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第2章
第44話
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「ノア朝よ。起きなさい」
お母さんの声で目が覚めたがなんだか体が熱くてだるかった。
「お母さんおはよう」
なんとか返事をして起きあがろうとしたけどお母さんは僕の顔を見るなりギョッとした顔に変わっておでこを触ってくれた。ひんやりとして気持ちがいい。そのまま横になって目を閉じそうになってしまった。
「ノア、とりあえずまだ寝てなさい。今日は学校はお休みね」
そんな声が聞こえてきた。
「なんで?」
「何でってあなた熱があると思うのよ。それとたくさん泣いたの何か辛かった?目が腫れてるからとりあえず冷やしましょう。リアム~」
学校を休む?熱?お母さんが言ったことを理解しようとしたのだが頭が回らない。リアムを呼んだお母さんは何かを頼んでいたようだった。
「ねぇお母さんカイルは?」
朝はいつもカイルが起こしに来るのに今日はお母さん?と考えてから、あぁそうか僕が昨日嫌いって言ったからだとそう思ってたら
「カイル?あなた何も聞いてないの?昨日、話してたんじゃないの?」
「何も……」
するとお母さんは少し考えてから
「騎士たちと朝早くから訓練に出発したわ。今回はそうね半年は帰って来れないって言ってたわよ」
半年?そんなに長く…今まで行っても1週間もなかったはずなのに…それにちゃんと話してから出かけたはずなのに…
「本当にそれって訓練?」
本当はカイルの奥さんになる人に会いに行ってるんじゃないの?それとももう2人で住んでる家があるのかもしれない。あぁ僕は本当にカイルに嫌われてるんだ。何が嫌いじゃないだよ。何が信じてくれだよ嘘つきじゃないか。そんなことを考えてるうちに頭がボーッとしてきた。お母さんは訓練よ。訓練以外でどこか行くなんてないわよ。それよりも寝てなさいね学校に連絡してくるからと出てってしまった。しばらくするとリアムがおでこに貼る冷たいやつと飲み物を持ってきてくれた。
「ノアずいぶんと熱が高そうですね。これおでこに貼りましょう。それとノアの好きなりんごジュースも持ってきましたよ。王子が言ってましたノアは熱のときにはりんごジュースがいいんだと」
でもそれに応える心の余裕は僕にはなかった。リアムが熱が高いから辛そうですね。飲めたら飲んでくださいね。そう言って出ていってしまった。
カイルは騎士たちと訓練なんてみんなを騙してまで好きな人のところに行きたかったのか…そうか、そうだよな。この獣人の世界には男性同士でも結婚してる人もいると聞いたことはあったけどお父さんもお母さんと結婚してるし、アリーサだってバルトと長く付き合ってるし、僕の周りでは男同士なんていないから……やっぱり無理だよな。
目を瞑ってカイルからもらったこの狼のぬいぐるみを抱きしめていると昔を思い出して気持ちが少し落ち着いてくる。あの頃は本当に幸せだった。このアユーダ王国に連れてきてもらえて幸せな日を過ごしてきた。でもそんな日ももうすぐ終わるのかもしれない。カイルにお嫁さんができたら僕は邪魔になっちゃうのだろうか?僕はいつまでこの屋敷にいられるんだろう。こんな僕でも働ける場所はあるのだろうか…
「ノア……って何も飲んでなかったの?」
そういえばずっと考えてて何も口にしてなかった。お母さんからコップを受け取ってりんごジュースを飲んだ。かなり緩くなっていたけど甘酸っぱくて昔を思い出して涙がこぼれてきた。
「ノア辛いの?ホルト先生もう少しで来てくれるから待ってて」
わざわざホルト先生を呼んでくれたのか。先生なら僕の気持ちわかってくれるかな?僕とホルト先生があったのは5年くらい前。人間界からここに来る前に足を怪我したせいで僕は痛くて歩く練習も辛かったときにサイモン先生がホルト先生のところに連れてってくれたけど病院が怖くてカイルにずっと抱っこしてもらってたな。そのあと僕は歩けるようになった。こうやって熱が出たり怪我したらホルト先生が屋敷に来て診てくれる。先生は僕と同じ人間なので昔、聞いてみたことがある。先生はなんでこの世界に来たのかと…そのとき先生は寝て起きたらここにいたんだよって笑って誤魔化されたことがあったな。本当のことはいまだに教えてもらえてないけど。
「ノア熱出したんだって?久しぶりだな~何かあったか?」
ホルト先生が部屋に入ってきた。僕の熱を測ったり胸の音を聞いてくれた。
「ノア大きい口開けて」
言われた通りに口を開けた。でも先生は喉も赤くないし…ストレスか?と言ってきた。
「そういえば王子は訓練だって?今回は少し長いみたいだな」
「訓練なんかじゃない」
僕の答えに先生がビックリした顔をしていた。
「ノアどうした?」
「みんなカイルが訓練って本当に思ってる?騙されてるんじゃないの?それともみんなで僕に嘘をついてるの?」
「ノア何言って……」
「そうか、そうだよね本当はみんな知ってるんでしょ。どうして僕に教えてくれないの?どうして?僕はやっぱりここでもいらない子なんじゃん。邪魔なら言ってよ今すぐ出て行くからそれでカイルは幸せになれるんでしょ。僕なんて……」
カイルのことを話したせいなのかなぜだか息苦しくて耳鳴りがしてきた。先生がお母さんとリアムに何か話してるけど僕の耳には何も聞こえなくて……ただやっぱり思うのはカイルに会いたい。会って本当のことを怖いけど聞きたいと思う気持ちだけだった。
