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いきなり試験に突入です?!
楽しい予定が入りました!
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放課後、わたしは生徒会室へ来いと言われている。
けれど、調理実習の居残りというトラブルで行けないことを伝えるために、腕時計型通信機へ向かって、わたしはこっそり凪先輩へと連絡した。
もちろん、細かい説明を省いて、家庭科の調理実習とだけ口にする。
ひとりだけ居残り補習だなんて、恥ずかしくて言えない。
それから放課後まで、先輩のほうからの連絡や動きはなかった。
なので連絡は伝わったものとして、荷物を持ったわたしは晴香とともに、調理実習室へと向かおうと立ちあがる。
「ああ、ちょっと待って! 晴香、桂ちゃん!」
そのとき、クラスの女子が慌てたように声をかけてきた。
怪訝な顔を向けたわたしたちのほうへ、彼女は一枚の紙と鉛筆を手に近寄ってくる。
「高校に入学して一カ月が経ったでしょ? クラスの親睦会をしようかって話がでたのよ。幹事は上田くん。次の土曜日に郊外の巨大迷路。時間は、お昼過ぎに集まってから夜までになるけれど、ふたりとも、予定はどうかな?」
わたしは、晴香と顔を見合わせる。
土曜日なら、もうわたしのメンバー選出試験は終わっているはずだ。
それなら合格不合格関係なく、きっと心おきなく楽しむことができるに違いない。
それに中学生のときは、ほとんど遅い時間まで遊んだことがない。
夜まで友だちと遊ぶなんて、さすが高校生となると違うんだなぁ。
そんなことを考えていたわたしだけれど、どうやら晴香も、表情からして同じようなことを考えているらしい。
わたしと晴香は目配せをしてから、ほぼ同時に声をだした。
「大丈夫!」
「予定はまだ入っていないから行けるよ」
わたしと晴香の言葉を聞いた彼女は、持っていた紙に印をつけながらつぶやいた。
「晴香と桂ちゃんはOKっと! また改めて参加者には連絡を回すねぇ」
そう告げ終わった彼女はくるりと背を向け、次の女子のところへとパタパタと向かう。
「そっかぁ。クラスの親睦会かぁ」
「上田くんって、あのお調子者の背の高い男子だよね」
わたしと晴香はささやきあいながら、調理実習室へと急ぐべく教室を飛びだした。
楽しいイベントの予定が入った。
週末の楽しみを目標にして、それまでにわたし、頑張って試験を終わらせよう。
けれど、調理実習の居残りというトラブルで行けないことを伝えるために、腕時計型通信機へ向かって、わたしはこっそり凪先輩へと連絡した。
もちろん、細かい説明を省いて、家庭科の調理実習とだけ口にする。
ひとりだけ居残り補習だなんて、恥ずかしくて言えない。
それから放課後まで、先輩のほうからの連絡や動きはなかった。
なので連絡は伝わったものとして、荷物を持ったわたしは晴香とともに、調理実習室へと向かおうと立ちあがる。
「ああ、ちょっと待って! 晴香、桂ちゃん!」
そのとき、クラスの女子が慌てたように声をかけてきた。
怪訝な顔を向けたわたしたちのほうへ、彼女は一枚の紙と鉛筆を手に近寄ってくる。
「高校に入学して一カ月が経ったでしょ? クラスの親睦会をしようかって話がでたのよ。幹事は上田くん。次の土曜日に郊外の巨大迷路。時間は、お昼過ぎに集まってから夜までになるけれど、ふたりとも、予定はどうかな?」
わたしは、晴香と顔を見合わせる。
土曜日なら、もうわたしのメンバー選出試験は終わっているはずだ。
それなら合格不合格関係なく、きっと心おきなく楽しむことができるに違いない。
それに中学生のときは、ほとんど遅い時間まで遊んだことがない。
夜まで友だちと遊ぶなんて、さすが高校生となると違うんだなぁ。
そんなことを考えていたわたしだけれど、どうやら晴香も、表情からして同じようなことを考えているらしい。
わたしと晴香は目配せをしてから、ほぼ同時に声をだした。
「大丈夫!」
「予定はまだ入っていないから行けるよ」
わたしと晴香の言葉を聞いた彼女は、持っていた紙に印をつけながらつぶやいた。
「晴香と桂ちゃんはOKっと! また改めて参加者には連絡を回すねぇ」
そう告げ終わった彼女はくるりと背を向け、次の女子のところへとパタパタと向かう。
「そっかぁ。クラスの親睦会かぁ」
「上田くんって、あのお調子者の背の高い男子だよね」
わたしと晴香はささやきあいながら、調理実習室へと急ぐべく教室を飛びだした。
楽しいイベントの予定が入った。
週末の楽しみを目標にして、それまでにわたし、頑張って試験を終わらせよう。
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