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第2章
第41話
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「ねぇリアム。最近のカイルうざいんだけど…しかも今日だってそんなに食べさせたかったのはなんで?俺のこと嫌いなのかな?でもいいじゃん嫌いなものがあったって…カールはゴーヤが苦いから嫌いだって、サイモン先生はトマトが嫌いだって言ってたもん」
「多分、王子にはなんでも食べて欲しいから言ってるだけですよ。それに王子がノアのことを嫌いなんてあり得ません。あまり気にしなくても……」
「でも僕は嫌なの。嫌いなの今のカイルは、昔のカイルの方がよかった。なんでも褒めてくれてたのに…僕、最近褒められたことあったかな?ないよね。今はこれはダメとか、あそこにいちゃダメってすぐに言うんだもん。友達からノアは過保護に育てられてるねって言われてるんだよ。学校だって1人で行けるのにさ。そのうちみんなに笑われちゃうよ」
そう言ってプンプンと怒りながら学校に向かっていた。
確かに昔のみんなはノアが可愛すぎて甘やかしてきたのはある。しかもめちゃくちゃ褒めた。来たばかりの頃はご飯もあまり食べられなかったから、少しでも食べたら〝いい子〟算数の問題ができたら〝いい子〟リハビリを頑張ったら〝いい子〟確かに〝いい子いい子〟といつもみんな言って頭を撫でたり、国王と王子はすぐに抱っこをしていた。過保護だったと言われても仕方がないかもしれない。でもなんでもいいよと許してしまったせいで怪我をさせたことも1度や2度じゃない。
例えば料理長の元に手伝いに行ってジャガイモの皮をピーラーで剥いてるときに自分の親指の皮まで剥いてしまった時には血はたくさん出るし、痛がって泣くしで大変だった。それ以来ノアはキッチンに入るのは禁止にした。あと王子とノアがカール様に乗せてもらい空の散歩をしてたときに下をのぞいたら友達を見つけて立ち上がって落ちそうになったのを王子が抱えたので落ちずに済んだが…それ以来、空の散歩は禁止になった。空の散歩を禁止にさせられると今度は木によじ登ったが途中で疲れてしまって降りられずに何を思ったのかジャンプして飛び降りようとしたところを私が助けたこともあった。とまぁ…色々ありすぎて……今ではノアが何かをしたいと言ったときや何かしたときには、みんなで安全会議をすることもある。今はノアの登下校する時間帯は馬車などを通行禁止にして転んで怪我をしないようにと道の清掃もする。私も護衛で付き添ってるくらいだし……とまぁ今でも過保護ではあるんだが…
「リアム来ないの?」
先に歩いてると思ってたノアが振り向いた。ここはノアが小さい頃から苦手な階段があるからだ。人間界で小さい頃に落とされて足の怪我をした頃を思い出すのか登りの階段はいいが下りだといつも立ち止まって常に後ろを振り向いて誰もいないか確認してしまうのだ。回り道をすれば階段を降りなくてもいいのだが近いからとノアはこの道を使っている。
「ただいま行きます」
ノアの元に向かうといつものようにノアは俺の腕を握って反対の手で手すりに掴まる。階段を降りるときにはこのスタイルが安心らしい。王子も一緒に行きたいらしいがノアはいつも断っている。本当は…王子のことが大好きなのに最近のノアは素直じゃない。昔は素直で可愛かったなと思い出していると
「リアムなんか気持ち悪い。なんで笑ってるの?」
「思い出していただけですよ」
「まさか、また僕のこと?」
「えぇ…小さい頃のノアは素直だったなって」
「今でも僕は素直だよ」
「そうですか?王子に素直な気持ちを伝えていますか?」
「それは……」
「伝えないと伝わらない気持ちもあるんですよ」
「カイルだって……」
「どうかしましたか?」
