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第1章
第12話
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「どうかしたの?何があったの?」
大声で泣いてる僕と必死に謝ってるリアムさんの声が聞こえたんだろう。カイルさんのお母さんが部屋にやってきた。
「ノアどうしたの?リアムに何かされたの?」
抱きしめてくれて背中をさすってくれた。温かい…こんなふうに抱きしめてもらったのっていつだっけ?お母さんが生きてた頃かな?おじさんの家ではこんなふうに抱きしめてもらったことなんてなかった。いつだって僕はいらない子だった…この家でも僕はいらない子なのかもしれない。だってあんな風に怒られるなんて…カイルさんは尻尾を触ってもギュッてしても怒られなかったのに…本当は嫌だったのかもしれない。でも僕に怒らなかったのは…やっぱりこれから食べるから…なのかもしれない。僕はお母さんの胸に抱かれながら眠りに落ちる前に「僕を…食べないで…」そう言葉にしたつもりだったけど聞こえたかどうか…僕は返事を聞く前に眠ってしまった。
「リアム?なぜノアはあんなに泣いていたの?しかも食べないでって…あなたまさかっ」
「誤解です。マーヤ夫人」
「誤解って…ちゃんと説明しなさい。解決できない場合にはカイルに伝えに行くわよ」
「それは…ご勘弁願いたいです。実は…ノア様は私の尻尾を触ろうとなさってベッドから落ちそうになったのを支えました。なので尻尾はどんなことがあっても触ってはダメだと…大きな声で言ってしまって…そしたら泣きだされてしまって…」
「そうですか…確かに獣人にとって尻尾は大事な場所ですから、でも怒鳴らなくても…」
「それは申し訳ないと思っております。実はカイル王子にも、くれぐれも触らせるなと言われておりまして…つい気持ちが入り声を荒げてしまいました」
「でも、それじゃあノアが食べないでって言ったのは?」
「それは私にもわかりかねます。申し訳ございません。私はきっとノア様に嫌われてしまいましたね。こんな大きな身体、普通でも怖いと思うのにもっと怖がらせてしまって…カイル王子になんといってお詫び申し上げたらいいのか…」
「そうね。カイルが知ったら激怒するかもしれないわね…でもこれからどうすればいいのか考えましょう。まだ帰ってくるまでには時間もあるし」
「本当に申し訳ありませんでした」
「とりあえずノアのことは私が見てますから部屋から離れてちょうだい」
「失礼いたします」
ライナスの息子だからだとモールスが抜擢したけど、経験もまだ浅い、ましてや人間の子どもなんてどう接していいのかわからないもの仕方がないけど…でもこんなに泣くことなんてなかったこの子はどうしてこんなに泣いたのだろう?今まで感情を面に出すことは少なかった子なのに…やっぱり運命のカイルがいないからかしら?でもこれからは喜びも悲しみも怒りも楽しみも全て教えて欲しい。
泣き疲れて腕の中で寝てしまったノアはとても愛らしかった。こんなふうに私が抱きしめてると知ったらカイルはヤキモチ妬くかもしれないわね。そんなことを思いながら、私は自身の特殊能力を使ってノアの心の中をのぞいて見ることにした。本来はあまりしてはいけないけれども、まだノアは自分の感情を伝えるのは下手なように思う。ましてやリアムに怒られてますます閉じこもってしまうと思ったからだ。ノアの心の中を見ることができれば少しは今の気持ちがわかるかもしれない。なぜ食べないでと言った意味も…
ノアをゆっくりとベットに寝かせて、おでこに手を当てて目を閉じた。
本当にこの子は実の両親を失ってから辛い経験をたくさんしてきてる。こんな小さな身体で…今までの苦しみも悲しみもカイルが全て消し去って欲しい。そう願わずにはいられなかった…
それにしても…優しくしてくれるのはカイルたち獣人たちにいつか自分が食べられるかもしれないからと勘違いしてただなんて…そんなことしないのに…どうしたらこの子にわかってもらえるかしら?
そうだ。やっぱりムーンをこのお屋敷に呼びましょう。年齢も同じくらいだし、彼はうさぎ族だから狼や熊族よりも小さいしね…それならそうとパーティーの準備をしましょう。美味しい料理も料理長に作ってもらって…ってまだノアはちゃんとしたご飯は食べられなかったわね。最近ようやくリゾットを普通の4分の1食べれるようになった感じだもの。普通のご飯は胃に負担がかかってしまうわ。本当はパーティーを開きたかったけどもう少し元気になってカイルがいるときにすればいいわね。ノアがここアユーダ王国に来てくれた歓迎パーティー。そのときは、どんなことをすればこの子は喜んでくれるだろうか?
