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第1章
第38話
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「大変ですっノアが…ノアが…」
「っどうしたリアム何があった?」
「あのノアが…」
「リアム落ち着くんだちゃんと落ち着いて話してくれ」
「あっはい。すみません…ノアがいつものように狼のぬいぐるみを手にして横になったんですっ…そしたら急にうめき出して…そのまま意識がないんですっ」
「なんだって?おいサイモン先生を呼んでこい」
「国王、早く様子を見に行きましょう」
みんなでノアの部屋に行くとノアの目は硬く閉じられていたが額に汗をかいてうわ言でカイくん、カイくんと呼んでいた。サイモン先生に診てもらったが原因がわからない。ただ凄い高熱だと言われおでこを触るととても熱かった。
「国王、ホルト医師をここに連れてきてもらえませんか?」
「サイモン先生それは…」
「彼なら大丈夫です。ノアのこともよく診てくれましたし、何よりノアと同じ人間です。私にはノアの高熱の原因がわかりません」
そう言われて国王はしばらく思案している様子だったが
「わかった。ライナス迎えに行ってくれないか?」
と言ってくれた。
「あっはい。わかりました」
ライナスはホルト先生を迎えに行った。
「ノア、ごめんなパパがノアにつらく当たってしまったからか?だから熱が出たのか?悪かった。俺のせいだよな。本当にごめん」
国王はノアの手を握りしめながらホルト医師が到着するまでずっと謝っていた。
「国王、到着いたしました」
ライナスの声が聞こえて国王は顔を上げた。
「夜遅く申し訳ない」
「いえホルトです。よろしくお願いします。拝見しますね」
ノアの身体を観察しながらホルト先生がつぶやいた。
「カイくんと言うのは?」
「カイル王子のことです」
「あぁ、この前一緒に来ていた…」
そう言ってホルト先生は黙り込んでしまった。そして
「国王、1つ聞いてもいいですか?カイル王子とノアくん2人は運命の伴侶じゃないですか?」
国王が一瞬絶句した。
「いや……」
「本当のことをはっきり言ってください。大事なことなんです」
すると意を決して国王が答えた。
「はい。年は離れてはいますが、カイルとノアは運命だと妻が特殊能力を使えるので…ノアが天に召されそうなところを連れてきたんです」
「やっぱり…そうだと思いました。話には聞いたことがあるんです。運命の伴侶が人間界にいると…私は間違えられて連れてこられましたが、でもどうして彼はいないんですか?カイル王子は今どちらに?いるならばすぐ一緒の部屋に……」
「できないんです」
国王が怒鳴るように遮った。
「できない?」
「カイルは野獣との戦いで瀕死の状態で戻ってきたんです。野獣の爪が体に刺さったときになんの毒だかわからないが体内に入ってしまってそのせいで治癒魔法が効かないと医師や研究者たちが今、必死になって原因を探してるんだが…だから今は…」
「よければ私に診させてくださいませんか?」
「君にか?」
「はい。私は人間界では医師でもありましたが研究者でもありました。だからもしかしたら私の知ってる……」
「ホルト先生こっちだ。ライナス、リアム、ノアを連れてきてくれ」
『わかりました』
◇◇◇
「母上、カイルは」
「大丈夫。きっと助かる。私達が希望を捨てたらダメ必ず助けるのノアのためにも…助けてあげなくちゃ」
「カイル、ノアが待ってるから…」
みんなこの3日、ろくにご飯も食べずに持っている魔力をカイルに注ぎ込んでいる。それもすでに限界を迎えようとしていた。そのとき大きな足音と共に国王たちが入ってきた。
「モールス、それにみんなもノアまで連れてきてどうしたの?」
この前会ったノアを診てくれたホルト先生までいる。でもおかしい?リアムに抱えられてるノアはぐったりとしていた。
「ノアくんをカイル王子の隣に寝かせてください」
ホルト先生の声でリアムがノアを寝かせた。
「カイル王子の血液データを」
そう言われて医師の1人がデータの紙を見せた。
「やっぱり。これでは治癒魔法は効きません。これは特殊な猛毒をもってる野獣だったんですね。そいつの爪が刺さったのなら毒が体内に入っているのでしょう。魔法で毒の回るスピードが落ちているんだとは思いますが…実際に入った人を見るのは私も初めてですが、これを解毒しないと身体中に毒が回ってしまいます」
「どうしたら……」
「これから解毒薬を作ります」
ホルト先生は人間界でその毒の研究に携わったことがあったらしい。過去にその解毒薬を作ることに成功したことがあると…魔女の2人が薬品倉庫から言われた薬剤を持ってきてホルト先生は他の医師や研究者達と解毒薬を作り始めた。
どのくらいの時間がかかったのだろう。長い時間をかけてホルト先生が解毒薬を作ってくれた。
「できました。人間界にも似たような毒を持つ生物がいたのですが人間の体内に入った症例がなくて…マウスの実験でしか試したことがありません。本当にこれでカイル王子の解毒が成功するのか、かなり不明な点もあります。それでも試してみてもいいですか?」
うまくいく可能性は低いかもしれないが、私達はそれに頼るしかなかった。
注射器に入れられた薬が少しずつカイル王子の体内に入っていく。その様子をみんなはただ見守るしかなかった。
「普通ならこれから1時間以内に体内の解毒が始まります。6時間後にはなくなると思いますので今後は経過を観察していきます。そういえばノアくんはどうですか?」
「カイル王子の隣に寝かせてから穏やかに眠っておりますが、時たま熱で苦しいのか…辛そうな声を出してます」
「そうですね。少し苦しいかな?薬で熱を下げて楽にさせてあげましょうね」
