12 / 101
第1章
第12話
しおりを挟む
「どうかしたの?何があったの?」
大声で泣いてる僕と必死に謝ってるリアムさんの声が聞こえたんだろう。カイルさんのお母さんが部屋にやってきた。
「ノアどうしたの?リアムに何かされたの?」
抱きしめてくれて背中をさすってくれた。温かい…こんなふうに抱きしめてもらったのっていつだっけ?お母さんが生きてた頃かな?おじさんの家ではこんなふうに抱きしめてもらったことなんてなかった。いつだって僕はいらない子だった…この家でも僕はいらない子なのかもしれない。だってあんな風に怒られるなんて…カイルさんは尻尾を触ってもギュッてしても怒られなかったのに…本当は嫌だったのかもしれない。でも僕に怒らなかったのは…やっぱりこれから食べるから…なのかもしれない。僕はお母さんの胸に抱かれながら眠りに落ちる前に「僕を…食べないで…」そう言葉にしたつもりだったけど聞こえたかどうか…僕は返事を聞く前に眠ってしまった。
「リアム?なぜノアはあんなに泣いていたの?しかも食べないでって…あなたまさかっ」
「誤解です。マーヤ夫人」
「誤解って…ちゃんと説明しなさい。解決できない場合にはカイルに伝えに行くわよ」
「それは…ご勘弁願いたいです。実は…ノア様は私の尻尾を触ろうとなさってベッドから落ちそうになったのを支えました。なので尻尾はどんなことがあっても触ってはダメだと…大きな声で言ってしまって…そしたら泣きだされてしまって…」
「そうですか…確かに獣人にとって尻尾は大事な場所ですから、でも怒鳴らなくても…」
「それは申し訳ないと思っております。実はカイル王子にも、くれぐれも触らせるなと言われておりまして…つい気持ちが入り声を荒げてしまいました」
「でも、それじゃあノアが食べないでって言ったのは?」
「それは私にもわかりかねます。申し訳ございません。私はきっとノア様に嫌われてしまいましたね。こんな大きな身体、普通でも怖いと思うのにもっと怖がらせてしまって…カイル王子になんといってお詫び申し上げたらいいのか…」
「そうね。カイルが知ったら激怒するかもしれないわね…でもこれからどうすればいいのか考えましょう。まだ帰ってくるまでには時間もあるし」
「本当に申し訳ありませんでした」
「とりあえずノアのことは私が見てますから部屋から離れてちょうだい」
「失礼いたします」
ライナスの息子だからだとモールスが抜擢したけど、経験もまだ浅い、ましてや人間の子どもなんてどう接していいのかわからないもの仕方がないけど…でもこんなに泣くことなんてなかったこの子はどうしてこんなに泣いたのだろう?今まで感情を面に出すことは少なかった子なのに…やっぱり運命のカイルがいないからかしら?でもこれからは喜びも悲しみも怒りも楽しみも全て教えて欲しい。
泣き疲れて腕の中で寝てしまったノアはとても愛らしかった。こんなふうに私が抱きしめてると知ったらカイルはヤキモチ妬くかもしれないわね。そんなことを思いながら、私は自身の特殊能力を使ってノアの心の中をのぞいて見ることにした。本来はあまりしてはいけないけれども、まだノアは自分の感情を伝えるのは下手なように思う。ましてやリアムに怒られてますます閉じこもってしまうと思ったからだ。ノアの心の中を見ることができれば少しは今の気持ちがわかるかもしれない。なぜ食べないでと言った意味も…
ノアをゆっくりとベットに寝かせて、おでこに手を当てて目を閉じた。
本当にこの子は実の両親を失ってから辛い経験をたくさんしてきてる。こんな小さな身体で…今までの苦しみも悲しみもカイルが全て消し去って欲しい。そう願わずにはいられなかった…
それにしても…優しくしてくれるのはカイルたち獣人たちにいつか自分が食べられるかもしれないからと勘違いしてただなんて…そんなことしないのに…どうしたらこの子にわかってもらえるかしら?
