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闘えわたし! 平和のために!
ラビリンスの抜けだし方
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すると、うつむき加減となったわたしの顔をのぞきこみ、紘一先輩は明るい声をだした。
「そんな暗い顔するなって。だから、オレたちがついているんだろう? 桂ちゃんはオレたちのことを気にせずクラス行事を楽しんできてよ。オレと留城也が勝手にふたりで、桂ちゃんが見えるところでデートしているから」
「なんで俺が男とデートしなきゃなんねぇんだよ」
いかにも不満げな態度をありありとみせて、留城也先輩は文句を口にする。
普段と変わりない余裕をみせるふたりに、わたしは、そんなにおおごとでもないのかなと思ってしまった。
だって、実際には、わたしが怪しい人影を目撃しただけだもの。
それでも、やはりわたしの顔色が悪く思えたのだろうか。
そろそろ目的地となる駅が近づいてきたとき、不意に紘一先輩が、場の雰囲気を変えるように訊いてきた。
「ねえ、桂ちゃん。迷路の脱出法って知ってる?」
迷路の脱出法?
迷路の抜け方といえば、以前に聞いたことがある。
たしかあれは、片方の手を壁に沿わせて歩けば必ずしも最短ではないけれど、最悪壁の長さぶん歩いて入口ないしは出口へたどりつくというものだ。
そう思い浮かべながらうなずいたわたしへ、紘一先輩は満面の笑顔を浮かべて告げた。
「桂ちゃん。残念だけれど、今回の迷路にその方法は使えない。なぜなら、数カ所のポイントを回ったうえで、最後は迷路の中にある階段をあがらなきゃいけない立体迷路なんだ。かなり広いし、迷ったら二時間はでてこられないかもね」
そして、脅すだけ脅すと紘一先輩は、たじろいだわたしを残して留城也先輩の腕をとり、開いたドアから目的地となる駅のホームへと一番に飛びだした。
「そんな暗い顔するなって。だから、オレたちがついているんだろう? 桂ちゃんはオレたちのことを気にせずクラス行事を楽しんできてよ。オレと留城也が勝手にふたりで、桂ちゃんが見えるところでデートしているから」
「なんで俺が男とデートしなきゃなんねぇんだよ」
いかにも不満げな態度をありありとみせて、留城也先輩は文句を口にする。
普段と変わりない余裕をみせるふたりに、わたしは、そんなにおおごとでもないのかなと思ってしまった。
だって、実際には、わたしが怪しい人影を目撃しただけだもの。
それでも、やはりわたしの顔色が悪く思えたのだろうか。
そろそろ目的地となる駅が近づいてきたとき、不意に紘一先輩が、場の雰囲気を変えるように訊いてきた。
「ねえ、桂ちゃん。迷路の脱出法って知ってる?」
迷路の脱出法?
迷路の抜け方といえば、以前に聞いたことがある。
たしかあれは、片方の手を壁に沿わせて歩けば必ずしも最短ではないけれど、最悪壁の長さぶん歩いて入口ないしは出口へたどりつくというものだ。
そう思い浮かべながらうなずいたわたしへ、紘一先輩は満面の笑顔を浮かべて告げた。
「桂ちゃん。残念だけれど、今回の迷路にその方法は使えない。なぜなら、数カ所のポイントを回ったうえで、最後は迷路の中にある階段をあがらなきゃいけない立体迷路なんだ。かなり広いし、迷ったら二時間はでてこられないかもね」
そして、脅すだけ脅すと紘一先輩は、たじろいだわたしを残して留城也先輩の腕をとり、開いたドアから目的地となる駅のホームへと一番に飛びだした。
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