20 / 101
第1章
第20話
しおりを挟む
ノアが目を瞑ったのを確認するとカールは両手を大きく広げてドラゴンの姿に変身した。俺たち獣人はそれぞれ産まれてきたときの動物の姿に変身することができる。特に俺は野獣と闘う場合には獣の方が力も出るし動きやすかったりもする。ただ狼の姿をノアに見せるのはまだ無理かな?
あとはまだ小さな子どもは怖かったり、驚いたりすると本来の動物の姿に戻ってしまう場合もあるが…この間のムーンがそうだったな。
「ノア目を開けていいよ」
すると手を離して目を開けた。
「うわぁ~」
「ノア、俺の背中に乗ってごらん」
優しい口調でカールが話しかけたがノアは首を横に振った。抱きしめている身体が少し震えてるのがわかった。
「ノア怖いの?怖そうな顔してるけど、さっき会ったカールだよ。俺が抱っこしてるから心配しなくてもいいから。お空からの景色はきっと眺めがいいぞ」
するとノアはカールをチラッと横目で見ながら
「カイくん、僕少し怖い」
と言い出した。俺はノアを抱っこする腕に力を込めて大丈夫。大丈夫と暗示をかけるように伝えた。
「カイくん、僕落ちない?」
「絶対に落とさないから大丈夫」
きっと人間界から来るときに落ちたことを記憶はなくても聞いてしまったから怖くなったんだろう。
でもカールはバルトよりも上手く風に乗ることができるし、無茶苦茶な飛行は絶対にしない。それに姉上より力も強い俺はどんなことがあってもノアを離すことはない。少し震える身体を尻尾で撫でてやる。首に尻尾が当たってしまったんだろう。くすくすと笑い出した。
「カイくん尻尾くすぐったいよ」
「ノアはここがくすぐったいのか?」
尻尾で首を撫でると声をあげて笑い出した。
「イタズラする尻尾ですね」
そう言いながらノアは俺の尻尾を両手で掴んで尻尾の動きを止めた。両手で握りしめられてしまって理性が飛びそうなのをグッと堪えて
「じゃあそろそろお空に散歩に出かけよう」
と歩きだした。ずっと俺たちのことを見ていたカールは尻尾を掴まれているのを心配そうに見ていたので頷いて口パクで大丈夫と答えた。
「ノアのことは俺の手と尻尾で抱っこするからノアは俺のここを握ってて」そう言って尻尾から手を離して代わりに俺の服を握らせた。
カールの背中に乗ると、ゆっくりと上昇していく、最初は俺の服を両手で握りしめ胸に顔を埋め少し震えていたが、どんどん昇っていくと景色が小さくなってきた。
「ノア、ちょっと顔を上げてごらん。綺麗な景色が見えるよ。怖かったら降りるからね」
そう耳元で言ってやると顔を上げて下を見た。
「すご~い。すご~い。お家がみんな小さいよ」
目をキラキラさせて見ていた。
「ノア、怖くないかい?」カールが言うと
「カイくんが僕を守ってくれてるから大丈夫。でも、もっと高い所は怖いかも」
と言ってくれた。
「わかったよ。もう少しぐるっと回ったら帰ろうね」
それからノアが行く学校を見たりして空の散歩を楽しんだ。
「カイくん、カールさんって凄いね。お空からだと色んなお家やお店もあるね」
「そうだな。今度は色んなお店を見に街に行こうな」
ノアは俺の腕でウトウトとしてきた。久しぶりの外で少し疲れたのかもしれない。ノア寝てもいいよと言ってやると、そのまま小さな寝息を立てて寝てしまった。
あとはまだ小さな子どもは怖かったり、驚いたりすると本来の動物の姿に戻ってしまう場合もあるが…この間のムーンがそうだったな。
「ノア目を開けていいよ」
すると手を離して目を開けた。
「うわぁ~」
「ノア、俺の背中に乗ってごらん」
優しい口調でカールが話しかけたがノアは首を横に振った。抱きしめている身体が少し震えてるのがわかった。
「ノア怖いの?怖そうな顔してるけど、さっき会ったカールだよ。俺が抱っこしてるから心配しなくてもいいから。お空からの景色はきっと眺めがいいぞ」
するとノアはカールをチラッと横目で見ながら
「カイくん、僕少し怖い」
と言い出した。俺はノアを抱っこする腕に力を込めて大丈夫。大丈夫と暗示をかけるように伝えた。
「カイくん、僕落ちない?」
「絶対に落とさないから大丈夫」
きっと人間界から来るときに落ちたことを記憶はなくても聞いてしまったから怖くなったんだろう。
でもカールはバルトよりも上手く風に乗ることができるし、無茶苦茶な飛行は絶対にしない。それに姉上より力も強い俺はどんなことがあってもノアを離すことはない。少し震える身体を尻尾で撫でてやる。首に尻尾が当たってしまったんだろう。くすくすと笑い出した。
「カイくん尻尾くすぐったいよ」
「ノアはここがくすぐったいのか?」
尻尾で首を撫でると声をあげて笑い出した。
「イタズラする尻尾ですね」
そう言いながらノアは俺の尻尾を両手で掴んで尻尾の動きを止めた。両手で握りしめられてしまって理性が飛びそうなのをグッと堪えて
「じゃあそろそろお空に散歩に出かけよう」
と歩きだした。ずっと俺たちのことを見ていたカールは尻尾を掴まれているのを心配そうに見ていたので頷いて口パクで大丈夫と答えた。
「ノアのことは俺の手と尻尾で抱っこするからノアは俺のここを握ってて」そう言って尻尾から手を離して代わりに俺の服を握らせた。