そうだ。やっぱりムーンをこのお屋敷に呼びましょう。年齢も同じくらいだし、彼はうさぎ族だから狼や熊族よりも小さいしね…それならそうとパーティーの準備をしましょう。美味しい料理も料理長に作ってもらって…ってまだノアはちゃんとしたご飯は食べられなかったわね。最近ようやくリゾットを普通の4分の1食べれるようになった感じだもの。普通のご飯は胃に負担がかかってしまうわ。本当はパーティーを開きたかったけどもう少し元気になってカイルがいるときにすればいいわね。ノアがここアユーダ王国に来てくれた歓迎パーティー。そのときは、どんなことをすればこの子は喜んでくれるだろうか?
でもやっぱりその前に獣人がノアを食べるなんて誤解は早く解いてあげたい。私は魔女仲間で優秀なクラリスを呼び寄せ、うさぎ族のムーンを屋敷まで連れてきて欲しいとお願いした。ムーンが1人で心配なら他にもお友達やご家族も一緒でもいいからと…ムーンが来る前にノアが目覚めてくれるといいのだけど…泣いたせいでこめかみが少し赤くなっていた。早くノアの気持ちを楽にしてあげたい。ノアがいつまでも笑っていてくれるようになってくれたらそれだけで私達は幸せなのだから。
大声で泣いてる僕と必死に謝ってるリアムさんの声が聞こえたんだろう。カイルさんのお母さんが部屋にやってきた。
「ノアどうしたの?リアムに何かされたの?」
抱きしめてくれて背中をさすってくれた。温かい…こんなふうに抱きしめてもらったのっていつだっけ?お母さんが生きてた頃かな?おじさんの家ではこんなふうに抱きしめてもらったことなんてなかった。いつだって僕はいらない子だった…この家でも僕はいらない子なのかもしれない。だってあんな風に怒られるなんて…カイルさんは尻尾を触ってもギュッてしても怒られなかったのに…本当は嫌だったのかもしれない。でも僕に怒らなかったのは…やっぱりこれから食べるから…なのかもしれない。僕はお母さんの胸に抱かれながら眠りに落ちる前に「僕を…食べないで…」そう言葉にしたつもりだったけど聞こえたかどうか…僕は返事を聞く前に眠ってしまった。
「リアム?なぜノアはあんなに泣いていたの?しかも食べないでって…あなたまさかっ」
「誤解です。マーヤ夫人」
「誤解って…ちゃんと説明しなさい。解決できない場合にはカイルに伝えに行くわよ」
「それは…ご勘弁願いたいです。実は…ノア様は私の尻尾を触ろうとなさってベッドから落ちそうになったのを支えました。なので尻尾はどんなことがあっても触ってはダメだと…大きな声で言ってしまって…そしたら泣きだされてしまって…」
「そうですか…確かに獣人にとって尻尾は大事な場所ですから、でも怒鳴らなくても…」
「それは申し訳ないと思っております。実はカイル王子にも、くれぐれも触らせるなと言われておりまして…つい気持ちが入り声を荒げてしまいました」
「でも、それじゃあノアが食べないでって言ったのは?」
「それは私にもわかりかねます。申し訳ございません。私はきっとノア様に嫌われてしまいましたね。こんな大きな身体、普通でも怖いと思うのにもっと怖がらせてしまって…カイル王子になんといってお詫び申し上げたらいいのか…」
「そうね。カイルが知ったら激怒するかもしれないわね…でもこれからどうすればいいのか考えましょう。まだ帰ってくるまでには時間もあるし」
「本当に申し訳ありませんでした」
「とりあえずノアのことは私が見てますから部屋から離れてちょうだい」
「失礼いたします」
ライナスの息子だからだとモールスが抜擢したけど、経験もまだ浅い、ましてや人間の子どもなんてどう接していいのかわからないもの仕方がないけど…でもこんなに泣くことなんてなかったこの子はどうしてこんなに泣いたのだろう?今まで感情を面に出すことは少なかった子なのに…やっぱり運命のカイルがいないからかしら?でもこれからは喜びも悲しみも怒りも楽しみも全て教えて欲しい。
泣き疲れて腕の中で寝てしまったノアはとても愛らしかった。こんなふうに私が抱きしめてると知ったらカイルはヤキモチ妬くかもしれないわね。そんなことを思いながら、私は自身の特殊能力を使ってノアの心の中をのぞいて見ることにした。本来はあまりしてはいけないけれども、まだノアは自分の感情を伝えるのは下手なように思う。ましてやリアムに怒られてますます閉じこもってしまうと思ったからだ。ノアの心の中を見ることができれば少しは今の気持ちがわかるかもしれない。なぜ食べないでと言った意味も…
ノアをゆっくりとベットに寝かせて、おでこに手を当てて目を閉じた。
本当にこの子は実の両親を失ってから辛い経験をたくさんしてきてる。こんな小さな身体で…今までの苦しみも悲しみもカイルが全て消し去って欲しい。そう願わずにはいられなかった…
それにしても…優しくしてくれるのはカイルたち獣人たちにいつか自分が食べられるかもしれないからと勘違いしてただなんて…そんなことしないのに…どうしたらこの子にわかってもらえるかしら?
