126 / 138
闘えわたし! 平和のために!
絶対これ女の子がすることじゃない(泣)
しおりを挟む
ぼんやりと透流さんが消えた場所を見つめていると、紘一先輩がせかせるようにわたしの頭を小突いてきた。
「ほら、桂ちゃん。オレたちも急がなきゃ。いいところを凪先輩や透流さんに持っていかれちゃうよ」
「そういうんだったら、紘一先輩も手伝ってくださいよぉ」
「だってオレ、桂ちゃんほどのパワーがないもん」
また同じような会話を繰り返す羽目になりながら、仕方なくわたしは壁に向かって、右手を大きく振りかぶった。
ようやく迷路から抜けだしたわたしと紘一先輩と留城也先輩は、出入り口が封鎖された建物へとたどりつく。
この建物は、迷路に隣接したレストランとなっていた。
「中で爆発音がしたよね」
「厨房のほうでガスに引火でもしたのかな」
ささやき合う声とともに、心配そうに集まっているアミューズメントパークの利用者たちが遠巻きに見守るなかで、わたしと留城也先輩は紘一先輩の先導で裏のほうへと回る。
周囲に人影がなくなったとき、紘一先輩がおもむろに口を開いた。
「現場へ近づいたら、集まったみんなの意識情報から細かい状況がわかったけれど。留城也が起こしたシステムダウンのせいじゃないみたいだね。迷路の中でもあった小さな爆発みたいなものが、あっちこっちでもあったみたいだ。その影響でレストランの出入り口がロックされちゃったんだね」
それを聞いた留城也先輩が、短時間とはいえ紘一先輩から非難の目を向けられていたためか、あからさまに口を尖らせる。
その視線をかわすように、紘一先輩は立ちどまってわたしへと振り返った。
「ってことで中の利用客を救出するために、桂ちゃん、よろしくお願いいたします!」
さあどうぞと、大きなシャッターがおりた状態となるレストラン裏のトラック搬入口らしきところを、紘一先輩は手のひらを上にして指し示す。
「ちょっと待って! ここもわたしが壊すんですかぁ?」
「操作パネルが爆破されたらしくて中からはすべての出入り口にロックがかかっちゃって、前からも後ろからも閉じこめられている状態なんだ。表はギャラリーが多いから裏に回ってきたんだけれど、結局このシャッターも開かないから、ここはひとつ、桂ちゃんの手で」
紘一先輩は、涼しい顔で説明する。
ああ、わたし、どんどん理想の可愛い女の子から離れている気がする……!
「ほら、桂ちゃん。オレたちも急がなきゃ。いいところを凪先輩や透流さんに持っていかれちゃうよ」
「そういうんだったら、紘一先輩も手伝ってくださいよぉ」
「だってオレ、桂ちゃんほどのパワーがないもん」
また同じような会話を繰り返す羽目になりながら、仕方なくわたしは壁に向かって、右手を大きく振りかぶった。
ようやく迷路から抜けだしたわたしと紘一先輩と留城也先輩は、出入り口が封鎖された建物へとたどりつく。
この建物は、迷路に隣接したレストランとなっていた。
「中で爆発音がしたよね」
「厨房のほうでガスに引火でもしたのかな」
ささやき合う声とともに、心配そうに集まっているアミューズメントパークの利用者たちが遠巻きに見守るなかで、わたしと留城也先輩は紘一先輩の先導で裏のほうへと回る。
周囲に人影がなくなったとき、紘一先輩がおもむろに口を開いた。
「現場へ近づいたら、集まったみんなの意識情報から細かい状況がわかったけれど。留城也が起こしたシステムダウンのせいじゃないみたいだね。迷路の中でもあった小さな爆発みたいなものが、あっちこっちでもあったみたいだ。その影響でレストランの出入り口がロックされちゃったんだね」
それを聞いた留城也先輩が、短時間とはいえ紘一先輩から非難の目を向けられていたためか、あからさまに口を尖らせる。
その視線をかわすように、紘一先輩は立ちどまってわたしへと振り返った。
「ってことで中の利用客を救出するために、桂ちゃん、よろしくお願いいたします!」
さあどうぞと、大きなシャッターがおりた状態となるレストラン裏のトラック搬入口らしきところを、紘一先輩は手のひらを上にして指し示す。
「ちょっと待って! ここもわたしが壊すんですかぁ?」
「操作パネルが爆破されたらしくて中からはすべての出入り口にロックがかかっちゃって、前からも後ろからも閉じこめられている状態なんだ。表はギャラリーが多いから裏に回ってきたんだけれど、結局このシャッターも開かないから、ここはひとつ、桂ちゃんの手で」
紘一先輩は、涼しい顔で説明する。
ああ、わたし、どんどん理想の可愛い女の子から離れている気がする……!
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?
すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。
病院で診てくれた医師は幼馴染みだった!
「こんなにかわいくなって・・・。」
10年ぶりに再会した私たち。
お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。
かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」
幼馴染『千秋』。
通称『ちーちゃん』。
きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。
千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」
自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。
ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」
かざねは悩む。
かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?)
※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。
想像の中だけでお楽しみください。
※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。
すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる