転移したら獣人たちに溺愛されました。

第2章

第52話

「ノア落ち着いたか？」
あれから俺の胸で泣きじゃくっていたノアはやっと落ち着いてきた。

「ノアにはまだ早いと思ってなかなか言えなくてごめんな。でもノアももう中等部なんだから誤解がひどくなる前に伝えたほうがいいってホルト先生に言われたよ。先生も今日は屋敷に泊まってくれるって言ってたぞ」
ノアは何か思い出すように

「あっカイルは知ってる？ホルト先生には双子の弟さんがいて高等部の先生って言ってた」

「あぁ俺も聞いたぞ。先生は弟さんと間違えられたって。だからなかなかこの世界に馴染めなかったって言ってたな」
するとノアの顔が曇り始めた。どうした？と聞いても答えずにノアは何かを考えているようだった。俺はノアを膝の上に抱き上げた。

「ノア、俺たちは伴侶だ。でもまだノアは子どもだからそうだな～あと5年くらいか？ノアが18歳になったら俺たちは結婚できる。これからもいろんなことがあると思うが、俺にはなんでも教えて欲しい。嫌なことも嬉しいことも、困ったことも悲しいことも……俺はどんなノアも知りたいから」
するとノアは教えてくれた。

「僕は本当にカイルの運命なの？ホルト先生の弟さんみたいに間違えられたってことはない？」
不安そうに聞くノアを抱きしめてそれは絶対にないから安心して。それにな
「ノアを連れてきたのは母上だ。母上はこの獣人の世界で1番と言われる特殊能力が使えるんだ。ノアの心の中も見えちゃうくらいだぞ。本当に大変な時しかそれは発揮しないが、息子の伴侶を間違えるなんてそんなことあるわけないだろ。でも万が一、違かったとしても俺はノア以外は選ばないから心配なんてしなくていい」
そう伝えたがノアの顔は晴れることなく

「カイルは人気者なんだよ僕がいってる学校でも。それに僕は男だから……やっぱり女の人の方が……」
そういうノアの唇に自身の唇を重ねた。ノアはびっくりしたようで目を見開いて固まってしまったが

「俺はこれからもノア以外とキスはしないよ」
顔も耳も真っ赤になったノアが可愛くて触れるだけのキスを落とした。まだ固まっているノアを両手と尻尾で包んでゆりかごのように揺らしてあげた。小さい頃のノアはそれが楽しかったようでもっと、もっともっとねだられた記憶が鮮明に思い出せる。

「ノアが来たばかりの頃だな。こうすると喜んでくれたがノアは覚えてるか？」
そう聞くと、うんと頷いて覚えてるよ。とっても楽しかったからと答えてくれた。

「俺はノアがいつまでも子どもだと思ってた。でもこんなに大きくなったし、色んな感情も出してくれるようになった……でもまだ俺の腕の中からいなくなるのだけは辛いからやめてくれ。俺の心臓が壊れちゃうからな」
そう言うとごめんなさいと返ってきた。

「カイルが助けてくれたんだよね。僕がムーンと勝手にクレープ屋さんに行ったとき」
そう言われて思い出した。そういえば牛族に絡まれているノアを見つけた時は怒りで心が震えた。

「俺のせいだよ。ノアが悪いわけじゃない。ノアに真実を言わずに接してきてたんだそれに俺のことを聞いてたなら尚更」

「僕、怖かったカイルに結婚するの？って聞いて結婚するって言われたらどうしようって…だから当てつけみたいにカイルに嫌われようとしてきた。でもあの男の人に触られたとき凄く気持ちが悪くて…カイルに助けてほしくって…」
俺はノアを抱きしめて教えてあげた。

「ノアは俺以外の人に触られると嫌悪感を感じるんだ。それは運命の伴侶がいるからだって母上が言ってた。だからこれからもノアを触れるのは俺だけだな」
そう言うとそうなんだぁ～と納得していた。

運命の伴侶と聞いてびっくりしただろうが拒否られなくて安心していた。