闘え☆桂ちゃん!

くにざゎゆぅ

文字の大きさ
上 下
85 / 138
なんと? 別口で狙われているようですっ!?

先輩に寝顔を見られるなんて…(恥)

しおりを挟む
 はっと、わたしは目を覚ます。
 とたんに額の表面にヒリヒリとした痛みがした。

 仰向けに寝転んだまま、思わず両手で額を覆ったわたし。
 そこへ声が降ってきた。

「ここから見ていた。見事なヘディングだったな。うまく相手のコートへボールが返って、あんたのチームに点が入っていたぞ」

 この声は。

「留城也先輩?」

 慌てて手をのけて身体を起こし、周囲に視線を向ける。
 どうやらここはカーテンが引かれた保健室の一角のようで、わたしは真っ白いシーツのかかったベッドに体操服のままで寝かされていた。
 そして、ベッドの足もとに近いところに置いてある椅子にまたいで逆向きに座り、背もたれの上へ両腕を置いてこちらを見ている留城也先輩。
 その足もとに、わたしのカバンや制服が入っている袋などが置かれていた。

「え? なんで? どうしてここに」
「とっくに授業は終わって、もう放課後になってる。教室からあんたの荷物を友だちが持ってきていたが、放課後は下校命令がでているから俺が帰らせた」

 その言葉を聞いたわたしは、カーテンの上の隙間から見える、壁にかかった時計へ目を向けた。
 四時ってことは、かなりのあいだ、わたしは意識が飛んでいたらしい。

「――頭痛や吐き気、ある?」
「え?」

 留城也先輩に言われてみて気がついたけれど、特に頭痛も吐き気も感じられない。
 ボールが当たった表面的な額の痛さだけだ。

 ふるふると横に頭を振ったわたしの様子を見て、留城也先輩は淡々と口にした。

脳震盪のうしんとうって軽度の場合、意識はあっても身体がうまく動かせない状態になる。意識が飛んでも二分以内で戻ってきたら中度、二分以上意識が戻らなかった場合は重度。軽度でも一週間は安静にしないと、二度目の脳震盪をうっかり起こせば、セカンド・インパクト・シンドローム――脳に異常を残すかもしれない」

 え? それってどういうこと?
 すでに五時間目が終わって放課後になってしまうまで意識のなかったわたしって、まずい状態ってことになるの?

 蒼ざめるわたしへ向かって、表情を変えずに留城也先輩は続けた。

「でも、頭痛のないあんたは脳震盪じゃなくて、ただのショックからくる失神だそうだ。保健医の判断で救急車を呼ばなかった。その保健医は職員室での会議に参加中。だから俺がついていた」

 うわぁ。それって恥ずかしくない?

 たちまち顔を赤らめたわたしだけれど。
 浮かない表情でわたしをじろりと見やる留城也先輩に気がついて、慌ててわたしは表情を引き締めた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】

小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。 他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。 それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。 友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。 レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。 そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。 レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

処理中です...