転移したら獣人たちに溺愛されました。

なの

文字の大きさ
上 下
25 / 101
第1章

第25話

しおりを挟む
「ライナスありがとうな。みんなに書いてもらうように提案したのか?」
「はい。ノアに少しでも元気になって欲しくて。先生にお願いして授業の時間に書いてもらいました。それで、こちらはカイル王子にです」
それは小さな紙にノアへの質問と書いてくれた子どもの名前が書かれてあった。俺は1つずつ答えを書いていった。中には返答に迷う質問も書いてあったが…それでも子どもにわかりやすく返事を書いてライナスに渡した。明日ノアが学校に行けなくても子どもたちに渡してほしいとお願いした。

夕飯の時間近くにノアの部屋を訪ねると中からノアの笑い声が聞こえてきた。さっきよりは元気になったみたいで安心してドアを開けるとリアムと数名の使用人がノアのベットの周りにいた。

「あっカイくん」
「ノア何してたんだ?」
「あのね。ババ抜きしてたの。でもリーすぐに負けちゃうんだよ」
「ノアは負けてないのか?」
「うん1回も負けてないの」
「凄いな」
きっとノアが負けないように細工をしているんだろうか?俺も一緒にババ抜きしてもいいか?と聞くと、いいよ。と答えてくれた。

「あのね、負けたら自分が持ってるお菓子を勝った人に渡すんだよ」
1人ずつカゴが置いてあってノアの前にはチョコやクッキー、飴などがいっぱい入っていた。
リアムにトランプを切ってもらいノアがトランプをみんなに渡していくと1枚だけ角の方にだが模様が書き加えられてるトランプがあった。それはノアの手元に渡った。
「カイくんはババ抜きしたことある?」
「小さい頃にな、でも久しぶりだよ」
「僕、負けないからね」
ノアは小さい手で自分のトランプを広げるとあっと声を上げた。もしかしたらあのトランプはジョーカーか?そう思いながら自分の手札の中からペアを探して中央に捨てていった。

「みんな準備はいい?じゃあ僕からね。カイくんは最後だから僕のトランプ引いてね」
「わかったよ」
6人で順番に引いてはペアができたら捨てていく。とうとう俺の番になってノアの手札から1枚引くのだが、ノアはわかりやすくジョーカーだと思われる札を飛び出すように広げていた。俺は何も気づかないふりをして違うトランプを取ると、あからさまに残念な顔をした。まぁ1回目だからな。そして2回目は何も細工をせずに広げたトランプから、さっき見つけたジョーカーらしきトランプを引いてやると、顔がパァーと笑顔になった。引いたカードはやっぱりジョーカーだった。ノアはジョーカーがなくなって嬉しそうに喜んでくれた。俺の隣のリアムはジョーカーだとわかっるからか、なかなか引いてくれず結局、ノアは1番に抜けて俺は負けてしまった。
「カイくん弱いね。じゃあ約束のお菓子ちょうだい」
「ごめん。今は何も持ってないから後でいいか?」
「うん。いいよ」
「じゃあそろそろ夕飯だから片付けて食べに行こうな」
片付けを終えて抱っこをしようとノアに手を伸ばすとノアも俺の首元に手を伸ばしてきた。そのまま抱き上げて連れて行った。

「ノア体調はどう?今日も美味しそうなの見て」
ノアの目の前に小さなオムライスが置かれた。ケチャップでうさぎの絵も描いてあった。
「かわいい」
「うん。食べれるだけ食べていいぞ」
お昼は食欲もあまりわかず少なめだったからか夜はちゃんと食べてくれた。

「ノア今日は俺と一緒に寝ないか?」
いつもは父上と母上と一緒に寝ているから不思議に思ったんだろう。
「でも僕、パパとママと寝てるよ。寂しくないよ」
俺が寂しいから一緒に寝たいなんて恥ずかしくて言えないが…

「たまにはいいかな?って一緒の布団に入って話でもしないか?」
「いいけど…パパ、ママ、カイくんと寝てもいい?」
「まぁ…たまにはいいだろう。でもカイルわかっているな」
「当たり前だろ」
父上が心配しなくても大丈夫だ。まだ子どものノアにそんな不貞を働くほど馬鹿じゃない。

「じゃあカイルと寝る前にママとお風呂に入っちゃいましょ」
「うん。じゃあカイくん後でね」
「迎えにいくから」
母上とお風呂に入るのは羨ましいが俺のモノを見たらきっとびっくりするだろうからな。ノアがお風呂に入っている間に俺もお風呂に入った。いつかノアと一緒に入れるといいな。と考えるだけで自分の欲望が顔を出してしまった。急いで吐き出してお風呂を出るとノアが母上に髪の毛を乾かしてもらっていた。

「あっカイくん。カイくんもお風呂に入ったの?」
「うん入ってきたよ」
「ホカホカで気持ちいいね」
「そうだな」

「はいできた。ノアいい夢を見てね。また明日」
母上に乾かしてもらってサラサラになったノアの髪の毛を撫でてノアを抱き上げて部屋に向かった。

「カイくんに抱っこしてもらうと背が大きくなった気がする」
「そうだろ。父上よりも大きいからな」
ノアをベットに寝かせて俺も一緒に横になった。ノアの温もりが心地がよかった。

「ノア、明日は俺と一緒に学校に行かないか?俺もノアと一緒に勉強しようかな?楽しそうだろ?」
「えっでもカイくんは王子様でしょ?一緒に勉強したら、みんなびっくりするよ」
「大丈夫だよ。ノアも俺と一緒なら大丈夫だろ?」
少し戸惑いながら頷いてくれた。明日になったら行きたくないと言うかもしれないが…ノアは目がトロンとしてきたので、寝ようなと声をかけた。布団の上からトントンと叩いてやるとノアはすぐに眠ってしまった。

明日は笑って過ごしてほしい。ノアの笑顔は本当に天使みたいだからな。温かいノアを抱きしめて俺も眠りについた。

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

迷子の僕の異世界生活

クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。 通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。 その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。 冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。 神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。 2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。

虐げられている魔術師少年、悪魔召喚に成功したところ国家転覆にも成功する

あかのゆりこ
BL
主人公のグレン・クランストンは天才魔術師だ。ある日、失われた魔術の復活に成功し、悪魔を召喚する。その悪魔は愛と性の悪魔「ドーヴィ」と名乗り、グレンに契約の代償としてまさかの「口づけ」を提示してきた。 領民を守るため、王家に囚われた姉を救うため、グレンは致し方なく自分の唇(もちろん未使用)を差し出すことになる。 *** 王家に虐げられて不遇な立場のトラウマ持ち不幸属性主人公がスパダリ系悪魔に溺愛されて幸せになるコメディの皮を被ったそこそこシリアスなお話です。 ・ハピエン ・CP左右固定(リバありません) ・三角関係及び当て馬キャラなし(相手違いありません) です。 べろちゅーすらないキスだけの健全ピュアピュアなお付き合いをお楽しみください。 *** 2024.10.18 第二章開幕にあたり、第一章の2話~3話の間に加筆を行いました。小数点付きの話が追加分ですが、別に読まなくても問題はありません。

繋がれた絆はどこまでも

mahiro
BL
生存率の低いベイリー家。 そんな家に生まれたライトは、次期当主はお前であるのだと父親である国王は言った。 ただし、それは公表せず表では双子の弟であるメイソンが次期当主であるのだと公表するのだという。 当主交代となるそのとき、正式にライトが当主であるのだと公表するのだとか。 それまでは国を離れ、当主となるべく教育を受けてくるようにと指示をされ、国を出ることになったライト。 次期当主が発表される数週間前、ライトはお忍びで国を訪れ、屋敷を訪れた。 そこは昔と大きく異なり、明るく温かな空気が流れていた。 その事に疑問を抱きつつも中へ中へと突き進めば、メイソンと従者であるイザヤが突然抱き合ったのだ。 それを見たライトは、ある決意をし……?

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

【完結】冷血孤高と噂に聞く竜人は、俺の前じゃどうも言動が伴わない様子。

N2O
BL
愛想皆無の竜人 × 竜の言葉がわかる人間 ファンタジーしてます。 攻めが出てくるのは中盤から。 結局執着を抑えられなくなっちゃう竜人の話です。 表紙絵 ⇨ろくずやこ 様 X(@Us4kBPHU0m63101) 挿絵『0 琥』 ⇨からさね 様 X (@karasane03) 挿絵『34 森』 ⇨くすなし 様 X(@cuth_masi) ◎独自設定、ご都合主義、素人作品です。

【完結】雨降らしは、腕の中。

N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年 Special thanks illustration by meadow(@into_ml79) ※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。

【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する

SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。 ☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます! 冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫 ——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」 元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。 ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。 その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。 ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、 ——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」 噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。 誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。 しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。 サラが未だにロイを愛しているという事実だ。 仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——…… ☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので) ☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

【完結】召喚された勇者は贄として、魔王に美味しく頂かれました

綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
BL
美しき異形の魔王×勇者の名目で召喚された生贄、執着激しいヤンデレの愛の行方は? 最初から贄として召喚するなんて、ひどいんじゃないか? 人生に何の不満もなく生きてきた俺は、突然異世界に召喚された。 よくある話なのか? 正直帰りたい。勇者として呼ばれたのに、碌な装備もないまま魔王を鎮める贄として差し出され、美味しく頂かれてしまった。美しい異形の魔王はなぜか俺に執着し、閉じ込めて溺愛し始める。ひたすら優しい魔王に、徐々に俺も絆されていく。もういっか、帰れなくても……。 ハッピーエンド確定 ※は性的描写あり 【完結】2021/10/31 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、エブリスタ 2021/10/03  エブリスタ、BLカテゴリー 1位

処理中です...