そう言ってノアの細い腕に注射をしてあげていた。
「っどうしたリアム何があった?」
「あのノアが…」
「リアム落ち着くんだちゃんと落ち着いて話してくれ」
「あっはい。すみません…ノアがいつものように狼のぬいぐるみを手にして横になったんですっ…そしたら急にうめき出して…そのまま意識がないんですっ」
「なんだって?おいサイモン先生を呼んでこい」
「国王、早く様子を見に行きましょう」
みんなでノアの部屋に行くとノアの目は硬く閉じられていたが額に汗をかいてうわ言でカイくん、カイくんと呼んでいた。サイモン先生に診てもらったが原因がわからない。ただ凄い高熱だと言われおでこを触るととても熱かった。
「国王、ホルト医師をここに連れてきてもらえませんか?」
「サイモン先生それは…」
「彼なら大丈夫です。ノアのこともよく診てくれましたし、何よりノアと同じ人間です。私にはノアの高熱の原因がわかりません」
そう言われて国王はしばらく思案している様子だったが
「わかった。ライナス迎えに行ってくれないか?」
と言ってくれた。
「あっはい。わかりました」
ライナスはホルト先生を迎えに行った。
「ノア、ごめんなパパがノアにつらく当たってしまったからか?だから熱が出たのか?悪かった。俺のせいだよな。本当にごめん」
国王はノアの手を握りしめながらホルト医師が到着するまでずっと謝っていた。
「国王、到着いたしました」
ライナスの声が聞こえて国王は顔を上げた。
「夜遅く申し訳ない」
「いえホルトです。よろしくお願いします。拝見しますね」
ノアの身体を観察しながらホルト先生がつぶやいた。
「カイくんと言うのは?」
「カイル王子のことです」
「あぁ、この前一緒に来ていた…」
そう言ってホルト先生は黙り込んでしまった。そして
「国王、1つ聞いてもいいですか?カイル王子とノアくん2人は運命の伴侶じゃないですか?」
国王が一瞬絶句した。
「いや……」
「本当のことをはっきり言ってください。大事なことなんです」
すると意を決して国王が答えた。
「はい。年は離れてはいますが、カイルとノアは運命だと妻が特殊能力を使えるので…ノアが天に召されそうなところを連れてきたんです」
「やっぱり…そうだと思いました。話には聞いたことがあるんです。運命の伴侶が人間界にいると…私は間違えられて連れてこられましたが、でもどうして彼はいないんですか?カイル王子は今どちらに?いるならばすぐ一緒の部屋に……」
「できないんです」
国王が怒鳴るように遮った。
「できない?」
「カイルは野獣との戦いで瀕死の状態で戻ってきたんです。野獣の爪が体に刺さったときになんの毒だかわからないが体内に入ってしまってそのせいで治癒魔法が効かないと医師や研究者たちが今、必死になって原因を探してるんだが…だから今は…」
「よければ私に診させてくださいませんか?」
「君にか?」
「はい。私は人間界では医師でもありましたが研究者でもありました。だからもしかしたら私の知ってる……」
「ホルト先生こっちだ。ライナス、リアム、ノアを連れてきてくれ」
『わかりました』
◇◇◇
「母上、カイルは」
「大丈夫。きっと助かる。私達が希望を捨てたらダメ必ず助けるのノアのためにも…助けてあげなくちゃ」
「カイル、ノアが待ってるから…」
みんなこの3日、ろくにご飯も食べずに持っている魔力をカイルに注ぎ込んでいる。それもすでに限界を迎えようとしていた。そのとき大きな足音と共に国王たちが入ってきた。
「モールス、それにみんなもノアまで連れてきてどうしたの?」
この前会ったノアを診てくれたホルト先生までいる。でもおかしい?リアムに抱えられてるノアはぐったりとしていた。
「ノアくんをカイル王子の隣に寝かせてください」
ホルト先生の声でリアムがノアを寝かせた。
「カイル王子の血液データを」
そう言われて医師の1人がデータの紙を見せた。
「やっぱり。これでは治癒魔法は効きません。これは特殊な猛毒をもってる野獣だったんですね。そいつの爪が刺さったのなら毒が体内に入っているのでしょう。魔法で毒の回るスピードが落ちているんだとは思いますが…実際に入った人を見るのは私も初めてですが、これを解毒しないと身体中に毒が回ってしまいます」
「どうしたら……」
「これから解毒薬を作ります」
ホルト先生は人間界でその毒の研究に携わったことがあったらしい。過去にその解毒薬を作ることに成功したことがあると…魔女の2人が薬品倉庫から言われた薬剤を持ってきてホルト先生は他の医師や研究者達と解毒薬を作り始めた。
どのくらいの時間がかかったのだろう。長い時間をかけてホルト先生が解毒薬を作ってくれた。
「できました。人間界にも似たような毒を持つ生物がいたのですが人間の体内に入った症例がなくて…マウスの実験でしか試したことがありません。本当にこれでカイル王子の解毒が成功するのか、かなり不明な点もあります。それでも試してみてもいいですか?」
うまくいく可能性は低いかもしれないが、私達はそれに頼るしかなかった。
注射器に入れられた薬が少しずつカイル王子の体内に入っていく。その様子をみんなはただ見守るしかなかった。
「普通ならこれから1時間以内に体内の解毒が始まります。6時間後にはなくなると思いますので今後は経過を観察していきます。そういえばノアくんはどうですか?」
「カイル王子の隣に寝かせてから穏やかに眠っておりますが、時たま熱で苦しいのか…辛そうな声を出してます」
「そうですね。少し苦しいかな?薬で熱を下げて楽にさせてあげましょうね」
そう言ってノアの細い腕に注射をしてあげていた。
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