でもやっぱりその前に獣人がノアを食べるなんて誤解は早く解いてあげたい。私は魔女仲間で優秀なクラリスを呼び寄せ、うさぎ族のムーンを屋敷まで連れてきて欲しいとお願いした。ムーンが1人で心配なら他にもお友達やご家族も一緒でもいいからと…ムーンが来る前にノアが目覚めてくれるといいのだけど…泣いたせいでこめかみが少し赤くなっていた。早くノアの気持ちを楽にしてあげたい。ノアがいつまでも笑っていてくれるようになってくれたらそれだけで私達は幸せなのだから。
大声で泣いてる僕と必死に謝ってるリアムさんの声が聞こえたんだろう。カイルさんのお母さんが部屋にやってきた。
「ノアどうしたの?リアムに何かされたの?」
抱きしめてくれて背中をさすってくれた。温かい…こんなふうに抱きしめてもらったのっていつだっけ?お母さんが生きてた頃かな?おじさんの家ではこんなふうに抱きしめてもらったことなんてなかった。いつだって僕はいらない子だった…この家でも僕はいらない子なのかもしれない。だってあんな風に怒られるなんて…カイルさんは尻尾を触ってもギュッてしても怒られなかったのに…本当は嫌だったのかもしれない。でも僕に怒らなかったのは…やっぱりこれから食べるから…なのかもしれない。僕はお母さんの胸に抱かれながら眠りに落ちる前に「僕を…食べないで…」そう言葉にしたつもりだったけど聞こえたかどうか…僕は返事を聞く前に眠ってしまった。
「リアム?なぜノアはあんなに泣いていたの?しかも食べないでって…あなたまさかっ」
「誤解です。マーヤ夫人」
「誤解って…ちゃんと説明しなさい。解決できない場合にはカイルに伝えに行くわよ」
「それは…ご勘弁願いたいです。実は…ノア様は私の尻尾を触ろうとなさってベッドから落ちそうになったのを支えました。なので尻尾はどんなことがあっても触ってはダメだと…大きな声で言ってしまって…そしたら泣きだされてしまって…」
「そうですか…確かに獣人にとって尻尾は大事な場所ですから、でも怒鳴らなくても…」
「それは申し訳ないと思っております。実はカイル王子にも、くれぐれも触らせるなと言われておりまして…つい気持ちが入り声を荒げてしまいました」
「でも、それじゃあノアが食べないでって言ったのは?」
「それは私にもわかりかねます。申し訳ございません。私はきっとノア様に嫌われてしまいましたね。こんな大きな身体、普通でも怖いと思うのにもっと怖がらせてしまって…カイル王子になんといってお詫び申し上げたらいいのか…」
「そうね。カイルが知ったら激怒するかもしれないわね…でもこれからどうすればいいのか考えましょう。まだ帰ってくるまでには時間もあるし」
「本当に申し訳ありませんでした」
「とりあえずノアのことは私が見てますから部屋から離れてちょうだい」
「失礼いたします」
ライナスの息子だからだとモールスが抜擢したけど、経験もまだ浅い、ましてや人間の子どもなんてどう接していいのかわからないもの仕方がないけど…でもこんなに泣くことなんてなかったこの子はどうしてこんなに泣いたのだろう?今まで感情を面に出すことは少なかった子なのに…やっぱり運命のカイルがいないからかしら?でもこれからは喜びも悲しみも怒りも楽しみも全て教えて欲しい。
泣き疲れて腕の中で寝てしまったノアはとても愛らしかった。こんなふうに私が抱きしめてると知ったらカイルはヤキモチ妬くかもしれないわね。そんなことを思いながら、私は自身の特殊能力を使ってノアの心の中をのぞいて見ることにした。本来はあまりしてはいけないけれども、まだノアは自分の感情を伝えるのは下手なように思う。ましてやリアムに怒られてますます閉じこもってしまうと思ったからだ。ノアの心の中を見ることができれば少しは今の気持ちがわかるかもしれない。なぜ食べないでと言った意味も…
ノアをゆっくりとベットに寝かせて、おでこに手を当てて目を閉じた。
本当にこの子は実の両親を失ってから辛い経験をたくさんしてきてる。こんな小さな身体で…今までの苦しみも悲しみもカイルが全て消し去って欲しい。そう願わずにはいられなかった…
それにしても…優しくしてくれるのはカイルたち獣人たちにいつか自分が食べられるかもしれないからと勘違いしてただなんて…そんなことしないのに…どうしたらこの子にわかってもらえるかしら?
そうだ。やっぱりムーンをこのお屋敷に呼びましょう。年齢も同じくらいだし、彼はうさぎ族だから狼や熊族よりも小さいしね…それならそうとパーティーの準備をしましょう。美味しい料理も料理長に作ってもらって…ってまだノアはちゃんとしたご飯は食べられなかったわね。最近ようやくリゾットを普通の4分の1食べれるようになった感じだもの。普通のご飯は胃に負担がかかってしまうわ。本当はパーティーを開きたかったけどもう少し元気になってカイルがいるときにすればいいわね。ノアがここアユーダ王国に来てくれた歓迎パーティー。そのときは、どんなことをすればこの子は喜んでくれるだろうか?
でもやっぱりその前に獣人がノアを食べるなんて誤解は早く解いてあげたい。私は魔女仲間で優秀なクラリスを呼び寄せ、うさぎ族のムーンを屋敷まで連れてきて欲しいとお願いした。ムーンが1人で心配なら他にもお友達やご家族も一緒でもいいからと…ムーンが来る前にノアが目覚めてくれるといいのだけど…泣いたせいでこめかみが少し赤くなっていた。早くノアの気持ちを楽にしてあげたい。ノアがいつまでも笑っていてくれるようになってくれたらそれだけで私達は幸せなのだから。
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