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第1章

第22話

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次の日、相変わらず父上と母上と一緒に寝ているノアの元を訪れると部屋には誰もいなかった。いつもより30分以上も早いのに…と思いながらダイニングルームに行くと父上の膝の上でご飯を食べてるノアの姿があった。

「あっカイくんおはようございます」
ニコニコ笑って挨拶してくれるノアにおはよう。早く起きたの?と聞くと
「学校が楽しみで早く起きちゃったの。そしたらパパも起きてて連れて来てもらったの」
と…学校に行くのを楽しみにしてくれているようでよかったと一安心した。

普通は1日学校だが、ノアはしばらくの間はリハビリをするため、お昼までの短い時間の学校生活になる。それでも友達と一緒に勉強したり遊んだりと楽しんでくれると思う。帰ってきてから今日1日の様子を聞くのが今から楽しみだ。朝食を食べ終えた様子のノアを着替えさせる為に父上が抱っこして部屋にいった。
そういえば学校には制服があったみたいだが、俺はどんなのか知らない。どんな姿になるか楽しみにしながら朝食を食べ終えた。
そろそろ着替えも終わるころだろうと俺は父上たちの部屋に行くと紺色のブレザーに半ズボン、ストライプのボルドーのネクタイをしてるノアがベッドに腰掛けていた。

「ノア可愛い。とってもよく似合ってるね」
そう言うと少し照れくさそうに微笑んでくれた。

「でしょでしょ。とっても可愛いんだから、これなら学校でも人気者だよ。友達もいっぱいできるわよ」
珍しく興奮した様子で母上が話してくれた。

でも半ズボンだと足の細さがよく目立っていた。上はブレザーを羽織っているので目立たないが…でも仕方がない。初等部の制服は長ズボンがないようだからな。これからたくさん食べれるようになって、歩いたり走ったりすれば筋肉も付いてくるだろう。
ノアはこれから行く学校生活に思いを馳せているようだった。
しばらくすると着替えを終わった父上が出てきてノアの元にくると
「制服を着ると、ぐっとお兄さんらしくなるな。とっても似合ってるよ。じゃあそろそろ行こうか?」
ノアを抱っこしようとするので
「見送りはさせてくださいね」
と父上から奪うようにノアを抱っこした。

「そういえば父上、どうやって学校に行くんですか?」
そう言うと馬車だ。と答えると
「馬車?」
ノアが首を傾げて聞いてきた。もしかしたら知らないし、乗ったことがないのかと思い、人を乗せたり、荷物を引っ張ってくれる馬だよ。と教えると
「お馬さん?お馬さんがいるの?」
と興味を持った様子で答えた。

「いるよ。ここの世界は獣人だけじゃなくて、ただの動物もいるからな」
そう教えると知らなかったと…玄関ではサイモン先生も待っていてくれていた。

「ノア、可愛いですね。今日から学校に行きますが、何か不安なことがあったらすぐに教えてくださいね」

「ありがとうサイモン先生」
ノアに靴を履かせて外に出ると2頭の馬と御者がいる馬車が2台、運搬用の荷馬車が2台並んでいた。

「父上なんでこんなに…」
「あぁ行き用に1台、もう1台は俺の帰り用だ」
「荷馬車は?」
「1台はノアの車椅子が乗ってるもう1台はノア用のベッドだ」
「ベッドですか?」
「あぁ、万が一体調が悪くなったときに学校にあるベッドはいつ誰が使ったかわからないだろ?空き教室も1室確保してもらってるから問題ない」
流石、この国の王である父上だ。やることが凄すぎる。
ノアは馬を見て大きいね。お目目がぱっちりで可愛い。まつ毛長いね。とリアムに話しかけていた。
父上が先に乗り、ノアを馬車に乗せると、ふかふかだぁ~と座り心地に満足していたようだが、すぐに父上がノアを膝に乗せた。
「馬車は揺れるから危ないからな」
ただ単に抱っこしたかっただけだと思うが…ノアは気にすることなくおとなしく座っていた。そしてエアロンが乗りこむと出発だ。

「ノア楽しんでおいで、帰ったらたくさん話聞かせてね」
「カイくん行ってきます」
もう1台の馬車にはサイモン先生とリアムが乗って行ってしまった。
馬車で20分とかからない距離にある学校だが子どもの足だと1時間以上はかかってしまう距離だ。ノアが歩けるようになってもきっと馬車での通学になるだろう。ノアは窓から顔を出して見えなくなるまで手を振ってくれた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

パパのお膝に乗ってお外を見ていた。そういえばカールさんにお空のお散歩に連れて行ってもらった時にも思ったけど、僕がいた人間の世界とあまり変わらないお家がたくさんあった。学校はどんな感じかな?お友達できるかな?楽しみにしていたはずなのに、学校が近づくに連れて不安になってきた。だって今まで学校に行ってなかったから勉強は難しくてわからないかもしれない。パパやママ、カイくんにノアはこんなこともわからないの?バカだねって思われるかもしれない。僕がバカでもここにいてもいいのかな?僕、何をするのにも遅いって言われてたけど、ちゃんと早くできるようになるかな?不安な気持ちでいっぱいになってきたときに肩を叩かれて顔を上げるとパパが
「どうした?気分悪くなったか?」
心配そうに言ってくれた。
「ノア、どうした?パパに言ってごらん?」
優しいパパの声に僕は今まで学校に行けなかったから勉強も運動もできないかもしれないけど、ここにいてもいいの?と聞くとパパは僕を抱きしめてノアがここにいてパパの子でいてくれたらいいんだって言ってくれた。もしそれで誰かが悪口を言ったらパパがやつけてやるぞ。パパは強いんだぞ。って
「カイくんよりも強いの?」
「そうだな。戦ったことないけどな」
って笑ってた。でも強そうなんだ。だってパパもカイくんもすごく大きいんだもん。パパは僕が不安にならないようにたくさん話してくれた。
窓の外を見るといろんな子たちが歩いているのが見えた。

「ノアもう着くぞ。パパと一緒に行くぞ」
ドアを開けてもらってパパの抱っこで降りたら、羊さんの角がついた眼鏡をかけた人が近づいてきた。

「国王、お待ちしておりました。君がノアだね。校長先生だよ。今日からよろしくね」
「はい。よろしくお願いします」
僕が言うと頭を撫でてくれた。これから僕はこの学校に通うんだ。頑張らないと。
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