闘え☆桂ちゃん!

くにざゎゆぅ

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いきなり試験に突入です?!

巧くいくのは、漫画の中だけでした(汗)

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 わたしの声に反応した晴香が、なにかの気配を察知したのだろうか。
 素早くバウンドケーキを型ごと抱えこみ、調理実習室の入り口へ向かって非難するように駆けだした。

「凪先輩! 上昇気流、起こせますかっ!」

 受験者の能力的お願いは聞いてもらえるはず。
 そう考えて続けて叫んだわたしの言葉に、訝しげな表情を浮かべながらも、凪先輩は言う通りにしてくれたのだろう。
 凪先輩の手が、彼の目の前の空間にひらりと舞う。
 その動作に合わせて小麦粉が派手に舞いあがり、空中で粉が四散した。

「留城也先輩、火花をお願いしますぅ!」

 呆気にとられた顔で、留城也先輩はわたしの言葉のままに右手を目の前にあげて、指を鳴らした。

 そして。

 ケーキを抱えて入り口の外まで避難していた晴香を除く全員が、降りかかってきた小麦粉を浴びて真っ白になった。



「――きみは、なにをやりたかったのかな?」

 粉まみれになり怒り心頭の凪先輩に睨まれ、わたしはうなだれる。
 無言のわたしに、凪先輩は言葉を続けた。

「馬鹿者! 粉塵爆発を狙ったのだろうが、そんな適当なことで起こせるわけがなかろう! 着火元となる留城也の火花のアイデアが良くても、粉塵雲と酸素の比率条件がそろわなければ粉塵爆発は起こらない。第一、本当に粉塵燃焼が継続して伝わる粉塵爆発が起これば、この程度で済まずに死者が出てしまうだろうが!」

 マンガでは絶対、この展開なら爆発すると思ったんだけれど。
 甘かった。
 それに言われてみれば、本当に起こったとしたら大惨事だ。

 意気消沈しているわたしのそばで、ヘロリと笑った真っ白の紘一先輩が、楽しそうに口をはさんできた。

「まあまあ。やられっぱなしと思いきや、大胆な反撃をかました桂ちゃんを褒めてあげてもいいんじゃない? 友だちもケーキも死守したみたいだし」

 そして、ムッとしながら頭を振って粉を落としている留城也先輩へ振り向くと、紘一先輩は続ける。

「ブルーの凪先輩も、ブラックの留城也も、グリーンのオレも全員真っ白だ」
「――笑いごとじゃねぇんだよ、紘一。どうすんだ? この惨状」
「参上、ホワイトレンジャー! なんちゃって」
「あ! わたしピンクが嫌なので、全員でホワイトレンジャー賛成ですっ!」
「馬鹿にしてんじゃねぇぞ!」

 調子に乗ったわたしは、留城也先輩に一喝されて小さくなった。

 でも、そうか。
 以前から凪先輩にクイズのように出されていたメンバーの色、何色なんだろうと思っていたけれど。
 留城也先輩はブラックで、紘一先輩はグリーンなんだぁ。

 なんてうつむいたまま呑気に考えていると、もれずに真っ白になっていた先生がわたしへ声をかけた。

「あらあら、大変。これじゃあどうしようもないわね。あなたも思いつきは悪くなかったんだけれど。とりあえず、全員で校内のシャワーを借りにいきましょうか」
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