「なんでもない」
階段を降りたノアはそのまま教室までかけていった。
「ノアおはよう」
「おはよう」
「また王子と喧嘩したのか?」
「またじゃない」
「毎日毎日」
「毎日じゃないもん。それよりムーン昨日の宿題やった?」
「当たり前だろ」
あの頃出会ったムーンくんとは今でも仲良しで遊びに行ったり屋敷に来てもらったりしている。それと……
『ムーン、ノアおはよう』
「おはよう」
虎族と猫族のリアンヌとソフィアがやってきた。ここは初等部からのクラスメイトがみんな一緒だからノアも気心のしれた仲なのだが……
「ねぇノア、今日も王子様来てないの?」
「そうよ初等部ではしょっちゅう来てくれてたのに最近は全然じゃない。ノアあんた来ないように言ってるの?」
「カイルは忙しいの。騎士の団長さんなんだから、僕なんかに構ってる暇はないんだよ」
そう言って机に突っ伏した。
「もぉ~カイルなんて呼び捨てにして王子様に失礼でしょ。明日は連れてきてよね」
「リアムさん、王子様に待ってると伝えてくださいね」
そう多分ノアが王子と学校に行きたがらないのは王子の人気のせいだろう。確かに王子の人気は昔から高い。見た目もカッコよく、しかも王子なのだから当たり前だろう。初等部の頃はまだみんな子どもで恋愛なんてわからなかったが、みんな大人に近づくにつれて王子の人気も高くなり、どうして王子様のところに一緒に住んでいるのか、王子様を紹介して~と問い詰められたこともある。それが嫌だったのか…去年の王子の誕生日後ぐらいからだろうかノアはカイくんからカイルと呼び捨てに変わった。きっとノアなりの王子を取られたくないという気持ちの表れだろう。所詮ヤキモチという嫉妬なのだろうが…でもその気持ちがノアはまだよくわかってない。ただただ自分の感情の持って行き場がなく……
「リアムもう帰る、明日から学校休む」
「ノア、とりあえず今日は頑張りましょう」
「カイルなんて大っ嫌い。みんなカイルカイルって……」
とまぁ…なぜだか王子を嫌いと言ってしまう。どうしたら素直になってくれるのか…自分の中にある王子を好きという気持ちをわかってくれるのか…
「多分、王子にはなんでも食べて欲しいから言ってるだけですよ。それに王子がノアのことを嫌いなんてあり得ません。あまり気にしなくても……」
「でも僕は嫌なの。嫌いなの今のカイルは、昔のカイルの方がよかった。なんでも褒めてくれてたのに…僕、最近褒められたことあったかな?ないよね。今はこれはダメとか、あそこにいちゃダメってすぐに言うんだもん。友達からノアは過保護に育てられてるねって言われてるんだよ。学校だって1人で行けるのにさ。そのうちみんなに笑われちゃうよ」
そう言ってプンプンと怒りながら学校に向かっていた。
確かに昔のみんなはノアが可愛すぎて甘やかしてきたのはある。しかもめちゃくちゃ褒めた。来たばかりの頃はご飯もあまり食べられなかったから、少しでも食べたら〝いい子〟算数の問題ができたら〝いい子〟リハビリを頑張ったら〝いい子〟確かに〝いい子いい子〟といつもみんな言って頭を撫でたり、国王と王子はすぐに抱っこをしていた。過保護だったと言われても仕方がないかもしれない。でもなんでもいいよと許してしまったせいで怪我をさせたことも1度や2度じゃない。
例えば料理長の元に手伝いに行ってジャガイモの皮をピーラーで剥いてるときに自分の親指の皮まで剥いてしまった時には血はたくさん出るし、痛がって泣くしで大変だった。それ以来ノアはキッチンに入るのは禁止にした。あと王子とノアがカール様に乗せてもらい空の散歩をしてたときに下をのぞいたら友達を見つけて立ち上がって落ちそうになったのを王子が抱えたので落ちずに済んだが…それ以来、空の散歩は禁止になった。空の散歩を禁止にさせられると今度は木によじ登ったが途中で疲れてしまって降りられずに何を思ったのかジャンプして飛び降りようとしたところを私が助けたこともあった。とまぁ…色々ありすぎて……今ではノアが何かをしたいと言ったときや何かしたときには、みんなで安全会議をすることもある。今はノアの登下校する時間帯は馬車などを通行禁止にして転んで怪我をしないようにと道の清掃もする。私も護衛で付き添ってるくらいだし……とまぁ今でも過保護ではあるんだが…
