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第2章

第58話

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その日はカイルが僕のそばにいてくれたから周りの子に何か言われることなく帰ってきたけど、カイルは仕事があるとライナスと出かけていった。

「ねぇリアム、今日学校でカイルが言ってたことだけどどう思う?みんなはカイルの相手が僕だと知ったら意地悪されたり色々言う人とかいるかな?」
自分の気持ちに整理がつかずに気づいたらそう聞いていた。

「ノア、大丈夫です。ノアが1人になることはないですから俺がちゃんと守りますよ」
そう言ってくれたけど僕はなんだか不安になってきた。でもそれは僕が小さいころに経験してきたことがあるからだろう。
お父さんとお母さんと幸せだったのに気がついたら不幸のど真ん中にいた。あの日だってみんなでキャンプに行くはずだったのに……幸せだったのに不幸になった。幸せなんて続かないとどうしても思ってしまう。リアムはきっと守ってくれるだろうけど本当に大丈夫なんだろうか?

きっと幼い頃を思い出してしまったせいか僕は久しぶりにうなされて起こされるとカイルが隣にいて心配そうに抱きしめてくれていた。

「珍しいな大丈夫か?俺が仕事に行ってる間に何かあったか?」
カイルに聞かれてお父さんとお母さんを昼間思い出したからかもね。と伝えるとそっか……と何も言わずに僕を守るように抱きしめてくれた。その温もりで僕は幸せな気持ちがいっぱいになってまた眠りにつくことができた。

◇◇◇◇◇

「ノアごめん。急遽仕事で出かけなくてはならなくなった。行きは一緒に行けないが帰りは必ず迎えに行くから」
次の朝、そう言われて僕は少し寂しい気持ちを隠してリアムがいるから大丈夫と言うとパパが代わりに送って行くって言ってくれたから断った。だってパパが一緒だと馬車に乗るし、護衛の人がいっぱいいるから目立ってしまうのが嫌なのだ。パパは残念がっていたけれど仕方がない。

「ノア気をつけていきなさい。リアム頼んだよ」
カイルに抱きしめられていつもと同じ道を歩き始めた。昨日はカイルと楽しかったなと思っていたけど仕方がない。学校で何か言われるかもしれないけどリアムがいてくれるから安心だと思っていた。

「ノアおはよう。王子は?」
学校に着くなりムーンに問いかけられた。やっぱり聞かれたか……そう思いながらも正直に仕事だから来れないって。でも帰りは迎えに来てくれると伝えると

「王子も過保護だな~」
とケラケラと笑いながら自分の席についた。女子たちはそんなことを話してる僕たちのことを見ながらコソコソと話をしていた。何を話してるのか僕もリアムも気にしてなかった。ちゃんとあのとき聞いてれば……と後悔しても仕方がなかった。
午前中は何もなく無事に終わった。お昼休みにムーンが言い出した。
女子たちの態度がおかしいと……

「なんで?何かおかしい?」
そう言うと、昨日、王子が来て今日は来ないならなんで?って言ってくるだろ?それが何も言ってこないんだぞ。おかしくないか?
僕はきっとムーンとの会話を聞いてたから納得してるんだと言うと、それでもいつもなら理由がわかってても聞いてくるのにと不思議がっていた。そして今日はトイレに行くのも1人は禁止と言われてしまった。リアムも全力で守ると拳を突き上げるから僕はみんな僕に甘いし過保護だな。と呑気に笑ってしまった。

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