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第1章

第10話

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翌日、俺は予定通り任務のために出向くことになった。今回の任務は辺境地で騎士入団テストに合格したものへの特別訓練を実施するためだ。わざわざ遠く離れた国境近くでやらなくても…と思ったが、ここまで来ないと広大な敷地はないのだから仕方がない。今回はテストに合格した20名ほどが集まると聞いている。団長も勤めている私がいかないわけにはいかない。前までの私は騎士を育てることへの意欲を持っていたがノアと出会ってしまった今の俺は騎士を育てるよりもノアとの時間が大事になっているのも事実だ。ノアは寂しがってはないだろうか?母上とリアムとは仲良くやっているだろうか?辺境地への道すがらそんなことを考えていると
「カイル王子、あと少しで馬を乗り換えますが」
ライナスが声をかけてきた。

「あぁ…そうか乗り換えの地点か…」
馬を乗り換え休みながら2日もかけて辺境地へと到着した。

「カイル王子お待ちしていました」
着いた早々、声をかけてきたのは姉の彼氏の弟でもあり昔からの友人、そして今は私の右腕の竜族のカールだった。

「カール久しぶりだな」
久しぶりに会う親友とハグを交わすといきなり質問してきた。

「お前、人間の子が運命だったんだな。でも悪い兄さんが落としてしまったみたいで…体は大丈夫なのか?怪我とか…ごめんちゃんと聞いてなくて」

「いやいい。今は少しずつだが回復してるから」

「そうか…それにしても今回は俺たちの部隊に入りたいやつがいっぱいいるぞ」

「そうか…鍛え甲斐がありそうだな」

「でもお前…なんか覇気がないような気がするが長旅で疲れたか?」

「いや…ノアが心配なだけだ」

「ノア?」

「あぁ…俺の運命だ」
思わず声を大きくして言ってしまったものだから準備している部下達が一斉に俺たちの方を向いた。やってしまった。こんな大きな声で言うつもりはなかったのだが…

「お前もやっと恋愛する気になったのか。どんな子だ?可愛い系?それとも綺麗系?戻ったら俺にも合わせろよ」

「言っておくがノアは男だ。それに……まだ6歳くらいなんだ」
こいつはノアを女性だと勘違いをしてる……まぁ俺も会うまで女性だと思っていたしな。それにしても年齢差もあるけど、でもノアは俺の運命には違いないのだから…案の定、カールは口をこれでもかと大きく開けて言葉も出ないようだった。まぁ…想定内だな。

俺は、びっくりして微動だにしないカールを無視して特別訓練が行われる場所に行くことにした。なんとかものになるものが現れればいいが…早く任務を終えてノアのところに帰ろう。早く会いたい…
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