お母さんの声で目が覚めたがなんだか体が熱くてだるかった。
「お母さんおはよう」
なんとか返事をして起きあがろうとしたけどお母さんは僕の顔を見るなりギョッとした顔に変わっておでこを触ってくれた。ひんやりとして気持ちがいい。そのまま横になって目を閉じそうになってしまった。
「ノア、とりあえずまだ寝てなさい。今日は学校はお休みね」
そんな声が聞こえてきた。
「なんで?」
「何でってあなた熱があると思うのよ。それとたくさん泣いたの何か辛かった?目が腫れてるからとりあえず冷やしましょう。リアム~」
学校を休む?熱?お母さんが言ったことを理解しようとしたのだが頭が回らない。リアムを呼んだお母さんは何かを頼んでいたようだった。
「ねぇお母さんカイルは?」
朝はいつもカイルが起こしに来るのに今日はお母さん?と考えてから、あぁそうか僕が昨日嫌いって言ったからだとそう思ってたら
「カイル?あなた何も聞いてないの?昨日、話してたんじゃないの?」
「何も……」
するとお母さんは少し考えてから
「騎士たちと朝早くから訓練に出発したわ。今回はそうね半年は帰って来れないって言ってたわよ」
半年?そんなに長く…今まで行っても1週間もなかったはずなのに…それにちゃんと話してから出かけたはずなのに…
「本当にそれって訓練?」
本当はカイルの奥さんになる人に会いに行ってるんじゃないの?それとももう2人で住んでる家があるのかもしれない。あぁ僕は本当にカイルに嫌われてるんだ。何が嫌いじゃないだよ。何が信じてくれだよ嘘つきじゃないか。そんなことを考えてるうちに頭がボーッとしてきた。お母さんは訓練よ。訓練以外でどこか行くなんてないわよ。それよりも寝てなさいね学校に連絡してくるからと出てってしまった。しばらくするとリアムがおでこに貼る冷たいやつと飲み物を持ってきてくれた。
「ノアずいぶんと熱が高そうですね。これおでこに貼りましょう。それとノアの好きなりんごジュースも持ってきましたよ。王子が言ってましたノアは熱のときにはりんごジュースがいいんだと」
でもそれに応える心の余裕は僕にはなかった。リアムが熱が高いから辛そうですね。飲めたら飲んでくださいね。そう言って出ていってしまった。
カイルは騎士たちと訓練なんてみんなを騙してまで好きな人のところに行きたかったのか…そうか、そうだよな。この獣人の世界には男性同士でも結婚してる人もいると聞いたことはあったけどお父さんもお母さんと結婚してるし、アリーサだってバルトと長く付き合ってるし、僕の周りでは男同士なんていないから……やっぱり無理だよな。
目を瞑ってカイルからもらったこの狼のぬいぐるみを抱きしめていると昔を思い出して気持ちが少し落ち着いてくる。あの頃は本当に幸せだった。このアユーダ王国に連れてきてもらえて幸せな日を過ごしてきた。でもそんな日ももうすぐ終わるのかもしれない。カイルにお嫁さんができたら僕は邪魔になっちゃうのだろうか?僕はいつまでこの屋敷にいられるんだろう。こんな僕でも働ける場所はあるのだろうか…
「ノア……って何も飲んでなかったの?」
そういえばずっと考えてて何も口にしてなかった。お母さんからコップを受け取ってりんごジュースを飲んだ。かなり緩くなっていたけど甘酸っぱくて昔を思い出して涙がこぼれてきた。
「ノア辛いの?ホルト先生もう少しで来てくれるから待ってて」
わざわざホルト先生を呼んでくれたのか。先生なら僕の気持ちわかってくれるかな?僕とホルト先生があったのは5年くらい前。人間界からここに来る前に足を怪我したせいで僕は痛くて歩く練習も辛かったときにサイモン先生がホルト先生のところに連れてってくれたけど病院が怖くてカイルにずっと抱っこしてもらってたな。そのあと僕は歩けるようになった。こうやって熱が出たり怪我したらホルト先生が屋敷に来て診てくれる。先生は僕と同じ人間なので昔、聞いてみたことがある。先生はなんでこの世界に来たのかと…そのとき先生は寝て起きたらここにいたんだよって笑って誤魔化されたことがあったな。本当のことはいまだに教えてもらえてないけど。
「ノア熱出したんだって?久しぶりだな~何かあったか?」
ホルト先生が部屋に入ってきた。僕の熱を測ったり胸の音を聞いてくれた。
「ノア大きい口開けて」
言われた通りに口を開けた。でも先生は喉も赤くないし…ストレスか?と言ってきた。
「そういえば王子は訓練だって?今回は少し長いみたいだな」
「訓練なんかじゃない」
僕の答えに先生がビックリした顔をしていた。
「ノアどうした?」
「みんなカイルが訓練って本当に思ってる?騙されてるんじゃないの?それともみんなで僕に嘘をついてるの?」
「ノア何言って……」
「そうか、そうだよね本当はみんな知ってるんでしょ。どうして僕に教えてくれないの?どうして?僕はやっぱりここでもいらない子なんじゃん。邪魔なら言ってよ今すぐ出て行くからそれでカイルは幸せになれるんでしょ。僕なんて……」
カイルのことを話したせいなのかなぜだか息苦しくて耳鳴りがしてきた。先生がお母さんとリアムに何か話してるけど僕の耳には何も聞こえなくて……ただやっぱり思うのはカイルに会いたい。会って本当のことを怖いけど聞きたいと思う気持ちだけだった。
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