50 / 138
いきなり試験に突入です?!
試験の内容、やばいやばいやばいっ!
しおりを挟む
一時間目と二時間目のあいだの休み時間、心配顔の晴香に見送られたわたしは、ひとりで一年の教室が並ぶ階の端にある自習室へと向かった。
自習室へ呼ばれるからには、筆記用具くらいは必要だろう。
手ぶらで行って、やる気なしに思われたら大変だ。
筆記用具を持ったわたしは足取り重く、二時間目がはじまる直前に、自習室のドアをゆっくりと開ける。
とたんに、鋭い声を浴びせられた。
「教師よりも遅れてくるなんて、まずしつけがなっていないわね」
黒板前の教壇で仁王立った宮城先生が、腕を組んで睨みつけていた。
わたしは恐怖で竦みあがり、教室へ一歩も入ることができなくなる。
どうすれば良いのかわからず固まったわたしへ、そのとき、救いの声がかけられた。
「なにをしている? 桂、さっさと教室へ入って席につけ」
声のしたほうを見ると、渋い表情の凪先輩が、教室の一番後ろの席に座っていた。
「なんで? え? まさか凪先輩も素行が悪くて呼びだされたとか」
「馬鹿者! さっさと席につけ!」
わたしに向かって眉をひそめた凪先輩が、低く命令する。
思わず、凪先輩へ失礼な言葉を口にしたけれど。
品行方正成績優秀である生徒会長の凪先輩が、そんなことで呼びだされるはずがない。
まさか。
「行儀も悪い。動きも遅い。減点ね」
そう告げた宮城先生は、獲物を見つけたような眼をわたしに向けたまま、妖艶に笑った。
「いまから、メンバー選出試験を行います」
慌ててわたしは教室へ駆けこみ、一番前の席へと向かった。
その机の上にだけ、B4サイズの紙が一枚、伏せられていたからだ。
わたしが席に座ると同時に、これ見よがしに先生は、ちらりと自分のゴージャスな腕時計へ視線を走らせる。
「三分遅れでスタート。机の上のプリントを表に向けてはじめなさい。制限時間はなし」
その声に、わたしは急いでプリントをひっくり返した。
そこに書かれていた内容は、数学の問題。
それも、小さな文字でびっしりと書かれている。
実技試験って、筆記試験ってことだったの?
まったく解ける自信がないわたしは、顔面蒼白でプリントの問題を見つめる。
それでも、手も足も出ない状態で問題を凝視しているあいだに気がついた。
――違う。
いや、違うんじゃない、知らないんだ。
どの問題も、まったく知らない公式や記憶にない解き方をする問題ばかりだ!
自習室へ呼ばれるからには、筆記用具くらいは必要だろう。
手ぶらで行って、やる気なしに思われたら大変だ。
筆記用具を持ったわたしは足取り重く、二時間目がはじまる直前に、自習室のドアをゆっくりと開ける。
とたんに、鋭い声を浴びせられた。
「教師よりも遅れてくるなんて、まずしつけがなっていないわね」
黒板前の教壇で仁王立った宮城先生が、腕を組んで睨みつけていた。
わたしは恐怖で竦みあがり、教室へ一歩も入ることができなくなる。
どうすれば良いのかわからず固まったわたしへ、そのとき、救いの声がかけられた。
「なにをしている? 桂、さっさと教室へ入って席につけ」
声のしたほうを見ると、渋い表情の凪先輩が、教室の一番後ろの席に座っていた。
「なんで? え? まさか凪先輩も素行が悪くて呼びだされたとか」
「馬鹿者! さっさと席につけ!」
わたしに向かって眉をひそめた凪先輩が、低く命令する。
思わず、凪先輩へ失礼な言葉を口にしたけれど。
品行方正成績優秀である生徒会長の凪先輩が、そんなことで呼びだされるはずがない。
まさか。
「行儀も悪い。動きも遅い。減点ね」
そう告げた宮城先生は、獲物を見つけたような眼をわたしに向けたまま、妖艶に笑った。
「いまから、メンバー選出試験を行います」
慌ててわたしは教室へ駆けこみ、一番前の席へと向かった。
その机の上にだけ、B4サイズの紙が一枚、伏せられていたからだ。
わたしが席に座ると同時に、これ見よがしに先生は、ちらりと自分のゴージャスな腕時計へ視線を走らせる。
「三分遅れでスタート。机の上のプリントを表に向けてはじめなさい。制限時間はなし」
その声に、わたしは急いでプリントをひっくり返した。
そこに書かれていた内容は、数学の問題。
それも、小さな文字でびっしりと書かれている。
実技試験って、筆記試験ってことだったの?
まったく解ける自信がないわたしは、顔面蒼白でプリントの問題を見つめる。
それでも、手も足も出ない状態で問題を凝視しているあいだに気がついた。
――違う。
いや、違うんじゃない、知らないんだ。
どの問題も、まったく知らない公式や記憶にない解き方をする問題ばかりだ!
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。
矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。
女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。
取って付けたようなバレンタインネタあり。
カクヨムでも同内容で公開しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる