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第2章

第46話

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「ノア、ノアしっかりしなさい」
「ノアしっかりしろ」

「先生……ノアは」 
「マーヤ様、ノアはいったい王子と何があったんだ?」
「それが全然わからなくて、ただカイルもノアに何も言わずに山にこもるって朝、出てってしまったの」
ノアは途中から息苦しそうに話したあと胸を押さえたまま目を固く閉じてしまった。診察すると呼吸はしているものの意識を失って呼びかけにも応じることなくまるで自分の殻に閉じこもってしまったような気がする。これはまずいことになるかもしれない。弟のように…ノアはまだ小さいから一刻を争うかもしれないと思った俺はカイルを今すぐに家に連れ戻すことはできないか?マーヤ様に頼むとわかりました。と言って出かけていった。

   ◇◇◇◇◇

私がこの王国に間違えられて連れて来られてすぐのことだった。私と間違えられた子は背格好が似ていた…というより顔もそっくりだ。それもそのはず私の双子の弟なのだから…見分け方は私には右目の下にほくろがあるが弟は左目の下にほくろがあることだった。まさか弟と間違えられたとは当時知らなかった私はかなり荒れた。どうして俺がこんな世界に連れて来られないと行けないのかと…でも結果として弟が相手の伴侶(虎族)だったとわかったが元の世界には戻れないと知ってかなり悲しんだし、辛かった。弟の伴侶にもかなり辛く当たったし、間違えた魔女にも罵声を浴びせてしまった。それでも俺はここで暮らさなくてはいけなくて俺はイヤイヤながらも他にも人間がいると教えてくれた。やっぱり俺は医者だからと治療をするようになった。俺と弟には親がいなかった。というより小さい頃に捨てられて施設で育ったので親の愛情を知らなかった。だからか…患者さんにも優しくできずになんだか孤独だった気がする。そんや俺に対して弟の伴侶の両親や友人達は俺にたくさんの愛情を与えてくれたおかげで今も医者としてここで暮らせているし、こんな俺にも伴侶ができた。そんなある日、たわいもないことから大喧嘩をした弟は家を出てきた。伴侶が迎えにきても帰らなくて仕方なく落ち着くまで離れて暮らしていた。ただの夫夫喧嘩だと思っていたが弟はだんだん衰弱して起き上がれなくなって伴侶が迎えにきた時にはしゃべることもままならない様子だった。その後は伴侶の側でいるうちにだんだんと元気になっていった。その後に聞いたのだ運命の伴侶は離ればなれで暮らしていると衰弱してしまうと、ひどい時には命までも奪ってしまうほどの絆が2人の間にはあるんだと。ノアがなにを俺たちに聞きたいのかはわからなかったがノアは何か勘違いしてるんじゃないのか?邪魔だから出て行くってノアのことを邪魔だと思っている人なんかいないのに……

「先生……ホルト先生?」
マーヤ様に声をかけられてハッとした。

「すみません。考え事を……」

「ノアは目が覚めますか?今クラリスにカイルを迎えをお願いしました」
疲れた顔をしているマーヤ様にカイルがきたらノアの話をしてみましょう。それと俺の弟の話をした。伴侶はどんな理由があっても離ればなれになってはならないと……

   ◇◇◇◇◇

「王子、迎えに参りました」
訓練が終わり休憩をしようとしたところにクラリスがやってきた。

「どうした?迎えって…」
こんな山奥まで俺を迎えにくるとは何事だろうと思ったら

「ノアが倒れて意識がありません。今すぐお戻りください」
は?ノアが倒れて意識がない?俺は訳がわからないまま屋敷に連れ戻された。ノアの部屋にはホルト先生も来ていてベットには青白い顔をしたノアが横になっていた。

「先生……これは?」
昨日は全く具合が悪そうじゃなかったのに……

「王子に質問したいのですがいいですか?」
ホルト先生に聞かれて頷いた。

「王子が他の人に心を惹かれたとかはないですか?」
そんな質問を言われて頭の中が真っ白になった。どう言うことだ?俺がノア以外に心惹かれることはないのに……それなのに先生はなおも続けて質問してきた。

「ノアに隠れて何かやましい事をしたことは?」
は?先生は何を言い始めたのか訳がわからなくなった俺は思わず
「先生、俺がノア以外を好きになることなんてないんだよ。ノアと出会ってからこの5年、そしてこれからもノア以外は好きにならない」
そう怒鳴った時だった。
ノアが青白い顔のままベットから起き上がった。

「カイルなんでいるの?早く行けばいいじゃん」
「ノア?」
「もっと早く知りたかったよ。そしたら僕、早く出てったのに…」
ノアが何を言っているのか俺には何もわからなかった。

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