そうだ。やっぱりムーンをこのお屋敷に呼びましょう。年齢も同じくらいだし、彼はうさぎ族だから狼や熊族よりも小さいしね…それならそうとパーティーの準備をしましょう。美味しい料理も料理長に作ってもらって…ってまだノアはちゃんとしたご飯は食べられなかったわね。最近ようやくリゾットを普通の4分の1食べれるようになった感じだもの。普通のご飯は胃に負担がかかってしまうわ。本当はパーティーを開きたかったけどもう少し元気になってカイルがいるときにすればいいわね。ノアがここアユーダ王国に来てくれた歓迎パーティー。そのときは、どんなことをすればこの子は喜んでくれるだろうか?
でもやっぱりその前に獣人がノアを食べるなんて誤解は早く解いてあげたい。私は魔女仲間で優秀なクラリスを呼び寄せ、うさぎ族のムーンを屋敷まで連れてきて欲しいとお願いした。ムーンが1人で心配なら他にもお友達やご家族も一緒でもいいからと…ムーンが来る前にノアが目覚めてくれるといいのだけど…泣いたせいでこめかみが少し赤くなっていた。早くノアの気持ちを楽にしてあげたい。ノアがいつまでも笑っていてくれるようになってくれたらそれだけで私達は幸せなのだから。
524
お気に入りに追加
962
あなたにおすすめの小説

迷子の僕の異世界生活
クローナ
BL
高校を卒業と同時に長年暮らした養護施設を出て働き始めて半年。18歳の桜木冬夜は休日に買い物に出たはずなのに突然異世界へ迷い込んでしまった。
通りかかった子供に助けられついていった先は人手不足の宿屋で、衣食住を求め臨時で働く事になった。
その宿屋で出逢ったのは冒険者のクラウス。
冒険者を辞めて騎士に復帰すると言うクラウスに誘われ仕事を求め一緒に王都へ向かい今度は馴染み深い孤児院で働く事に。
神様からの啓示もなく、なぜ自分が迷い込んだのか理由もわからないまま周りの人に助けられながら異世界で幸せになるお話です。
2022,04,02 第二部を始めることに加え読みやすくなればと第一部に章を追加しました。
国を救った英雄と一つ屋根の下とか聞いてない!
古森きり
BL
第8回BL小説大賞、奨励賞ありがとうございます!
7/15よりレンタル切り替えとなります。
紙書籍版もよろしくお願いします!
妾の子であり、『Ω型』として生まれてきて風当たりが強く、居心地の悪い思いをして生きてきた第五王子のシオン。
成人年齢である十八歳の誕生日に王位継承権を破棄して、王都で念願の冒険者酒場宿を開店させた!
これからはお城に呼び出されていびられる事もない、幸せな生活が待っている……はずだった。
「なんで国の英雄と一緒に酒場宿をやらなきゃいけないの!」
「それはもちろん『Ω型』のシオン様お一人で生活出来るはずもない、と国王陛下よりお世話を仰せつかったからです」
「んもおおおっ!」
どうなる、俺の一人暮らし!
いや、従業員もいるから元々一人暮らしじゃないけど!
※読み直しナッシング書き溜め。
※飛び飛びで書いてるから矛盾点とか出ても見逃して欲しい。
異世界転移で、俺と僕とのほっこり溺愛スローライフ~間に挟まる・もふもふ神の言うこと聞いて珍道中~
兎森りんこ
BL
主人公のアユムは料理や家事が好きな、地味な平凡男子だ。
そんな彼が突然、半年前に異世界に転移した。
そこで出逢った美青年エイシオに助けられ、同居生活をしている。
あまりにモテすぎ、トラブルばかりで、人間不信になっていたエイシオ。
自分に自信が全く無くて、自己肯定感の低いアユム。
エイシオは優しいアユムの料理や家事に癒やされ、アユムもエイシオの包容力で癒やされる。
お互いがかけがえのない存在になっていくが……ある日、エイシオが怪我をして!?