カールの背中に乗ると、ゆっくりと上昇していく、最初は俺の服を両手で握りしめ胸に顔を埋め少し震えていたが、どんどん昇っていくと景色が小さくなってきた。
「ノア、ちょっと顔を上げてごらん。綺麗な景色が見えるよ。怖かったら降りるからね」
そう耳元で言ってやると顔を上げて下を見た。
「すご~い。すご~い。お家がみんな小さいよ」
目をキラキラさせて見ていた。
「ノア、怖くないかい?」カールが言うと
「カイくんが僕を守ってくれてるから大丈夫。でも、もっと高い所は怖いかも」
と言ってくれた。
「わかったよ。もう少しぐるっと回ったら帰ろうね」
それからノアが行く学校を見たりして空の散歩を楽しんだ。
「カイくん、カールさんって凄いね。お空からだと色んなお家やお店もあるね」
「そうだな。今度は色んなお店を見に街に行こうな」
ノアは俺の腕でウトウトとしてきた。久しぶりの外で少し疲れたのかもしれない。ノア寝てもいいよと言ってやると、そのまま小さな寝息を立てて寝てしまった。
511
お気に入りに追加
940
あなたにおすすめの小説
迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。
優しい庭師の見る夢は
エウラ
BL
植物好きの青年が不治の病を得て若くして亡くなり、気付けば異世界に転生していた。
かつて管理者が住んでいた森の奥の小さなロッジで15歳くらいの体で目覚めた樹希(いつき)は、前世の知識と森の精霊達の協力で森の木々や花の世話をしながら一人暮らしを満喫していくのだが・・・。
※主人公総受けではありません。
精霊達は単なる家族・友人・保護者的な位置づけです。お互いがそういう認識です。
基本的にほのぼのした話になると思います。
息抜きです。不定期更新。
※タグには入れてませんが、女性もいます。
魔法や魔法薬で同性同士でも子供が出来るというふんわり設定。
※10万字いっても終わらないので、一応、長編に切り替えます。
お付き合い下さいませ。
【完結】もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、攻略対象の凛々しい少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
本編完結しました!
おまけをちょこちょこ更新しています。
第12回BL大賞、奨励賞をいただきました、読んでくださった方、応援してくださった方、投票してくださった方のおかげです、ほんとうにありがとうございました!
突然異世界転移させられたと思ったら騎士に拾われて執事にされて愛されています
ブラフ
BL
学校からの帰宅中、突然マンホールが光って知らない場所にいた神田伊織は森の中を彷徨っていた
魔獣に襲われ通りかかった騎士に助けてもらったところ、なぜだか騎士にいたく気に入られて屋敷に連れて帰られて執事となった。
そこまではよかったがなぜだか騎士に別の意味で気に入られていたのだった。
だがその騎士にも秘密があった―――。
その秘密を知り、伊織はどう決断していくのか。
【完結】父を探して異世界転生したら男なのに歌姫になってしまったっぽい
おだししょうゆ
BL
超人気芸能人として活躍していた男主人公が、痴情のもつれで、女性に刺され、死んでしまう。
生前の行いから、地獄行き確定と思われたが、閻魔様の気まぐれで、異世界転生することになる。
地獄行き回避の条件は、同じ世界に転生した父親を探し出し、罪を償うことだった。
転生した主人公は、仲間の助けを得ながら、父を探して旅をし、成長していく。
※含まれる要素
異世界転生、男主人公、ファンタジー、ブロマンス、BL的な表現、恋愛
※小説家になろうに重複投稿しています
地味顔陰キャな俺。異世界で公爵サマに拾われ、でろでろに甘やかされる
冷凍湖
BL
人生だめだめな陰キャくんがありがちな展開で異世界にトリップしてしまい、公爵サマに拾われてめちゃくちゃ甘やかされるウルトラハッピーエンド
アルファポリスさんに登録させてもらって、異世界がめっちゃ流行ってることを知り、びっくりしつつも書きたくなったので、勢いのまま書いてみることにしました。
他の話と違って書き溜めてないので更新頻度が自分でも読めませんが、とにかくハッピーエンドになります。します!
6/3
ふわっふわな話の流れしか考えずに書き始めたので、サイレント修正する場合があります。
公爵サマ要素全然出てこなくて自分でも、んん?って感じです(笑)。でもちゃんと公爵ですので、公爵っぽさが出てくるまでは、「あー、公爵なんだなあー」と広い心で見ていただけると嬉しいです、すみません……!
狼騎士は異世界の男巫女(のおまけ)を追跡中!
Kokonuca.
BL
異世界!召喚!ケモ耳!な王道が書きたかったので
ある日、はるひは自分の護衛騎士と関係をもってしまう、けれどその護衛騎士ははるひの兄かすがの秘密の恋人で……
兄と護衛騎士を守りたいはるひは、二人の前から姿を消すことを選択した
完結しましたが、こぼれ話を更新いたします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる