転移したら獣人たちに溺愛されました。

第1章

第15話

「ノア様、毎日少しずつ練習していきましょうね。でも決・し・て・1人で立ちあがろうとはしないでくださいよ。立ちあがりたい時には私かリアムを必・ず・呼んでください」
そうサイモン先生に念を押すように言われるとわかりました。とノアは言ってくれた。

夕方近くになってしまったのでクラリスにムーンを家まで送ってもらうように声をかけるとノアは寂しそうに
「ムーンまた来てくれる？」
と声をかけた。

「うん僕、ここまで遠いから1人で来れないけど、また来たいなぁ～」
と言ってくれた。ムーンに学校が終わったあとはお友達と遊ぶの？と聞くと遊ぶ日もあれば遊ばない日もあると教えてくれた。じゃあ遊ばない日で学校が早く終わった時やお休みで時間があるときに連絡してほしいとクラリスにムーンの保護者に伝えてもらうように伝えてムーンはまた来るね。と言って帰っていった。

「ノア、ムーンがお友達になってくれて良かったわね。カイルも知ったら喜ぶわ。帰ってきたら教えてあげてね」

「僕、今までお友達がいなかったから、ムーンがお友達って言ってくれて嬉しかったです。あの～僕…カイルさんのお母さんのことなんて呼んだらいいですか？」

「そうね。私はノアにならなんて呼ばれてもいいわ。もうノアは私の息子なんだから。でもそうね、ムーンのところみたいにママって呼んでくれたら嬉しいわ。だってノアのお母さんは亡くなったお母さんだけでしょ？そうだカイルのお父さんのことはパパでいいからね。それにカイルにはお姉さんがいるのよ。そうだ今日はベットじゃなくてみんなでご飯を食べましょうか？家族みんなで違うところで食べると楽しいわよ。ノアは細いからもっと食べて早く元気にならないとね。じゃあ準備をしてもらいにいってくるわ」

ママがいなくなってしまって静かな部屋にいたらなんだかさっきのことが夢のように思えた。僕にママとパパとお姉ちゃんができた。じゃあカイルさんは僕のお兄ちゃんになるのかな？ここのお家はとても広いってさっきムーンが言ってた。いろんな人もたくさんいるって…僕が知ってる獣人は、カイルさんは狼、リアムさんは熊、サイモン先生は羊で、ムーンはうさぎ…他にはどんな動物さんがいるんだろう？
そんなことを考えていたらママが女の人と男の人とやってきた。

「ノア、カイルのお姉ちゃんのアリーサよ。仲よくしてね」

「ノア。これから私とも遊ぼうね。でも私のことはお姉ちゃんじゃなくてアリーちゃんでいいから」

「アリーちゃん？」

「うん。アリーなんて呼びづらいでしょ？それにしてもノアは可愛いね。これじゃあカイルも手放したくなくなるわ。そうそうこっちが私の彼氏のバルト、彼は竜族だから空を飛べるのよ」

「空ですか？飛べるの？凄い！！」

「でしょ！ノアが元気になったらバルトと空からこの王国をお散歩しようね。楽しみだね」

「こんにちはノア、俺はバルト。そうだな呼び方はルトくんはどう？」

「ルトくん？」

「そう。あ！そうだ俺の弟とカイルが今一緒に行ってるんだ。あと5日で帰ってくるから」

「5日…かぁ～長いですね」

「ノア、あっという間よ。カイルが帰って来るまで寂しいと思うけど、私たちがいるからね」
アリーちゃんに言われて頷いた。するとリアムが大きい車がついた椅子みたいなのを持ってきた。

「ノア様、こちらに乗って皆様とご飯を食べに行きましょう」
そう言うとアリーちゃんが

「誰がノアを抱っこするの？カイルに怒られるわよ！」
と言い出した。それでもリアムさんが僕を抱っこしてその椅子に乗せてくれた。とっても座り心地が良かった。

「じゃあノア様、皆さまも一緒に食事に行きましょう」
そう言ってくれて僕が乗った椅子をリアムさんが押してくれて、みんなでご飯を食べる場所に向かった。