るし、護衛の人がいっぱいいるから目立ってしまうのが嫌なのだ。パパは残念がっていたけれど仕方がない。
「ノア気をつけていきなさい。リアム頼んだよ」
カイルに抱きしめられていつもと同じ道を歩き始めた。昨日はカイルと楽しかったなと思っていたけど仕方がない。学校で何か言われるかもしれないけどリアムがいてくれるから安心だと思っていた。
「ノアおはよう。王子は?」
学校に着くなりムーンに問いかけられた。やっぱり聞かれたか……そう思いながらも正直に仕事だから来れないって。でも帰りは迎えに来てくれると伝えると
「王子も過保護だな~」
とケラケラと笑いながら自分の席についた。女子たちはそんなことを話してる僕たちのことを見ながらコソコソと話をしていた。何を話してるのか僕もリアムも気にしてなかった。ちゃんとあのとき聞いてれば……と後悔しても仕方がなかった。
午前中は何もなく無事に終わった。お昼休みにムーンが言い出した。
女子たちの態度がおかしいと……
「なんで?何かおかしい?」
そう言うと、昨日、王子が来て今日は来ないならなんで?って言ってくるだろ?それが何も言ってこないんだぞ。おかしくないか?
僕はきっとムーンとの会話を聞いてたから納得してるんだと言うと、それでもいつもなら理由がわかってても聞いてくるのにと不思議がっていた。そして今日はトイレに行くのも1人は禁止と言われてしまった。リアムも全力で守ると拳を突き上げるから僕はみんな僕に甘いし過保護だな。と呑気に笑ってしまった。
「ねぇリアム、今日学校でカイルが言ってたことだけどどう思う?みんなはカイルの相手が僕だと知ったら意地悪されたり色々言う人とかいるかな?」
自分の気持ちに整理がつかずに気づいたらそう聞いていた。
「ノア、大丈夫です。ノアが1人になることはないですから俺がちゃんと守りますよ」
そう言ってくれたけど僕はなんだか不安になってきた。でもそれは僕が小さいころに経験してきたことがあるからだろう。
お父さんとお母さんと幸せだったのに気がついたら不幸のど真ん中にいた。あの日だってみんなでキャンプに行くはずだったのに……幸せだったのに不幸になった。幸せなんて続かないとどうしても思ってしまう。リアムはきっと守ってくれるだろうけど本当に大丈夫なんだろうか?
きっと幼い頃を思い出してしまったせいか僕は久しぶりにうなされて起こされるとカイルが隣にいて心配そうに抱きしめてくれていた。
「珍しいな大丈夫か?俺が仕事に行ってる間に何かあったか?」
カイルに聞かれてお父さんとお母さんを昼間思い出したからかもね。と伝えるとそっか……と何も言わずに僕を守るように抱きしめてくれた。その温もりで僕は幸せな気持ちがいっぱいになってまた眠りにつくことができた。
◇◇◇◇◇
「ノアごめん。急遽仕事で出かけなくてはならなくなった。行きは一緒に行けないが帰りは必ず迎えに行くから」
次の朝、そう言われて僕は少し寂しい気持ちを隠してリアムがいるから大丈夫と言うとパパが代わりに送って行くって言ってくれたから断った。だってパパが一緒だと馬車に乗るし、護衛の人がいっぱいいるから目立ってしまうのが嫌なのだ。パパは残念がっていたけれど仕方がない。
「ノア気をつけていきなさい。リアム頼んだよ」
カイルに抱きしめられていつもと同じ道を歩き始めた。昨日はカイルと楽しかったなと思っていたけど仕方がない。学校で何か言われるかもしれないけどリアムがいてくれるから安心だと思っていた。
「ノアおはよう。王子は?」
学校に着くなりムーンに問いかけられた。やっぱり聞かれたか……そう思いながらも正直に仕事だから来れないって。でも帰りは迎えに来てくれると伝えると
「王子も過保護だな~」
とケラケラと笑いながら自分の席についた。女子たちはそんなことを話してる僕たちのことを見ながらコソコソと話をしていた。何を話してるのか僕もリアムも気にしてなかった。ちゃんとあのとき聞いてれば……と後悔しても仕方がなかった。
午前中は何もなく無事に終わった。お昼休みにムーンが言い出した。
女子たちの態度がおかしいと……
「なんで?何かおかしい?」
そう言うと、昨日、王子が来て今日は来ないならなんで?って言ってくるだろ?それが何も言ってこないんだぞ。おかしくないか?
僕はきっとムーンとの会話を聞いてたから納得してるんだと言うと、それでもいつもなら理由がわかってても聞いてくるのにと不思議がっていた。そして今日はトイレに行くのも1人は禁止と言われてしまった。リアムも全力で守ると拳を突き上げるから僕はみんな僕に甘いし過保護だな。と呑気に笑ってしまった。
285
お気に入りに追加
940
あなたにおすすめの小説
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
狼騎士は異世界の男巫女(のおまけ)を追跡中!
Kokonuca.
BL
異世界!召喚!ケモ耳!な王道が書きたかったので
ある日、はるひは自分の護衛騎士と関係をもってしまう、けれどその護衛騎士ははるひの兄かすがの秘密の恋人で……
兄と護衛騎士を守りたいはるひは、二人の前から姿を消すことを選択した
完結しましたが、こぼれ話を更新いたします
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
地味顔陰キャな俺。異世界で公爵サマに拾われ、でろでろに甘やかされる
冷凍湖
BL
人生だめだめな陰キャくんがありがちな展開で異世界にトリップしてしまい、公爵サマに拾われてめちゃくちゃ甘やかされるウルトラハッピーエンド
アルファポリスさんに登録させてもらって、異世界がめっちゃ流行ってることを知り、びっくりしつつも書きたくなったので、勢いのまま書いてみることにしました。
他の話と違って書き溜めてないので更新頻度が自分でも読めませんが、とにかくハッピーエンドになります。します!
6/3
ふわっふわな話の流れしか考えずに書き始めたので、サイレント修正する場合があります。
公爵サマ要素全然出てこなくて自分でも、んん?って感じです(笑)。でもちゃんと公爵ですので、公爵っぽさが出てくるまでは、「あー、公爵なんだなあー」と広い心で見ていただけると嬉しいです、すみません……!
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
優しい庭師の見る夢は
エウラ
BL
植物好きの青年が不治の病を得て若くして亡くなり、気付けば異世界に転生していた。
かつて管理者が住んでいた森の奥の小さなロッジで15歳くらいの体で目覚めた樹希(いつき)は、前世の知識と森の精霊達の協力で森の木々や花の世話をしながら一人暮らしを満喫していくのだが・・・。
※主人公総受けではありません。
精霊達は単なる家族・友人・保護者的な位置づけです。お互いがそういう認識です。
基本的にほのぼのした話になると思います。
息抜きです。不定期更新。
※タグには入れてませんが、女性もいます。
魔法や魔法薬で同性同士でも子供が出来るというふんわり設定。
※10万字いっても終わらないので、一応、長編に切り替えます。
お付き合い下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる