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第1章

第23話

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「ノアは学校の勉強で何が好きかな?」
校長先生に言われて僕はどう答えていいかわからなかった。だって…あんまり記憶がないんだもん。ただ僕は友達がたくさんできて、いつも笑っている生活がしたいんだ。

「ノア急に言われてもわかんないよな?じゃあこれからは友達ができて笑って楽しく学校生活が送れるようにしような」
パパが笑いながら言ってくれたのでうん。と答えた。
パパに抱っこされて向かった先は大きなお部屋の前だった。
ここは校長室みたいで、これからパパが僕の身体のこととかをサイモン先生と3人で話をしてくれるって言ってた。僕はパパたちが座ってる席より離れた場所でリーと一緒に待っていた。

「ねぇリーは学校で何が楽しかった?」
「私ですか?私は…友達と木登りしたりサッカーしたり、体を動かして遊ぶのが好きでしたよ」
「凄い。木登りもできるの?」
「はい。私は熊族ですから木登りは得意なんですよ」
「僕がちゃんと治って1人で走れるようになったら木登り教えてくれる?」
「いいですよ。でもノアは木に登りたいんですか?」
「うん。なんか大きな木から下を見たら楽しそうだなって」
「じゃあ約束しましょうね」
リーと約束できて嬉しかった。そんな話をしていたらパパが

「ノア話が終わったよ。それじゃあ行っておいでパパはお家で待ってるから楽しんでおいでね」
「パパありがとう。行ってきます」
パパに抱っこしてもらって車椅子に乗せてもらった。パパにバイバイして校長先生とサイモン先生、リーと一緒にクラスに向かった。

「ノアは2年生のクラスだよ。生徒は20人もいるんだ。お友達いっぱいできるといいね」
「はい」
緊張しながら教室の前に着いた。ドアが開いて教室いたみんなが一斉に僕の方を向いた。思わず下を向いてしまった。すると

「あ!ノアだ。ノアやっと来てくれた」
顔を上げると跳ねるように来てくれたのはムーンだった。

「ムーン」
「よかった。前より元気になってるね」
僕もムーンに会えて嬉しくてニコニコしていると校長先生がみんなに言ってくれた。

「みんな、おはよう。今日からこのクラスにお友達が増えることになったノアだよ。ノアは今、リハビリ中だから車椅子に乗ってるけど仲良くしてくれるね」
すると「はーい」とみんなの大きな声が教室に響いた。
「じゃあノア楽しんでおいでね」
校長先生に言われて頷いた。

「ノアおはよう。担任のスコットだ。よろしく」
先生は猫みたいな長い細い尻尾だな。と思ってリーに先生は猫?と聞くと、そうだよ。スコット先生は猫族だよと教えてくれた。
僕はサイモン先生とリーがいるから一番後ろの席になった。隣にはムーンがいてくれてた。

「ノア、今の時間は国語だよ。今日はこのお話をみんなで読んでたんだ」
隣にいたムーンが教えてくれた。
久しぶりの教科書を触ると紙の感覚が懐かしかった。僕はみんなの様子を見ながら授業を受けた。授業が終わって休み時間になるとサイモン先生とリーはスコット先生と話をしてくるね。と行ってしまうと、教室のみんなが僕の机の周りに集まってきた。

「ねぇどこからきたの?」
「耳も尻尾もないから人間でしょ?」
「なんで王様と一緒だったの?」
「いつ歩けるの?」
一気に色んな質問をされて僕の頭はパニックになってしまった。何も答えられなくて俯いていると
「そんなに一気に質問したらノアがびっくりしちゃうでしょ」
トイレに行ってたムーンが戻ってきてくれて言ってくれた。

「なんでムーンは知ってるの?」
そう聞かれてムーンは僕とお友達になったんだと言ってくれた。ノアは王様のお家で暮らしてることも。そしてムーンも呼ばれて王様の家に行ったんだとみんなに話すとみんながいいなーと言っていた。

「みんな次の時間は体育よ。グランドに集合だけど忘れちゃった?」
先生の声でみんながバタバタと用意を始めた。するとサイモン先生が
「ノアはまだ体育はできないけど、外でみんなの授業を見学しような」
と言ってくれた。
なんとなく身体がだるくなった気がした。車椅子の座り心地は悪くないんだけど、こんなにも長い時間、車椅子に座ったことなんてなかったし、色んな人と会って、さっき質問もいっぱいされて緊張してしまったからだと思う。でも本当はもうお家に帰りたかった。学校は楽しみにしてたし、お友達もたくさん作りたかったけど、なんとなくみんなの目が怖かった。やっぱり人間の僕が学校に通うのはおかしいんじゃないのかな?だって人間の子なんて他には見当たらなかったから。

「ノア、顔色が悪いですよ。少し疲れましたか?」
サイモン先生に言われたけど大丈夫と笑って見せた。本当は辛いって言いたいけど、そんなわがまま言っちゃいけない。お家にいるみんなが学校に行く僕のために色んな準備をしてくれてたし、パパもママもカイくんもみんな喜んでくれてたのに…そう思うのに体はどんどん辛くなってきてズルズルと滑るように車椅子から落ちそうになったところをリーが僕を抱っこしてくれた。サイモン先生とリーの焦った声が遠くの方で聞こえてると思いながら僕は気を失ってしまった。



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