「リアム来ないの?」
先に歩いてると思ってたノアが振り向いた。ここはノアが小さい頃から苦手な階段があるからだ。人間界で小さい頃に落とされて足の怪我をした頃を思い出すのか登りの階段はいいが下りだといつも立ち止まって常に後ろを振り向いて誰もいないか確認してしまうのだ。回り道をすれば階段を降りなくてもいいのだが近いからとノアはこの道を使っている。
「ただいま行きます」
ノアの元に向かうといつものようにノアは俺の腕を握って反対の手で手すりに掴まる。階段を降りるときにはこのスタイルが安心らしい。王子も一緒に行きたいらしいがノアはいつも断っている。本当は…王子のことが大好きなのに最近のノアは素直じゃない。昔は素直で可愛かったなと思い出していると
「リアムなんか気持ち悪い。なんで笑ってるの?」
「思い出していただけですよ」
「まさか、また僕のこと?」
「えぇ…小さい頃のノアは素直だったなって」
「今でも僕は素直だよ」
「そうですか?王子に素直な気持ちを伝えていますか?」
「それは……」
「伝えないと伝わらない気持ちもあるんですよ」
「カイルだって……」
「どうかしましたか?」
「なんでもない」
階段を降りたノアはそのまま教室までかけていった。
「ノアおはよう」
「おはよう」
「また王子と喧嘩したのか?」
「またじゃない」
「毎日毎日」
「毎日じゃないもん。それよりムーン昨日の宿題やった?」
「当たり前だろ」
あの頃出会ったムーンくんとは今でも仲良しで遊びに行ったり屋敷に来てもらったりしている。それと……
『ムーン、ノアおはよう』
「おはよう」
虎族と猫族のリアンヌとソフィアがやってきた。ここは初等部からのクラスメイトがみんな一緒だからノアも気心のしれた仲なのだが……
「ねぇノア、今日も王子様来てないの?」
「そうよ初等部ではしょっちゅう来てくれてたのに最近は全然じゃない。ノアあんた来ないように言ってるの?」
「カイルは忙しいの。騎士の団長さんなんだから、僕なんかに構ってる暇はないんだよ」
そう言って机に突っ伏した。
「もぉ~カイルなんて呼び捨てにして王子様に失礼でしょ。明日は連れてきてよね」
「リアムさん、王子様に待ってると伝えてくださいね」
そう多分ノアが王子と学校に行きたがらないのは王子の人気のせいだろう。確かに王子の人気は昔から高い。見た目もカッコよく、しかも王子なのだから当たり前だろう。初等部の頃はまだみんな子どもで恋愛なんてわからなかったが、みんな大人に近づくにつれて王子の人気も高くなり、どうして王子様のところに一緒に住んでいるのか、王子様を紹介して~と問い詰められたこともある。それが嫌だったのか…去年の王子の誕生日後ぐらいからだろうかノアはカイくんからカイルと呼び捨てに変わった。きっとノアなりの王子を取られたくないという気持ちの表れだろう。所詮ヤキモチという嫉妬なのだろうが…でもその気持ちがノアはまだよくわかってない。ただただ自分の感情の持って行き場がなく……
「リアムもう帰る、明日から学校休む」
「ノア、とりあえず今日は頑張りましょう」
「カイルなんて大っ嫌い。みんなカイルカイルって……」
とまぁ…なぜだか王子を嫌いと言ってしまう。どうしたら素直になってくれるのか…自分の中にある王子を好きという気持ちをわかってくれるのか…
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