無自覚両片思いのほっこりBL。
前半~当て馬女の出現
後半~もふもふ神を連れたおもしろ珍道中とエイシオの実家話
予想できないクスッと笑える、ほっこりBLです。
サンドイッチ、じゃがいも、トマト、コーヒーなんでもでてきますので許せる方のみお読みください。
アユム視点、エイシオ視点と、交互に視点が変わります。
完結保証!
このお話は、小説家になろう様、エブリスタ様でも掲載中です。
※表紙絵はミドリ/緑虫様(@cklEIJx82utuuqd)からのいただきものです。

恐怖症な王子は異世界から来た時雨に癒やされる
琴葉悠
BL
十六夜時雨は諸事情から橋の上から転落し、川に落ちた。
落ちた川から上がると見知らぬ場所にいて、そこで異世界に来た事を知らされる。
異世界人は良き知らせをもたらす事から王族が庇護する役割を担っており、時雨は庇護されることに。
そこで、検査すると、時雨はDomというダイナミクスの性の一つを持っていて──
【奨励賞】恋愛感情抹消魔法で元夫への恋を消去する
SKYTRICK
BL
☆11/28完結しました。
☆第11回BL小説大賞奨励賞受賞しました。ありがとうございます!
冷酷大元帥×元娼夫の忘れられた夫
——「また俺を好きになるって言ったのに、嘘つき」
元娼夫で現魔術師であるエディことサラは五年ぶりに祖国・ファルンに帰国した。しかし暫しの帰郷を味わう間も無く、直後、ファルン王国軍の大元帥であるロイ・オークランスの使者が元帥命令を掲げてサラの元へやってくる。
ロイ・オークランスの名を知らぬ者は世界でもそうそういない。魔族の血を引くロイは人間から畏怖を大いに集めながらも、大将として国防戦争に打ち勝ち、たった二十九歳で大元帥として全軍のトップに立っている。
その元帥命令の内容というのは、五年前に最愛の妻を亡くしたロイを、魔族への本能的な恐怖を感じないサラが慰めろというものだった。
ロイは妻であるリネ・オークランスを亡くし、悲しみに苛まれている。あまりの辛さで『奥様』に関する記憶すら忘却してしまったらしい。半ば強引にロイの元へ連れていかれるサラは、彼に己を『サラ』と名乗る。だが、
——「失せろ。お前のような娼夫など必要としていない」
噂通り冷酷なロイの口からは罵詈雑言が放たれた。ロイは穢らわしい娼夫を睨みつけ去ってしまう。使者らは最愛の妻を亡くしたロイを憐れむばかりで、まるでサラの様子を気にしていない。
誰も、サラこそが五年前に亡くなった『奥様』であり、最愛のその人であるとは気付いていないようだった。
しかし、最大の問題は元夫に存在を忘れられていることではない。
サラが未だにロイを愛しているという事実だ。
仕方なく、『恋愛感情抹消魔法』を己にかけることにするサラだが——……
☆描写はありませんが、受けがモブに抱かれている示唆はあります(男娼なので)
☆お読みくださりありがとうございます。良ければ感想などいただけるとパワーになります!

ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
緑宝は優しさに包まれる〜癒しの王太子様が醜い僕を溺愛してきます〜
天宮叶
BL
幼い頃はその美貌で誰からも愛されていた主人公は、顔半分に大きな傷をおってしまう。それから彼の人生は逆転した。愛してくれていた親からは虐げられ、人の目が気になり外に出ることが怖くなった。そんな時、王太子様が婚約者候補を探しているため年齢の合う者は王宮まで来るようにという御触書が全貴族の元へと送られてきた。主人公の双子の妹もその対象だったが行きたくないと駄々をこね……
※本編完結済みです
※ハピエン確定していますので安心してお読みください✨
※途中辛い場面など多々あります
※NL表現が含まれます
※ストーリー重視&シリアス展開が序盤続きます

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…
こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』
ある日、教室中に響いた声だ。
……この言い方には語弊があった。
正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。
テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。
問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。
*当作品はカクヨム様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる