闘え☆桂ちゃん!

くにざゎゆぅ

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闘えわたし! 平和のために!

信じがたい黒幕

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 わたしは、息を整えながら立ちどまる。
 あとを追ってたどり着いたところは、迷路やレストランから少し離れた広い公園だった。

 一面芝生となった場所には背の低い樹が植えられており、あいだを平らな敷石が敷き詰められた道が縦横に走っている。
 公園の中心には、ギリシャ神話にでてくるような女神さまの姿が浮き彫りにされた巨大な石のレリーフがあり、その前で立ちどまった犯人は、ゆっくりと振り返った。

 その顔を確認して、わたしは息をのむ。
 そして、やっぱりと感じた。

 体育の時間に、近くのマンションの屋上に見た人影、間違いない。
 透き通った瞳と滑らかな頬をみせて目の前に立つ人物は、いつも朝の電車で同じ車両に乗り合わせる、あの彼だった。



「――なん……で」
「まさかと思っていたけれど、本当にきみだったんだ。ぼくのほうこそ、きみだと知ったときには驚いたよ。あのとき、組織の人間を見たときに気がついたんだ」

 あのとき? 組織の人間?
 ――それって、透流さんと朝の電車に乗ったときのことだろうか。

 今日のお昼に電車の中で会ったときと同じ、耳に心地良い素敵な声のままで、彼は言葉を続ける。

「ぼくのほうにも、ぼくが通う高校から、きみと同じように組織のメンバーにならないかという勧誘があった。そのときに試験のことも聞いた。でも、ぼくは断ったんだ」
「それって……! あなたも特別な力を持っているってこと? それに、どうして……?」

 驚いたわたしに向かって、彼は、公園を通り抜けるふわりとした風に髪を揺らせながら口にした。

「だってぼくは、組織なんて堅苦しいものに縛られたくなかったからさ。だから断った。きみもメンバーになるかどうかの選択の自由があるっていわれたんじゃない? ぼくの特別な力は、ぼくのために、ぼくが好きなように、ぼくが面白いと思ったことに使うんだ。それって、なにもおかしいことはないだろう?」

 そして、彼はわたしへ口角をあげてみせた。
 黒髪の真面目そうなイメージを持つ彼が、とたんに小悪魔的な印象へと変化した。
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